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  • 2015/06/15 掲載

JVCケンウッドは、B2CからB2Bへとポートフォリオ転換をどのように成功させたのか

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かつてテレビやオーディオなどで名を馳せた日本ビクターとケンウッドが統合したのは2008年のことですが、それから7年余りが経過した今日、JVCケンウッドは一般消費者向けのB2Cの会社から、B2Bの会社へと大きく変身を遂げています。それを可能にしたのは両社が培ってきたコアの技術の統合であり、ポートフォリオの見事な転換です。代表取締役会長の河原春郎氏に詳しくお話を伺いました。
前編はこちら
(※本記事は、NECが運営するWISDOMからの転載です。)

photo
JVCケンウッド
代表取締役会長 執行役員 最高経営責任者(CEO)
河原 春郎 氏

2つの会社のコアテクノロジーを統合したことが新たな製品に

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──前編ではカーオプトロニクスについてお話しいただいたわけですが、今回は自動車以外の事業について教えていただけますか。

河原氏:自動車関連は当社にとって今後も成長が期待される分野ですが、もう一つ当社が成長を期待しているのはプロの光学です。カメラやプロジェクターなどいろいろありますが、プロのカメラも当社は世界で2位、3位を争っています。特にプロのカメラの高精細化を特別タスクフォース(特別チーム)で1年半余りかけて取り組んでおり、今年の1月から4Kのカメラの生産、販売を始めています。

──4Kというと、普通のハイビジョンの4倍ですから、情報量は16倍ということですね。

河原氏:従来の小型のデジタルカメラでは「ピクセル(画素)」という競争がありましたが、プロのカメラの場合、より綺麗に撮れないといけないということで、4K、8Kという高精細化が求められています。そうするとCMOSセンサー(シーモスセンサー。CMOSを利用することによって光を電気信号に変換する装置)のサイズ競争になってきます。

 当社ではこれまで、静止画を撮影するスチールカメラではなく、動画を中心としたビデオカメラを専門に扱ってきました。それでビデオカメラの一番の元は映画ということで、更なる競争力の強化のため、2年半前にアメリカのCMOSセンサーの会社をオリンパスから買収し、昨年、ムービーサイズのフルサイズCMOSセンサーを自ら開発して完成させました。そしていよいよ今年から4Kのカメラに搭載して発売することになりました。

 私たちの持っているコアテクノロジーを活かしつつ、競争力につながっていくような取り組みをこの5年くらい続けながら、急速にビジネスのポートフォリオチェンジを進めているところです。

──その際、コアの技術はやはり大切にされているのでしょうか。

河原氏:当社の元々のコアはオーディオ、つまり音系です。ケンウッドは無線とオーディオというコアを持った会社で、オーディオで一世を風靡しましたが、今も業務用無線ではアメリカのモトローラに続く世界2位です。アメリカの連邦政府などに納品していますが、特にアメリカの鉄道無線では9割以上のシェアを有しています。

 一方、日本ビクターは映像の世界でスタートしていますが、映像の技術では単に写真を撮るだけではなく、情報量を減らしながら通信しやすくする画像の圧縮技術が大変重要になってきます。これまではこれらの技術が別々にあったわけですが、会社が一緒になったことで映像と音と無線などが一体になり、マルチメディア時代に必要なコアテクノロジーをすべて持った会社になることができました。

──2つの会社が一緒になることで、別々にあったコアの技術が時代にぴったりのコアの技術に進化したということですね。

河原氏:たとえばプロのカメラマンは撮るだけではなく、撮った画像を届ける必要があります。そこでビデオカメラにアダプターを装着して、撮った画像をワイヤレスで転送できるようにしたところ、BBCなどに大量に購入していただけました。コアテクノロジーが統合したことで、こうした製品をつくれるようになったわけです。同様に電子ミラーはカメラを搭載しますが、そこに画像の圧縮が入ると遅れが出てしまいます。

【次ページ】企業を買うことも随分やりましたが、売る方も随分やりました

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