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  • 2015/08/07 掲載

なぜソフトバンクはPepperに「ディープラーニング」を搭載したのか

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情報武装により自社の成長戦略が描けるかどうかが企業成長の鍵を握る時代となった。ソフトバンクグループ 代表取締役社長の孫 正義氏は、「情報武装に基づく成長戦略という“情報革命”が、企業のこれからの成長を牽引する。これは、IT産業だけでなくあらゆる産業で言えることだ」と述べた。
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ソフトバンクグループ 代表取締役社長 孫 正義氏

情報武装で20年後の未来を予測した戦略を描く

 インターネット産業は、2000年初頭のインターネットバブルの崩壊を経て、この20年間で時価総額が710倍に成長した。今や、ネットバブルのピークをはるかに上回る企業の価値が、インターネットの産業から生まれており、「情報革命」とは一過性のものではなく、新しい時代のトレンドといえる。SoftBank World 2015で登壇した孫社長は次のように主張する。

「情報革命とは、情報武装とそれに基づく企業の成長戦略のことだ。スマホにタブレット、そしてクラウドがビジネスマンにとっての3種の神器となる。これらのツールをフルに使いこなして初めて情報武装をしたといえる」

 では、成長戦略についてはどうだろう。孫氏は、「自分の競争優位、自社の競争優位を保つために、これから10年後、20年後、30年後の近い未来がどうなるかを見据え、戦略的に事前に準備をすることが肝要だ」と語る。

 では、孫氏が次の時代の成長分野に掲げるものは何だろうか。

「ソフトバンクはこれから、IoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)、そしてスマート・ロボットの3つを成長分野の中心と考え、より注力していく。今からそのビジョンの一部をみなさんに披露したい」

1人あたり「平均1,000個」のデバイスがつながる世界

 1点目のIoTについて、現在、1人あたり約2台のモバイル機器を所有しているという状況は、30年後には、1人あたり平均1,000個のデバイスがインターネットにつながっていると予測される。

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2040年にはネットにつながるデバイスが1人あたり1000個以上になる

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「身の回りのあらゆるモノがインターネットに接続し、人口よりもはるかに多い10兆個のデバイスがインターネットに接続する時代が到来すると、各デバイスから発せられた膨大なデータ、ビッグデータを解析し、新たなビジネスモデルを構築していくことが、企業戦略には欠かせなくなる」

 一例を挙げると、今まで単なる家具であった椅子は、さまざまなセンサーや機器が組み込まれ、利用する人の体調の変化から病気を発見したり、姿勢を矯正する、あるいは感情までコントロールする機能を備えるかもしれない。

「椅子そのものも、冷蔵庫や靴、ヘルスメーター、歯ブラシなど、ありとあらゆるモノと連携し、利用する人の健康をサポートするようになる未来が到来するかもしれない。さらに、国や自治体がそういう仕組みを利用している人は保険代を安くするとか、マイレージポイントが貯まって健康食品を安く利用できるとか、さまざまなビジネスがエコシステムとしてつながっていくことが考えられる」

 スマホの登場で人々のライフスタイルが変化したように、これからはIoTが「存在して当たり前」の世の中になり、人々のライフスタイルを爆発的に変えていく可能性がある。

 2点目は、AIだ。3年後の2018年には、1つのCPUに含まれるトランジスタの数が人間の脳細胞の数である300億個を超えるとみられているが、2045年にはコンピューターの能力が人間を超え、技術開発と進化の主役が人間からコンピューターに移る特異点(シンギュラリティ)に達するとも議論される。

「人類の脳細胞の数は300億個のまま。しかしCPUのトランジスタの数は指数関数的に増えていく。そして、シンギュラリティを迎えると、人々の役割や機能も変わっていかざるを得ない。今の仕事のいくつかは、人間の知能をはるかに超えているコンピューター、人工知能に取って代わられる時代がやってくるだろう」

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トランジスタ数は2018年に脳細胞の数を超える

 産業革命によって機械が登場し、人間が不得手としている仕事を機械が代わりに行う時代が到来した。このときと同じように、人間はより得意とする仕事に特化していき、人工知能が人間の生産性を高めるアシストをする時代が到来するという。これを見据えたのが、孫氏が3点目の成長分野に掲げるスマート・ロボットだ。

「ソフトバンクはAI分野で最先端の取り組みをしているIBMと提携し、IBM Watsonを搭載したスマート・ロボットをお客さまに提供していきたいと考えている」

 IBM Watsonは、IBMが開発した質問応答システム・意思決定支援システムだ。コンピューターでありながら、人と同じように情報から学び、経験から学習する。自然言語を解釈し、根拠をもとに仮説を生成し、経験から学習する。こうした処理を行うごとに知識を蓄積し学習する仕組みを、IBMはコグニティブ・テクノロジーと呼んでいる。

【次ページ】なぜPepperに「ディープラーニング」を搭載したのか

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