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2015年06月26日

ビジネスモデル解説:シェアリングエコノミー

企業価値5兆円、Uberのビジネスモデルは何がスゴいのか?

配車アプリサービスを提供するUberは、今、最も注目されるベンチャー企業の一つです。スマートフォンの普及という時代性に合致したモバイルアプリにより、5年で50か国以上に進出するという急成長を果たしています。いったいなぜ、Uberが世間に注目されているのでしょうか。その秘密について、洗練された顧客体験、シェアリングエコノミーの潮流から生まれた「ライドシェア」の仕組み、輸送ネットワークの確立という3つの観点から考察してみましょう。

執筆:佐藤 隆之

洗練された顧客サービスを提供するUber

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 ハイヤー・タクシーの配車アプリサービス「Uber」を手掛ける米ウーバー・テクノロジーズ。2010年の創業からわずか5年で、50カ国259都市以上に進出しています。2014年12月、Uberは12億ドルの資金調達を発表。ベンチャー企業としては非常に高い評価を受けており、現在の企業価値はおよそ5兆円にものぼります。

 Uberの基本的なマネタイズの仕組みはシンプルで、運転手からの仲介料によって利益をあげています。利用客がクレジットカードで支払った運賃から、仲介料20%を除いた乗車料金がUberから運転手に支払われます。ではなぜ、Uberがこれほどまでに世界中で評価を受けるのでしょうか。その秘密を大きく3つの観点で考えてみましょう。

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Uberのマネタイズの仕組みは極めてシンプルだ

(作成:高橋 博伸)


 まず1つは、Uberが優れた顧客体験(ユーザーエクスペリエンス)を提供していることが挙げられます。Uberは、スマートフォンからたった2タップでハイヤーやタクシーを配車できます。ユーザーインタフェースが洗練されており、煩わしい操作は必要ありません。

 アプリを使って自分の好みの車を予約したら、正確な時間と場所に車が迎えに来ます。GPS(位置情報)機能を使用することで、自分の現在地などの迎車する位置に近いタクシーを地図上で探しマッチングしてくれます。

 画面上には到着までの所要時間や、目的地までの概算料金も提示してくれます。運賃の支払いには現金を使わずに事前に登録したクレジットカードで行うため、降車時の現金支払いに手間取ることがないのです。運賃の支払いがクレジットカードに限られているのは、利用客の利便性のためだけではありません。運転手と利用客が直接料金の授受を行うことを防ぎ、Uberが仲介料を確実に得るためという、合理的な理由があります。

 またUberでは、タクシー乗車後に乗客が担当ドライバーの運転・サービスを評価するシステムを採用しています。同様に運転手も、他の同僚の運転手によって格付けされた顧客情報を事前に把握した上で、乗客のピックアップを行えます。このようにUberでは、車の配車や支払い、さらには乗車後の評価といった仕組みを自社内で一貫して管理。常にサービスを改善しながら、カスタマーエクスペリエンスを向上させているのです。

シェアリングエコノミーの潮流で普及?ライドシェアモデルとは

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 2008年のリーマンショック以降、世界中が緊縮した経済状態に陥ってきました。Uberのビジネスモデルが成功している2つめの要因は、シェアリングエコノミーの広がりという時代の流れが背景にあります。

 シェアリングエコノミーは「提供者が所有するモノ、サービスを、利用者が共有することにより成り立つ市場経済の仕組み」と定義されます。所有者が使用していないときにモノやサービスを貸し出すことで、所有者・利用者の双方にメリットが生まれます。所有者は利用料から収益を得ることができ、また、利用者も使った分だけ支払うことで予算を最適化できます。

 Uberのサービスは、最高級車による送迎を行う「uberLUX」、ミニバンなどの大型車の「uberSUV」、スタンダードなハイヤー送迎の「uberBLACK」、既存のタクシーを配車できる「uberTAXI」など複数のプランがあります。

 なかでも特徴的なサービスが、自家用車を使って乗客を運ぶ「uberX」です。uberXこそが、シェアリングエコノミーの潮流から生まれた「ライドシェア」、つまり乗客の相乗りを提供するものです。このサービスは、通常のハイヤーやタクシーとは異なり、運転手は一般人が自家用車を使って営業する、いわゆる「白タク」に近い営業形態です。

 uberXでは、需要と供給の関係に基づいて、運転手自身が利用料金を柔軟に設定することができます。閑散期には供給が過剰になっているので、利用客は安い値段でサービスを利用できます。逆に、休日の繁華街では乗車に関する需要が高まるので、比較的高い値段でもマッチングされます。高い値段といっても、uberX以外のサービスとは比較にならないほど低価格。Uberの基本マネタイズとは異なり、経済法則に基づいた料金形態にすることで、運転手・利用客の双方に利益がもたらされるのです。

【次ページ】Uberのビジョンは遥か先にある

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