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2016年05月06日

ジェフ・ベゾスに学ぶイノベーターの仕事術

アマゾンはなぜ「利益度外視」「低価格」か? ベゾスの頭にあった「ジョブズの失敗」

1990年代半ばから2000年代初めにかけてインターネットに関わる多くの企業が生まれたが、なかでもアマゾンはインターネットビジネスの最初の成功者であり、ITバブルの崩壊をも乗り越えたという点で別格の存在とも言える。創業から20年あまりでウォルマートに匹敵するほどの存在となったアマゾンの創業者ジェフ・ベゾス氏の仕事術を知ることは次なるイノベーションを起こすうえで大きなヒントになるのではないだろうか。

執筆:経済・経営ジャーナリスト 桑原 晃弥

今の利益を未来の事業に投資して未来の利益を追い求める

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ジェフ・ベゾス氏

 ベゾスほど赤字であることを誇り、利益が出ないことを堂々と正当化する経営者は珍しい。サービス開始から2年後の1997年にアマゾンは株式公開を果たしているが、その際もベゾスはアマゾンが創業以来、多大な損失を被っていることをはっきりさせたうえで、こうした損失は今後も出続けるし、損失率はさらに大きくなるかもしれないと明言している。

 普通はこうした利益の出ない、利益予想を口にしようともしない企業に投資する人はいないはずだが、ベゾスは現在の損失は将来の大きな売上と利益を得るための戦略であるとしてウォール街を納得させている。当時、こんな言葉を口にしている。

「利益は出ていません。出そうと思えば出せますけどね。利益を出すのは簡単です。同時に愚かなことでもあります。我々は今、利益になったはずのものを事業の未来に再投資しているのです。アマゾン・ドット・コムで今利益を出すというのは、文字通り最悪の経営判断だと言えます」

 では当時、利益になるはずのものを何に投資していたかというと、「将来、もっと大きな企業になることを期待して、テクノロジー、マーケティング、ブランド構築」に投資、「アマゾンというブランドから質の高いサービス、低価格、使い勝手の良さ、権威あるセレクションを連想してもらう」ように大量の資金を投じていた。

 利益を無視してでも「速く大きくなる」というのが当時のベゾスの考え方であり、それはアメリカのITバブル崩壊に際しても、またその後も決して揺らぐことはなかった。

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 バブル崩壊後、アマゾンの株価はわずか6ドル(ちなみに現在は600ドルを超えている)にまで下落、「インターネットのイメージキャラクター」は一夜にして「インターネットのスケープゴート」に成り果て、さすがのベゾスもリストラなどを敢行、2001年第4四半期に創業以来初めての黒字を計上することになった

 この時、ベゾスは「とても嬉しい結果を出せました」と素直に喜びを表現しているものの、一方で「まだやらなければならないことが山とあります」「世界で5兆ドルと言われる小売市場のうち、どこまでを押さえられるかです」と決して成長への意欲が衰えることはなかった。バブル崩壊の危機を乗り越えたベゾスは再び「速く大きくなる」を追うようになったばかりか、キンドルの開発やAWS(アマゾン・ウェブ・サービス)といった新たな事業にまで手を広げるようになった。

 こうした新規事業に関して、周囲からは「なぜそんなことをやるの?」という疑問の声が多かったが、ベゾスはこう言って反対をはねのけている。

「ビジネスにおいてよく出る疑問は『なぜそんなことをやるの?』というものです。いい質問です。でも、とするなら『なぜやってはいけないの?』という疑問も、それと同じくらい正当性があるのです」

【次ページ】アマゾンが「低価格」「利益度外視」で提供する理由とは?

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