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  • 2015/11/04 掲載

ナイキやヤフーも取り組む「オールウェイズ・オン・マーケティング(AOM)」とは何か

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「現在の顧客は常に“オン”になっている。だからマーケティングも常にオンに変えていかなければならない」。そう指摘するのは、ノースウェスタン大学 ケロッグ経営大学院のモーハン・ソーニー教授だ。今後、企業に求められる「オールウェイズ・オン・マーケティング(Always-On Marketing:AOM)」とはいったいどのようなものか。ヤフーやアスクルの社長も取り組みを語った。

執筆:レッドオウル 西山 毅、構成:編集部 松尾慎司

執筆:レッドオウル 西山 毅、構成:編集部 松尾慎司

レッド オウル
編集&ライティング
1964年兵庫県生まれ。1989年早稲田大学理工学部卒業。89年4月、リクルートに入社。『月刊パッケージソフト』誌の広告制作ディレクター、FAX一斉同報サービス『FNX』の制作ディレクターを経て、94年7月、株式会社タスク・システムプロモーションに入社。広告制作ディレクター、Webコンテンツの企画・編集および原稿執筆などを担当。02年9月、株式会社ナッツコミュニケーションに入社、04年6月に取締役となり、主にWebコンテンツの企画・編集および原稿執筆を担当、企業広報誌や事例パンフレット等の制作ディレクションにも携わる。08年9月、個人事業主として独立(屋号:レッドオウル)、経営&IT分野を中心としたコンテンツの企画・編集・原稿執筆活動を開始し、現在に至る。
ブログ:http://ameblo.jp/westcrown/
Twitter:http://twitter.com/redowlnishiyama

これからは“オールウェイズ・オン・マーケティング”の時代

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ノースウェスタン大学 ケロッグ経営大学院 教授 モーハン・ソーニー氏
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 「ワールド・マーケティング・サミット・ジャパン2015」で登壇したノースウェスタン大学 ケロッグ経営大学院のソーニー教授は、戦略マーケティングやイノベーションなどの研究分野に取り組むだけでなく、現場のコンサルタントとしても活動している。

 ソーニー教授によると、米国の調査では1人が1日にモバイル端末の画面を見た回数は163回におよぶという。実に9分に1回。日本ではこれがさらに多い可能性が高い。「デジタルの世界では顧客は常に“オン”の状態になっている。だからマーケティングも(一時的な)キャンペーン型から(常時オンの)会話型へと変えなければならない」と指摘する。

 また、商品の情報や機能は顧客の手元に溢れている。「今考えるべきなのは、顧客の心、あるいは感情と繋がることだ」(ソーニー教授)。

 そのためにはソーシャルメディアなどから人々が何を話しているのかを知り、それに基づいて「ブランドストーリー」を作り、さまざまなチャネルを複合的に使って、そのストーリーを伝えていくことが必要だ。

「エンゲージメントを深めていくことで、顧客からの支持を得ることが可能となる。今後はカスタマージャーニーの後押しをしなければならない。顧客の求めるコンテンツを発信し、会話を続け、商品やサービスはその中に埋め込んでいく。継続した取り組みが求められる」(ソーニー教授)

 そのためにはビッグデータを活用し、コンテンツベースのマーケティングを実現する必要がある。

常に“オン”であるためには、コンテンツに十分な“ストーリー性”がなければならない。またオムニチャネルでコミュニケーション体験をリアルタイムに提供していかなければならない。このような考え方が“オールウェイズ・オン・マーケティング(AOM)”だ。これが今後、向かうべき目標となる」(ソーニー教授)

 ソーニー教授は、オールウェイズ・オン・マーケティングを実現した企業として、米ナイキを採り上げた。ナイキはマーケティングのやり方を完全に変えたという。

「以前は商品中心の従来型マーケティングを行っていたが、ここ2年間は従来の広告に対する投資を4割も削減し、広告そのものの位置付けも顧客がより優れたアスリートになるための“サービス”を訴求することとなった」(ソーニー教授)

 現在ナイキでは、シューズの中に取り付けたセンサーやスマホアプリなどを活用して、顧客が“アスリートになるための道”を支援しているという。そして自分自身へのチャレンジ、自分のパフォーマンスの改善、あるいは友人と繋がること、コミュニティに参加することといったさまざまな“体験”を顧客に提供している。

以前のナイキでは、商品が消費者体験の最終点となっていた。しかし今のナイキにとって商品は、消費者体験を提供するための“出発点”に過ぎない。商品が顧客にコミュニケーションと体験を届けるためのツールになっているということだ。」(ソーニー教授)

【次ページ】ログの“知覚能力”こそが現代のマーケター全員に求められる能力だ

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