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  • 2016/03/04 掲載

航空業界の世界ランキング:三菱重工のMRJやホンダジェットは、欧米に食い込めるか

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航空宇宙産業は、ボーイング、エアバスの二強に代表される欧米勢に長年席巻されてきた。とりわけ、巨大な軍事マーケットをバックとした米国メーカーが圧倒的な強さを見せており、ロッキード・マーティン、ノースロップ・グラマンといった軍需産業が、グローバルランキングに目白押しだ。一方、欧米勢の後塵を拝してきた日本勢だが、三菱重工業がリージョナルジェット旅客機「MRJ」を開発、ホンダがビジネスジェットを市場に投入するなど、ここに来て巻き返しの動きが活発になっている。

執筆:野澤 正毅 企画・構成:編集部 松尾慎司

執筆:野澤 正毅 企画・構成:編集部 松尾慎司

野澤 正毅:1967年12月生まれ。東京都出身。専門紙記者、雑誌編集者を経て、現在、ビジネスや医療・健康分野を中心に執筆活動を行っている。

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航空宇宙産業の二強はボーイングとエアバスだ

航空機の部品は最大300万点

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 ギリシャ神話には、イカロスという若者が鳥の羽を蝋で固めた翼で空を飛んだのだが、太陽に近づきすぎたため、翼の蝋が溶けて墜落してしまうという寓話が出てくる。このように、空を自由に飛行することは、人類にとって長年の夢だった。

 その夢がかなったのは18世紀後半。フランスのモンゴルフィエ兄弟は1783年、熱気球による世界初の有人空中浮遊を行った。そして、1903年には、米国のライト兄弟が、グライダーによる有人飛行を世界で初めて成功させた。そのとき、航空機産業も産声を上げたのである(ちなみに、日本でも1891年、帝国陸軍の二宮忠八が、プロペラ機の無人飛行実験に成功している)。

 第一次世界大戦では、戦闘機による空中戦が展開され、戦争の常識が塗り替えられた。それを契機に、世界の列強は先を争って軍用機を増産、航空技術の飛躍的な発展ととともに、航空機産業は急速な成長を遂げた。さらに、第二次世界大戦後、民間機も増産されるようになり、1949年には世界初のジェット旅客機もお目見えした。民間航空の普及によって、世界の人々の距離はぐんと縮まったのである。

 夢は果てしない。人類は空に飽き足らず、宇宙にも進出した。東西冷戦を背景に、米国とソ連は宇宙技術の開発競争を激化させた。ソ連は1957年、人工衛星「スプートニク1号」の打ち上げに成功。それは、宇宙産業の幕開けでもあった。ソ連は1961年、ガガーリン少佐の有人宇宙飛行も成功させた。そして、1969年、米国はついに、「アポロ11号」による人類初の月面着陸を成し遂げたのである。

 現在、航空宇宙産業の主体は航空機産業である。宇宙産業はまだ研究段階であり、コマーシャルベースに乗るものは少ない。その大半が軍需で、民生用宇宙機器は人工衛星など一部に限られている。

 航空機は、用途によって軍用機と民間機に大きく分けられる。軍用機は戦闘機、爆撃機、偵察機、哨戒機などに、民間機は旅客機、輸送機、ビジネス機(ビジネスジェットなど)、自家用機、作業用機などに細分される。

 旅客機は、大きさによってエアバス(250~300人乗りで、国内線や近距離国際線がメーン)やコミューター(客席100席以下で、幹線航路以外の地域間輸送がメーン)に分類される。また、機能や形状によってジェット機、プロペラ機のようにも分けられる(なお、航空法では、ジェット機とプロペラ機を「飛行機」、飛行機とヘリコプター、グライダー、飛行船などの有人航空機器を「航空機」と定義している)。

 航空機の部品は最大で300万点にも上る(自動車で2~3万個と言われる)。そのため、航空機の生産は、自動車、船舶といった輸送用機器と同じように、航空機を組み立てる完成機メーカーをはじめ、エンジンメーカー、部品メーカー、装備品メーカー、材料メーカーなど数多くのメーカーが分業で担っている。

 たとえば、航空機エンジンの生産では、ゼネラル・エレクトリック(GE)、プラット&ホイットニー(以上、米国)、ロールス・ロイス(英国)が大きなシェアを握り、IHI、川崎重工業など日本メーカーも活躍している。ただし、一般に航空機メーカーと言えば、完成機メーカーのことを指す。なお、ロケットなどの宇宙機器は、大手航空機メーカーが手がけているケースが多い。

王者ボーイングの対抗馬は第2位のエアバス

 売上高による航空宇宙産業のグローバルランキングは次のとおりである。航空宇宙技術を先導してきた欧米メーカーが、今もなおイニシアチブを執っていることがわかる。とりわけ、巨大な軍事マーケットをバックにした米国勢が、トップ10のうち6社を占め、圧倒的な強さを誇っている。

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航空宇宙業界の世界ランキング

【次ページ】世界の航空旅客は2031年に倍増

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