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2015年07月01日

派遣法改正がもたらす、ITエンジニア「争奪戦」

前回の記事では、9月1日から施行される予定の改正労働者派遣法の主なポイントと、IT業界への影響について解説した。主な改正ポイントは、(1)特定労働者派遣事業の廃止、(2)労働者派遣の期間制限、(3)派遣労働者の均衡待遇の確保・キャリアアップの推進の3つ。今回は、IT業界において具体的にどのような影響が出そうか、派遣事業者としてどのように対応していくべきか、それぞれ詳細を解説しよう。

執筆:ビーブレイクシステムズ 横田 圭輔

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改正労働者派遣法施行前後で起こりそうなこと

 まず、改正労働者派遣法施行前後で起こりそうなことを考えてみよう。大きくは3つあると考えられる。

 1つ目は、小規模事業者の廃業や合併が起きるということだ。

 前回の記事でも述べたように、改正労働者派遣法では現在「届出制」となっている特定労働者派遣事業(以下特定派遣)の制度が廃止となり、すべての労働者派遣事業は「許認可制」となる。

 すると、現在、派遣事業者全体の76%を占める特定派遣事業者は、事業継続のために改めて厚生労働省の許認可を得る必要が出てくる。筆者はこの制度変更により、以下の2つの動きが起きるのではないかと予想している。

  1. 許認可要件を満たすことができない小規模事業者の吸収や合併が増加する
  2. 許認可を得ることができず派遣事業を廃業する事業者が増加する

 理由は明らかだ。特定派遣は届け出だけで開業することができるため、個人で行っているような事業者も含めて、本当に小規模な零細企業も大量に存在している。そのような事業者にとって、事業資金や事業所面積に関する許認可を得るための要件が非常に高いハードルとなるからだ(図1)。

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図1 特定労働者派遣と一般労働者派遣の開業要件の違い。
一般労働者派遣はさまざまな面でハードルが高い


 また、法改正後の制度では、現在の一般労働者派遣制度で要求されているのと同等レベルの法定帳票の整備、派遣期間の厳密な管理なども要求されることになるため、これも小規模事業者にとっては事業の継続を難しくさせる要因の一つとなるだろう。

ユーザー企業のIT担当者の直接採用が強化される

 2つ目は、ユーザー企業のIT担当者の直接採用が強化されるということである。これは、前述した派遣事業者の合併や廃業などによる供給側の混乱や専門26業務の廃止などに伴って、人材調達のハードルが上がることの影響として考えられる。

 特に「専門26業務の廃止」により、「情報処理システム開発の業務」の派遣社員についても他の業務と同様に最大3年という派遣期間制限が適用されるようになるため、IT業界への影響は大きい。

 なお、ある調査によれば、改正により期間制限を受ける派遣労働者の割合は、全体の6割から8割に増加する見込みという(なお、改正後も派遣元で無期雇用されている派遣労働者は期間制限の対象外となる)。

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図2 派遣期間制限の除外対象者の割合は大きく減ることになる


 実際の現場には、ユーザー企業の正社員よりも、その企業の業務システムに精通し、その人がいなければ仕事が回らないというほど能力を発揮しているSIerから派遣されたIT人材も数多く存在している。

 業務に欠かすことのできない人材の流出を防ぐ、あるいは将来の流出リスクを摘んでおくという目的で、コストアップにはなっても、直接採用を強化することで技術者リソースの維持、またはさらなる拡大を図るという動きが強化されるのではないだろうか。

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