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  • 2015/07/23 掲載

死滅するCIO、生き残るCIO、その違いとは?2025年はこうなる

ガートナー 小西 一有氏が解説

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ガートナーでは毎年CIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)サーベイを実施しているが、最新の2015年の調査で優先投資対象テクノロジを聞いたところ、BI/アナリティクスはグローバルでは1位だったのに対し、日本では3位という結果になった。誤解を恐れずに言えば、今の日本企業は、主に管理目的で最近の出来事を報告するために、構造化された加工が容易なデータばかりに目を向けている。しかし、現在の環境変化のスピードを考えれば、そうした「過去を振り返る」報告の価値は下がる一方だ。業界やビジネスの種類に関わらず、すべてのCIOやITエグゼクティブは、過去の情報に基づいた最適化のみに注力すべきではない。

ガートナー エグゼクティブ プログラム エグゼクティブ パートナー 小西 一有

ガートナー エグゼクティブ プログラム エグゼクティブ パートナー 小西 一有

CIO向けのメンバーシップ事業「エグゼクティブ・プログラム(EXP)」において企業のCIO向けアドバイザーを務め、EXPメンバーに向けて幅広い知見・洞察を提供している。近年は、CIO/ITエグゼクティブへの経営トップからの期待がビジネス成長そのものに向けられるなか、イノベーション領域のリサーチを中心に海外の情報を日本に配信するだけでなく、日本の情報をグローバルのCIOに向けて発信している。 山一證券、テレビ朝日、ソニー、ソニーコミュニケーションネットワークにてシステム企画、プロジェクト・マネジメントを担当。 同志社大学工学部工業化学科卒業
東京理科大学大学院総合科学技術経営研究科技術経営専攻修了
技術経営修士(専門職)
現在:九州工業大学大学院 情報工学研究院 客員教授
2011年から2013年 東海大学専門職大学院組込み技術研究科 教授

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CIOやCDOといった役職は一過性のものなのか

今後CIOはリーダーシップを逆転させる必要がある

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 今企業には、2つの「CDO」が出現してきている。「Chief Digital Officer(チーフ・デジタル・オフィサー)」と「Chief Data Officer(チーフ・データ・オフィサー)」だ。そして前者のチーフ・デジタル・オフィサーは今、企業内で自社の収益や成長、戦略に責任を持つ仕事とデータを分析してビジネスに適用していく仕事を担っている。

 しかしガートナーでは、チーフ・デジタル・オフィサーが企業に与える影響度は2016年ぐらいにピークを迎えるが、その後、2020年までには落ちてくると見ている。それというのも、現在チーフ・デジタル・オフィサーが担っている役割が、CIO(Chief Information Officer)とチーフ・データ・オフィサーのそれぞれに向かっていくと考えているからだ。CIOは収益や戦略に責任を持ち、チーフ・データ・オフィサーは文字通り、データ分析を担うようになる。

 言い換えれば、今後、従前通りにバックオフィスに注力し続けるCIOは、ビジネスに対して影響を与えられなくなり、死滅してしまう可能性があるということだ。しかし、「デジタル」にフォーカスし、デジタルのケイパビリティ(=能力)を強化していくCIOは、企業の中でもっともっと強くなる。

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CxOの影響力の変化
(出典:ガートナー)


 エンタープライズITは、コンピュータそのものにフォーカスしていた「職人的なIT」の時代から、Webアプリケーションがパッケージとして提供され、社内への導入が進んだ「ITの工業化」の時代を経て、2014年から「デジタル化」の時代に突入した。

 それからまだ1年しか経っていないが、我々はもうデジタル化のど真ん中まで来てしまっている。これからはデジタルのケイパビリティを自社のものにできるか否かが、企業競争の勝敗を分けることになるだろう。これはすべての産業において、起こり得ることだ。

 今後CIOは、情報とテクノロジーに関するリーダーシップをレガシーからデジタルへと逆転させる必要がある。今までの旧態依然としたやり方や文化をガラッと変えて、自身がデジタルリーダーになる必要があるということだ。

BI/アナリティクスの元データとして、顧客同士の声を活用していく必要がある

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 冒頭でも触れた2015年のCIOサーベイで、我々はCIOに対して「BI/アナリティクスに関して、あなた自身が変化していると思うか?」も聞いてみた。

 たとえば「過去を振り返る報告」から「先を見据えた予測的アナリティクス」に変化していると答えたCIOは、グローバルが80%、日本が56%、また「受動的なデータ分析」から「データから情報を得た能動的な実験」へと変化していると答えたCIOは、グローバルが80%、日本が63%だった。

 この結果から、日本企業はより一層、データから見える仮説によって実験を行い、その結果をさらにブラッシュアップして新たなビジネスを作っていくという能動的な動きにシフトしていく必要があると言える。

 また、その際に利用するデータも、構造化されたデータだけでは不十分である。顧客から企業に寄せられる苦情や感謝の声は、顧客の声のすべてではない。顧客同士で交わされる色々な情報、ソーシャルメディアなどから出てくる非構造化情報こそが、本当の顧客の声だ。

 そうした顧客のダイナミックな声は、市場において企業ブランドを再定義する可能性まで秘めている。企業は顧客同士で交わされる声にフォーカスし、BI/アナリティクスの元データとして活用していかなければならない。

【次ページ】シフトするには約3年かかる

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