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2016年03月02日

民間人校長 山口照美氏の小学校版「システム改革」と「プロモーション戦略」

2000年の学校教育法施行規則の改正により生まれた、教員免許を持たない「民間人校長」。教育現場以外のフィールドを経験した人間を校長として募集する制度だ。これまで、リクルート出身の藤原和博氏や、平川理恵氏などが注目を浴びた。IT化の遅れが問題点として指摘される公立学校教育現場だが、民間の経験は生かされているのか。大阪市の民間人校長 市立敷津小学校 校長 山口照美氏に話を聞いた。

執筆:中森 勇人

現代のセーフティーネットとしての「学校」

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市立敷津小学校 校長 山口照美氏

 2013年4月より大阪市立敷津小学校に配属された民間人校長 山口照美氏。着任3年目を迎え、卒業生も2度送り出した。

 山口氏は、大手塾講師、一般企業での管理職、起業家、教育ジャーナリストなど様々な職業を経て、大阪市の公募に応募した。応募の理由は教育格差をなくそうという志だった。教育の根幹をなす公立小学校の現場こそが、格差を是正するフィールドだと考えてのことだった。

「塾講師経験から経済力で救われる子とそうでない子を見てきました。全ての子どもたちに満足のいく教育を受けさせることが、大人の役割だと思います」(山口氏)

 しかし、現実は厳しかった。両親が遅くまで働いている家庭では、親が起きてこないので子どもも起きられなかったり、本来家庭で行うべき歯磨きなどの躾がなされていなかったりすることもある。場合によっては朝ご飯を提供するなど、学校が手を差し伸べなければならないことが山ほどあるのだという。山口氏によれば、実は、これらは全国の公立校の現場にある朝の風景であり、本来の仕事が滞る原因でもある。

「小学校が福祉事務所や警察の代わりをすることも少なくありません。そういう意味で学校はセーフティーネットといえるのではないでしょうか」(山口氏)

必要な民間サービスは積極的に導入し、「学校」の社会的役割を広げるシステム改革

 家庭ができないことは教職員の負担をできるだけ増やさずに学校がやる。これが、山口氏のやり方だ。

 ただ、多忙化の中で手の回らない部分もある。そこで、地域子ども会やNPOなど外部の力を活用し、土曜塾を開講。学力格差を縮める一助となっているのだという。

「5、6年生の算数の遅れは中学生になってからの不登校につながります。だから、まず学習の機会を多く作っていくことが急務だと考えました」(山口氏)

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起業家としての経歴を活かして『アイデアの出し方』の授業をする山口氏


 外部の力の活用例は他にもある。たとえば、修学旅行での写真撮影だ。今までは業者が同行して撮影をしてきたが、予算削減のため、生徒自身がカメラを持参して撮影し合うという方法が取られてきた。しかし、これでは撮影をする子供の写真が少なくなることや写真整理、販売の仲介など、教師の雑用が増える要因になってしまう。

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 この問題の解決策として、無料のインターネット写真販売システムを取り入れ、作業の簡略化に役立てている。

 これなら教師が写真を撮影してシステムにアップするだけだ。児童の保護者はパソコンやスマホで写真を選び、購入する。この間の会計作業は販売システムが行ってくれるという仕組みだ。さらに、写真を買わなくてもスマホで写真を見ることができることから、忙しい保護者に喜ばれている。

 卒業式のピアノ伴奏も悩みの種だった。着任した年、ピアノを弾ける教師が産休だった。そこで、山口氏はピアノ教室を開く卒業生に声をかけ、練習用CDを作成。練習時間を抑えつつ、本番は生演奏で実施できた。地域人材と、学校を結びつけて温かな卒業式となり好評だった。

 また、外国人家庭が多い敷津小学校ではプリントや配布物へのルビ打ちが欠かせない。ところが市販ソフトではうまく作ることができない。そこで活用したのが自動ルビ振りソフト。これを使えば1,000字程度なら簡単にルビ打ちが出来るのだという。

「便利なものは何でも使う。ダメなら止めて再トライすればいい」と山口氏は強調する。

【次ページ】民間人校長流のプロモーションとは

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