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  • 2016/02/10 掲載

モノタロウの快進撃が止まらない、6期連続最高益を支えるIT基盤とマーケティング

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工業用間接資材の通信販売を手掛けるMonotaRO(以下、モノタロウ)が、6期連続で最高益を更新した。売上・利益ともに大幅に伸びており、2015年12月期通期決算を受けて株価は一時7280円を記録した。ROEが30%を超える優良企業、モノタロウの購買プラットフォームを支えるITやマーケティングの取り組みを紹介しよう。

谷中 崇晃

谷中 崇晃

フリーライター。1989年生まれ。大学在学中から雑誌での執筆を始め、卒業後フリーランスライターになる。雑誌での連載、書籍のゴーストライター、Webでの執筆を多数こなし、実績を積んでいる。株式投資にも取り組んでおり、企業研究も精力的に行っている。得意分野は資産運用、企業分析、映画、ガーデニングなど。発達障害を抱えており、日々発達障害者としての可能性を模索している。

モノタロウが6期連続最高益を記録した背景

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モノタロウ、快進撃を支えるIT基盤とマーケティングとは
(出典:プレスリリース)

 モノタロウは、兵庫県に本社を置く事業者向け工業用間接資材の通信販売会社である。2015年にはテレビCMの放映などでメディアへの露出も増えており、目覚しい成長と株価の伸びに注目した人も多いことだろう。

 モノタロウの販売商品は多岐にわたり、製造業・工場業・自動車整備業などの中小企業が中心顧客となっている。取扱商品は900万点を超え、2015年5月からは医療・介護用品の取り扱いも開始。登録会員数は177万口座を突破した。

 急成長を遂げているモノタロウ。2015年度決算によると、売上高は約556億円(前年比26.2%増)、純利益は約47億円(前年比65.9%増)と2014年に打ち出した計画通り、順調に推移している。驚くべきは、ROE(株主資本利益率:出資に対する利益率)は30%を超えていることだ。

 株式投資の際には12~15%以上が望ましいとされるROEにおいて、30%超は非常に優れた数値で、競合企業とROEを比較してみると、アスクルが6.8%、トラスコ中山が8.3%、ミスミグループが11.5%となっている。モノタロウがいかに効率よく利益を上げているかが分かる。

画像
モノタロウ 2015年度実績 前年度比較
(決算発表資料から作成)


Pythonにいち早く注目、ECサイトから基幹システムまで幅広く採用

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 モノタロウでは、ITを使った購買プラットフォームを構築することで、これまでの間接資材調達の形を変えてきた。創業当時から、日本ではほとんど利用されていなかったプログラミング言語「Python」に着目。ユーザー向けのECサイト「monotaro.com」から、顧客管理、商品管理、在庫管理、受発注などの基幹システムまで、ほぼすべての領域においてPythonで構築されている。

 このため会社全体の正社員のうち、2割以上(約230人のうち50人以上)がIT部門である。2015年4月に入社した新入社員も、30%がIT部門に配属されるなど、エンジニアを積極的に採用している。

 Pythonのユーザーカンファレンス「PyCon JP 2015」にも協賛するモノタロウ。最近の大きな取り組みとしては、お客様が商品をバスケットに投入した後の注文画面から注文完了までのステップ数の削減や、類似商品を一覧から効率よく絞り込む機能の追加などを行った。小規模な開発を含めれば、月に約10件以上はWebサイトの機能改善を行っているという。

テレビCMによるマスへの認知度向上は会員増に結びついたのか

 売上を伸ばすためには顧客数の獲得が必須となるため、戦略的なプロモーション施策が重要になる。モノタロウは、オンラインとオフラインの両面からプロモーションを盛んに行っている。

 オンラインでは、インターネット広告の出稿と検索エンジン最適化(SEO)を軸とした宣伝を盛んに行なった。また、スマートフォンからのトラフィックに対応するため、スマートフォンアプリも提供している。

 オフラインで特筆すべきは、テレビやラジオでCMを放送してプロモーション活動を行ったことである。放映エリアは2015年を通して徐々に拡大し、最終的には一部地域を除いて日本全国での放映となった。もちろん、それ以外にもFAX・Eメール・郵送チラシによるDM、カタログ発刊などによっても宣伝活動を展開した。

 これらの宣伝が功を奏して認知度が順調に向上している。月間新規獲得口座数の推移を見ると、2014年の平均が24.3万口座であったのに対し、2015年では平均32.45万口座へと増加。なお、2015年の1Q平均は30.2万口座、2Q平均は31.6万口座、3Q平均は34.0万口座、4Q平均は34.0万口座と増加していることからも、1年を通して宣伝効果がはっきり表れてきたことが分かる。

 また、オンラインとオフライン両面からの宣伝活動の結果、現在受注方法の約90%はオンラインでの受注となっている。10年以上前の2003年はオンラインの受注が30%以下、FAXの受注が約70%を占めていたというから大きな変化だ。

【次ページ】商品数の充実、物流インフラへの投資も止まらない

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