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2016年05月18日

グローバル経営者に伝える日本の弱点(7)

シスコ、GEはどうやって企業文化を変えたのか? グローバルな強い企業文化の作り方

企業を語る上で無視できない企業文化。しかし、「企業文化とは何か」「業績と企業文化には関係があるのか」と聞かれると困るビジネスパーソンも多い。経営者と命題のあるべき関係を解説する本連載、今回はシスコシステムズ、GEを例に、「社員マネジメントの一環としての経営者主体企業文化の構築」をアクト・コンサルティング取締役経営コンサルタント野間彰氏が解説する。


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経営者主体企業文化の構築とは

企業文化とはそもそも何か

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アクト・コンサルティング
取締役 経営コンサルタント
野間 彰氏

――前回は、日本のグローバル企業が解決すべき命題の1つとして、事業ポートフォリオの組み換え最適化の話を伺いました。今回は、もう一つの重要な命題として、グローバルな強い企業文化の確立についてお話し頂けるそうですが。

野間氏:はい。欧米の大手企業と日本のグローバル企業の大きな差として、グローバルグループの中に強い企業文化を作り上げることを、経営者が自分の仕事として取り組んでいるかどうかということがあると思います。

――企業文化を作り上げるとは、具体的にどういうことでしょう。

野間氏:ここでは、企業文化を、短い言葉で認識できる、組織に定着している自律行動と定義しておきましょう。一般的に言われているバリューやウェイ、行動規範やコンピテンシーモデルなどは、企業文化の定着や改革のための方法だと捉えられます。

 例えばダイバーシティー(多様性)はグローバル企業にとって重要ですが、ある企業で、ダイバーシティーを常に意識し仕事で活用実践し成果を上げているハイパフォーマーが、具体的にどのような自律行動を取っているか分析しました。その結果、「人種や文化が異なる多様なメンバーの中に、考え方の違いに基づく混乱を引き起こし、これを前向きな方向性へと昇華させ、この方向に向かってメンバーをリードする」という自立行動を励行していることが分かりました。このハイパフォーマーと同じ自律行動をグローバルグループの全マネージャーが実践できたら、この会社はとても強くなるでしょう。

 実際にこの分析を行った企業では、ダイバーシティーを進めるための自律行動を、コンピテンシーモデルを使って定義し、四半期に一度の上長レビューでは、この期間に実践したダイバーシティーを報告し、これを上長がレビュー評価し、また必要なコーチングが行われています。上長レビューでは、具体的にどのようなメンバーの間に、どのような混乱を引き起こし、これをどのような方向へと昇華させ、どうやってメンバーをリードし、どのような成果を得たか、具体的な報告が求められます。このようなことを組織的に実践する中で、一部のハイパフォーマーのパワーのある自律行動を、グローバルグループに普及させることができるわけです。

シスコシステムズ、GEで実践された企業文化構築とは

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――企業文化の重要性は理解できましたが、ハイパフォーマーの調査やコンピテンシーモデルへの組み込みなど、かなり手間がかかると思います。本当にここまで行う必要があるのでしょうか。

野間氏:例えばシスコシステムズでは、持続的な成長を達成するために、コラボレーションの企業文化を組織に浸透させ、強い組織、自立学習する組織を作る3ヵ年の活動を行い成果を上げました。当社は、成長の過程で100を超える企業をM&Aしてきたため、グローバルに協力し合わないと仕事が進まない環境にありましたが、グローバルに事業単位で縦につながる組織であるため、部門を越えた協力関係は強化の必要がありました。

 そこで、まずコラボレーションを「世界のどこかで困っている仲間がいたら必ず助ける」と定義しました。他部門、他拠点で困っている人がいても、「まず上長に話を通して、承認されてからでないと助けない・・・」という企業文化では、グローバルコラボレーションはできない。そこで、トップダウンに企業文化の改革を行ったのです。

 例えば部門単位では、会議開始後5分間、コラボレーションについて話す。年1回の合宿で、コラボレーションについてだけ議論する時間を作り、コラボレーションを腑に落とす。また、コラボレーション推進のWeb会議や社内SNSなどのツールを普及させる。さらに、評価などの業務プロセスも企業文化改革のために変革しています。例えば360°評価で、被評価者が自分を評価してくれる評価者を選べるプロセスなどがそれです。自分が自部門以外でコラボレーションを通じてグローバルに貢献した場合、そのことを上長が知らないこともある。そこで、貢献した相手を評価者に選べるというプロセスを作った訳です。

 GEは、バリューつまり価値観によってグローバルグループの企業文化を強化し続けています。 例えば、現CEOのイメルトが2003年に「GEグロースバリュー」という新しいバリューを作りました。これは、それまでのGEの実行と効率を重視する企業文化を改め、世界の経済成長に対応するため、事業とリーダー自身が成長し続ける企業文化を作るために確立されたものです。グロースバリュー確立のために、グローバルグループのリーダークラスへのインタビュー調査などを実施した後、最後はCEOが自ら作りだしました。

 グロースバリューは、その後、世界的な景気後退を経験した後2009年に見直されました。これは、CEOが、世界の環境変化に対して現在のグロースバリューは正しいのかという疑問に基づいています。そこで、他の企業の世界中のリーダーへのインタビュー調査によってグロースバリューが検証され、バリューの中身が刷新されています。現在は「GEビリーフス(信念)」として更に進化しており、「お客様に選ばれる存在であり続ける」「より速く、だからシンプルに」「試すことで学び、勝利につなげる」といった短い言葉で表現されています。

 人事考課は業績とバリューの発揮が同じウエイトで評価され、業績が良くても、バリューが発揮できていなければ、評価は半分しか得られない仕組となっています。採用の選考基準もバリューに基づきます。

【次ページ】日本の企業文化を構築・浸透させるために経営者がすべきこと

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