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  • 2016/05/17 掲載

日本通運の「Fun!Japan」、ASEAN280万人を活用したデジタルマーケティングとは

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物流サービスをグローバルに展開する日本通運が、ASEANへ進出する日本企業を支援するために提供している現地ソーシャルサイトが「Fun! Japan」だ。現在、同サイトは会員数28万人、Facebookファン280万人を抱えるまでに成長している。「Fun! Japan」を利用して実現できるのが、カスタマージャーニーに沿ったASEAN向けのデジタルマーケティングである。実際の取り組みについて、日本通運 事業開発部 アジア・マーケティング・プラットフォーム推進室の石田和也氏が明らかにした。

なぜ日通がソーシャルメディアを立ち上げたのか

 Fun! Japanは、ASEAN市場で商品やサービスを販売する企業、もしくは日本への来訪客を増やしたい企業に対して提供されているデジタルマーケティングサービスだ。現在はインドネシア、タイ、マレーシアの3か国で、“Fun! Japan”という名称でホームページとFacebookページを立ち上げて運営している。ホームページの会員数は28万人以上、Facebookの ファンの合計は280万人以上にのぼる。

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Fun! Japan Indonesia」のサイト

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 「ガートナーカスタマー360サミット2016」で登壇した石田氏は、Fun! Japanの概要について次のように説明する。

「Fun! Japanでは1日3~5記事、日本に関する情報をアップしている。この中に現地に進出している製造や小売企業、あるいはインバウンドを推進したい企業の情報を盛り込みソーシャルで認知を拡大させていく。そしてその後、ファンや会員の購買意欲を高め、実際に現地のお店や日本に来て商品やサービスの購買や体験をしていただくという一連のカスタマージャーニーを提供している」

 それではなぜ日通が、こうしたサービスを提供しているのか。

「十数年前からASEAN消費市場を狙ったメーカーの進出が相次いでおり、我々は物流面でのお手伝いをしていた。ただASEAN諸国は民族や所得層など が大きく異なり、先進国に商品やサービスを提供するのとは違った“特有の難しさ”があった。お客さまの売上が上がらなければモノは動かず、物流市場全体 も活性化しない。そこでお客さまの売上アップをご支援することも必要だと考えて、Fun! Japanの提供を開始した」

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「Fun! Japan」とは

 ASEANでは、2020年にアッパーミドル層以上の人たちが1.7億人以上になると予想されている。4年後には日本よりはるかに大きな市場が生まれるということだ。これに伴い、ASEANに注力する日本企業の割合も年々高まっており、2012年の時点でその割合は中国を抜いたというデータもある。

 ASEAN諸国には日本好きの消費者も多く、日本の商品やサービスが浸透しやすい土壌がある。またスマートフォンを使ったソーシャルネットワークによる コミュニケーションが主流で、タイ/マレーシア/インドネシアにおける消費者1人当たりのFacebookの平均友達数は日本と比較して3~4倍の300人以上という結果も出ている。つまり、ソーシャルメディアを使って情報が広く拡散されていく傾向があるのが特徴だ。

「我々はこの日本好きの市場に対して情報を提供すれば、それがソーシャルメディアですぐに広がり、口コミによって購買にまできちんとつながっていく可能性があるのではないかと考えた」

Fun! Japanの会員はアクティブで、高単価な商品を買うことができる人たち

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日本通運
事業開発部
アジア・マーケティング・
プラットフォーム推進室
係長
石田 和也 氏
 次に石田氏は、ASEANへ進出する日本企業の苦戦の原因となっている3つの課題を明らかにした。

 1つめが、ASEANの消費市場のニーズが分かりにくいという点だ。ASEANと一括りに言っても、国によって民族や所得層、あるいは宗教や人種は大きく異なる。そうした人たちの本音を把握しにくいという課題は多くの日本企業の声として挙がっている。

 2つめが、適切な販促の仕方が分からない、あるいはそもそも大きな予算がないというプロモーション上の課題だ。そして3つめが、一人一人の消費者と継続した関係構築をするためのツールが存在しないというマーケティングプロセス上の課題だった。

「こうした3つの課題を解決する手段がデジタルマーケティングプラットフォームのFun! Japan。我々は顧客企業にFun! Japanを活用していただき、中長期的な売上につなげていただくことを目指している」

 また日本企業がASEAN諸国でオウンドメディアを立ち上げる際にも、大きく2つの課題があるという。1つめが社内でどう人的リソースを割くのかという運営上の課題、2つめがどうやって見込み客を集めるのかという集客の課題だ。

「ASEANでは消費者ニーズがバラバラだ。万一、想定していたターゲット層とまったく違う人たちが集まってしまった場合、お金をかけて仕組みを作ったにも関わらず、最終目的の購買まで結び付かないというリスクがある。実際にホームページやソーシャルメディアなど、デジタル系の施策を立ち上げたものの、それほどうまくいっていないという声も聞いている。Fun! Japanは、こうした課題も解決するものである」

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日本企業の抱える課題

 Fun! Japanは現在、インドネシア、タイ、マレーシアの3か国で展開しており、国ごとにホームページとFacebookページを設けている。先にも触れたが、ホームページの会員数は28万人以上、Facebookのファンは280万人以上だ。1日当たりのいいね!の数は3か国で1万件を超え、Facebookのコメントなどによる情報のシェアも月間で3万件を超えている。

「さらにFun! Japanでは、会員1人当たりの年収がいくらかもセグメントとして見ることができる。実施したアンケートによれば、各国平均の1.4~1.8倍の年収を持つ人たちが集まってきている。ホームページとFacebookページを併せたFun! Japan会員の大きな特徴は、まずその規模が大きく、Web上でアクティブで、かつ日本の高単価な商品を買うことができる人たちのセグメントだと言える」

 またFun! Japanでは、会員の基本属性に加えて、ライフステージや興味などの情報も蓄積しており、都市やエリアごとにどんな傾向があるのかも把握することができる。これによってユーザー企業は、細かいターゲティングを行うことが可能となっている。

【次ページ】カスタマージャーニーの5つのプロセスごとに支援サービス

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