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  • 2016/02/01 掲載

ChatWorkやサイボウズ、MarkLogicが議論、「70歳まで幸せに働く方法」とは?

第4回ITACHIBAレポート(前編)

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日本の労働生産性はOECD加盟34カ国の中では第22位。一方、残業時間は主要先進国でトップとなっており、生産性の低さを長時間労働で補っているというのが現状だ。新しいワークスタイルを確立するためにITはどう役立つのか。ITをどう活用すれば良いのか。4回目となる「ITACHIBA(異立場)会議」において、サイボウズ フェローの野水克也氏、テレワークマネジメント 代表取締役の田澤由利氏、MarkLogic 日本法人代表の三浦デニース氏、ChatWork 常務取締役COOの山口勝幸氏が大いに語り合った。

フリーライター 中村 仁美

フリーライター 中村 仁美

大阪府出身。大手化学メーカー、日経BP社、ITに特化したコンテンツサービス&プロモーション会社を経て、2002年、フリーランス編集&ライターとして独立。現在は主にIT、キャリアというテーマを中心に活動中。IT記者会所属。趣味は読書、ドライブ、城探訪(日本の城)。ネコと歴史(古代~藤原時代、戦国時代)好き。

働き方を変えないと、日本は破綻する!?

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ITACHIBA実行委員でサイボウズ フェローの野水克也氏
 立場や利害を超えてこれからのITとの関わり方を考え、議論し、共有する場「ITACHIBA(異立場)会議」。参加者はこれからのIT活用をより良いモノにしていきたいと考えているITベンダー、SI事業者、ユーザー企業、IT系メディアなどの有志が集まっている会議だ。

 1月15日、4回目のITACHIBAがサイボウズ 日本橋オフィスカンファレンスルームで開催された。今回のテーマは「70歳まで幸せに働く方法と、幸せに働ける企業経営を考える ~自分なり、企業なりのワークスタイルを見つける190分~」。働く側、経営者側双方の視点で、70歳まで幸せに働ける方法を探ろうと、熱いディスカッションが繰り広げられた。

 オープニングをつとめたのは、ITACHIBA実行委員であり、今回の会場を提供したサイボウズフェローの野水克也氏だ。「今日のITACHIBAでは高度成長期に置き忘れてきた宿題を片付ける時間にしたい」。

 野水氏はまず、日本が置かれている現状を振り返った。日本の会社員の平均年収は低下傾向にあること、共働き世帯が増えており、もはや当たり前の状態になっていること、少子高齢化が急速に進むことだ。

 2025年の人口ピラミッドを見ればわかるが、これまでのように新卒一括採用をしていくと、上司二人に部下一人といういびつな構造になる。また介護従事者は2025年に40万人も不足すると言われているが、一方で仕事に就けない人もいる。

「このような状況から脱するためには、働き方を変えて行かざるを得ない」(野水氏)

 すでに働き方を変えて成長している会社もある。その一例が未来工業と伊那食品工業だ。今後、企業が生き残っていくためには何が必要か。野水氏は「付加価値の高いサービスを生み出す経営、共働きでもキャリアを伸ばせる環境を作ること、そして働く人が自分の人生を自分で作ることができることだ」と語る。そしてサイボウズではこれを実践しているという。

 同社では自立と多様性を重視しており、その基で制度、ツール、風土を整備している。たとえばキャリアプランは100人いれば100通りあると野水氏。日本では、1度離職すると2度と同じ水準に上れないという状況があるが、そうではなく、それぞれがそのときの自分に合ったペースで長く働けるように変えていくことが、これからの社会に求められることだと語る。

「経営者の人は会社を変えるヒント、働く側の人は自分自身のワークスタイルを変えるヒントをつかんでほしい」(野水氏)

バーチャルオフィスを用意し、理想のテレワークを実践するテレワークマネジメント

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テレワークマネジメント 代表取締役の田澤由利氏
 次に登壇したのは、テレワークおよび在宅勤務導入に関するコンサルティングサービスを提供しているテレワークマネジメント 代表取締役の田澤由利氏である。

 田澤氏は2015年、テレワーク普及の功績が認められ、総務大臣賞を受賞した。テレワークマネジメントは田澤氏自身が理想とするテレワーク環境を実現した会社である。テレワークとはICTを使った場所と時間にとらわれない働き方のこと。在宅勤務だけではなく、いろいろな働き方がある。

 田澤氏のオフィスは東京、北海道、奈良にあるが、社員全員がネット上のバーチャルオフィスで仕事をするというテレワークを実現している。

「柔軟な働き方ができると、本当に良い人材が集まる。これは経営者にとっては何よりも嬉しいメリットだ」(田澤氏)

 また最近は在宅勤務制度を導入している企業も増えている。日経ウーマン2015年6月号によると、女性が活躍する会社ベスト10のうち、6社が在宅勤務制度を導入済みだという。

「これをブームで終わらせることなく、ムーブメントにしていきたい」(田澤氏)

働く時間、場所は個人にお任せ。完全成果主義のMarkLogic

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MarkLogic 日本法人代表の三浦デニース氏
 次に登壇したのは、企業向けNoSQLデータベースを手がける、MarkLogic 日本法人代表の三浦デニース氏。三浦氏はIT業界で25年働いている技術者でもある。14年前に日本人と結婚、12歳と10歳の母としての顔も持つ。

「ライフワークバランスで重要になるのが生産性だ」(三浦氏)

 そこで同社では全員が自由かつフレキシブルに働ける環境を用意。また成果で評価するため、成果物を厳密に定義しているという。

 それを実現するために活用しているのがテクノロジーだ。社員にはWi-Fi、USBメモリー、モバイルPC、クラウドベースのツールを用意。またSkypeやWebExなどのコミュニケーションツールも活用している。

「またワークライフバランスを実現するため、親として子どもにもテクノロジーを使わせている」(三浦氏)

 三浦氏は子どもにスマートフォンを持たせ、ちょっとしたすき間時間にメールを送り、子どもと情報共有を行っているという。また「ちょっとやり過ぎかと思うかも知れないが」と前置きし、スマホで子どもどこにいるかトラッキングしていることも紹介した。

「今日は柔軟な働き方を実現するには、こういったテクノロジーの有効活用が必要になる。リスクの懸念もあるが、生産性向上には不可欠なので、導入していない企業はこれを機に検討してほしい」(三浦氏)

【次ページ】全登壇者によるディスカッション!

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