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2015年09月18日

クルマよりも輸出が増えた「SAKE(日本酒)」、爆増には隠れた理由があった

昔は全国民的に親しまれたが、今は古くさくて、国際性が乏しくて、若い人はそっぽを向くもの──日本酒のことをまるで「演歌」のようなものだと思ったら、それは大きな間違いだ。清酒の生産量は38年前の約3分の1に減ったが、米国を中心に輸出が伸び、昨年までの5年間で数量ベースで36.5%、金額ベースで60.2%も増加した「輸出貢献商品」である。世界の食通に支持されて、「SAKE」は今や国際語になっているが、そんな状況をもたらしたのは「SUSHI」など世界的な日本食ブームのおかげ、だけではない。

執筆:経済ジャーナリスト 寺尾 淳

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「大吟醸 極醸 喜多屋」は、2013年の輸出量が前年比でおよそ倍になった

(写真:筆者撮影)

清酒の輸出伸び率は自動車のそれを上回った

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 「日本酒を飲む人は減っている」と、もう何十年も言われ続けてきた。戦後、アルコールの王座をビールに奪われ、ウィスキー、焼酎、ワイン、発泡酒など酒類の多様化にもおされてきた。焼酎が、居酒屋が発信源の「チューハイ」ブームで若い世代から見直されたような出来事もなく、日本酒(清酒)はひたすら長期低落傾向を続けてきた。

 国税庁統計年報書によると、酒類すべての国内の生産量(製成数量)は1975年(昭和50年)の597.8万キロリットルに対し、2013年(平成25年)は859.1万キロリットルで、38年間で43.7%増。しかし清酒の製成数量は1975年の167.5万キロリットルから2013年の58.1万キロリットルへ65.3%も減っている。

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清酒の製成数量の推移(単位:万キロリットル)

(出典:国税庁統計年報書)

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清酒の輸出金額(単位:百万円)、輸出数量(キロリットル)の推移

(出典:出典:財務省貿易統計)

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清酒の主な輸出先(2014年)

(出典:財務省貿易統計)

 酒類すべてに占める日本酒のシェアも28.0%から6.7%へ、38年間で大きく減少した。今どき、ビールやワインは飲むが日本酒はまったく飲まない人は、決して珍しくない。アルコール度数が低いビールのような手軽さも、ウィスキーやワインのようなイメージの良さや国際性も乏しく、日本酒の愛飲者はどんどん高年齢化していった。

 ところが、21世紀に入ってその日本酒の需要が伸びているところがある。それは海外で、ほぼ全量を生産する日本からの輸出が大きく伸びている。財務省貿易統計によると、2009年(平成21年)の清酒の輸出数量は1万1949キロリットル、輸出金額は71億8400万円だったが、5年後の2014年(平成26年)には輸出数量は1万6316キロリットルに、輸出金額は115億700万円に、それぞれ右肩上がりの成長を遂げている。

 5年間で、数量ベースでは36.5%増、金額ベースでは60.2%増だった。輸出先は米国が全体の35.9%を占めて1位で、15.9%の香港、11.4%の韓国がそれに次ぐ。

 日本の「輸出貢献商品」といえば、誰でも連想するのは自動車だろう。日本自動車工業会の「輸出統計(四輪・全車種)」によると、2009年の輸出台数は361万6168台、2014年の輸出台数は446万5624台で、5年間で23.4%の伸びだった。

 だが、同じ期間の清酒の輸出数量の伸び率36.5%は、自動車の輸出台数のそれを13.1ポイントも上回っている。海外市場で需要が拡大し輸出が伸びている日本酒を、自動車同様に「輸出貢献商品」と言っても、まったく差し支えないだろう。

【次ページ】「獺祭」「鍋島」「福小町」「喜多屋」は、なぜ世界で引っ張りだこなのか

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