• 会員限定
  • 2016/05/16 掲載

星野リゾート星野氏、ネクスト井上氏らが議論、日本のインバウンド需要はバブルなのか

  • icon-mail
  • icon-print
  • icon-hatena
  • icon-line
  • icon-close-snsbtns
記事をお気に入りリストに登録することができます。
新経済連盟は、2030年までにインバウンドの観光だけで1億人・年間消費額30兆円の超観光立国を目指すという大目標を掲げた。これは自動車産業の輸出額よりも大きな野心的な数字だ。本当にこの高い目標を達成できるのだろうか? 新経済サミットでは、星野リゾート星野 佳路氏、ネクスト 井上 高志氏、ウォール・ストリート・ジャーナル ピーター・ランダース氏、楽天 山本 考伸氏が、日本の観光ポテンシャルを最大限に引き出すための施策について議論した。

フリーライター 井上 猛雄

フリーライター 井上 猛雄

1962年東京生まれ。東京電機大学工学部卒業。産業用ロボットメーカーの研究所にて、サーボモーターやセンサーなどの研究開発に4年ほど携わる。その後、アスキー入社。週刊アスキー編集部、副編集長などを経て、2002年にフリーランスライターとして独立。おもにロボット、ネットワーク、エンタープライズ分野を中心として、Webや雑誌で記事を執筆。主な著書に『キカイはどこまで人の代わりができるか?』など。

photo
日本は年間消費額30兆円の超観光立国を実現できるのか

日本のインバウンド需要はバブルなのか


 まずモデレーターのベンチャーリパブリック 柴田 啓氏は、日本におけるインバウンドの話を引き合いに出し、「現在、中国人の爆買いが大きな話題になっているが、この観光ブームは本当はバブルなのではないか?」と各パネリストに疑問を投げかけた。

 これに対し、星野リゾートの星野氏は「世界の旅行需要が伸びていることは事実だ。ただし伸びしろの多くが、日本に来ているという点は、円安など周辺環境が優位に働きすぎているからだと思う。かつて人気の観光地だったギリシャやチュニジア、トルコなどが、政治情勢や治安の不安から行きにくい状況になっている。そんな状況のなかでエキゾチックな日本に行こうという気持ちが働き、底上げになっている。その部分は、ある意味でバブルかもしれない」と分析した。

 ネクストの井上氏も、外部要因については星野氏と同意見だ。「バブルというのは、価値を提供していないものに対して『なんちゃって』の価格がついていること。その定義からすると、ちゃんと観光に来て、おいしいものを食べ、良い体験ができ、満足して帰ってもらう日本の観光は、バブルではない。本質を問われるのは、どれくらいリピーターになってくれるかということ。チャンスと言えばチャンスだが、これを維持するには相当努力が必要だろう」と指摘する。

関連記事
 ウォール・ストリート・ジャーナルのピーター氏も「長期的に見れば、日本の観光はバブルではないと思う。13億人の中国人も近くにいるし、中産階級も何億人もいて、多くの人たちが日本に来るようになった。毎年、中国人が来れば、フランスのように定期的に観光客が訪れる国になるだろう」と、外国人の立場から説明した。

 楽天の山本氏も、現況が観光バブルではないという主張だ。「本来持っている日本の価値が、ようやく海外に伝わるようになった。その価値を体験してもらうインフラが整いつつある状況だと思う。まだ未整備の面もあるので、もともと持っている価値と魅力は、こんなものではないと感じている」と、観光立国としての日本のポテンシャルに期待しているようだ。

 パネリストの意見を傾聴した柴田氏は「実は中国のアウトバウンド旅行者数は、1億2000万人もいる。日本の人口と同じ旅行者が、すでに中国から出ているという事実を聞いて愕然とした。こういう人たちが、日本にやってくれば、本当にすぐに観光客が1億人になってしまうかもしれない」と述べた。

【次ページ】国内需要をベースにしながらインバウンドを伸ばせ

関連タグ

関連コンテンツ

オンライン

アップデートに振り回されない 今やるべきSEO

今回は、累計約2,000社とのSEO取り組み実績のあるSpeeeが、アルゴリズムアップデートに強くなるためのSEOというテーマでセミナーを開催します。 24年3月に約4ヶ月ぶりとなるコアアルゴリズムアップデートが実施されました。 また同時に new spam policies の発表を行い、スパムアップデートも実施しています。 複数のシステムを調整しており通常のコアアップデートより複雑で、完了まで1ヶ月(通常は1?2週間)におよぶことが想定される、と公表されています。 アルゴリズムアップデートは、様々な業界やコンテンツの広範囲に影響を与えておりますが、Googleは上記以外にも大小様々なアップデートを実施しております。 Googleがアップデートを行う背景には、「より良い検索体験を提供する」という使命を実現する、というのがございます。 その使命の実現のため、時代の潮流を踏まえた新たな概念を取り入れたり、またAIなどの最新技術を用いたりしながら、日々バージョンアップを図っております。 今回のセミナーではまず、直近実施されたアルゴリズムアップデートを中心に、Googleが近年実施したアップデートの変化の傾向、及びGoogle自身やその関係者の発信内容を読み解きます。 それらを踏まえて、Googleがどのようなサイトを評価するのか、自社サイトでどのような方針のもとSEOを進めていくべきなのかを解説します。 ご参加いただいた方には、特典としてSEOヘルスチェックシートをご用意していますので、ぜひご参加ください。

オンライン

SEOはインハウス?外注? - 両方のやり方の比較やSEOのポイントを徹底解説

今回のセミナーは、昨年好評をいただいた『インハウスSEO』がテーマです。 「SEOに注力しており、より本格化するためにやり方や体制を見直したい」 「まずは内製でSEOには取り組みたいが、何からすればいいのかわからない」 「本当に内製でSEOの成果は出せるのか」 など様々な理由から、『SEOにインハウスで取り組むべきか』お悩みの方は多いかと思います。 今回のセミナーでは、インハウスSEOと外注のそれぞれやり方を比較し、そのメリット・デメリットなどを、詳しく解説します。 弊社においても、近年「インハウスSEOに取り組みたい」というご相談をいただくことが増えております。 ただし、SEOは中長期を見据えて取り組むことが前提となる施策であることから、短期的な視点で「自社でプロジェクトを回せるようになりたい」といった意向のみでなく、 コストや運用の負荷など様々な観点を比較し、売上やコンバージョンを最大化させるために、自社に見合う方法を合理的に決める必要がございます。 セミナー本編においては、まずSEOプロジェクトの基本的な進め方や実施する施策のイメージを皆様に持っていただきます。 その上で、インハウスSEOと外注での実施方法についてメリット・デメリットを比較し、それぞれどのような事業者様に向いているのか、わかりやすく説明します。 ご参加いただいた方には、特典としてコンテンツのユーザーインテントをチェックできる「サイトヘルスチェックシート」をご用意していますので、ぜひご参加ください。

あなたの投稿

    PR

    PR

    PR

処理に失敗しました

人気のタグ

投稿したコメントを
削除しますか?

あなたの投稿コメント編集

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

通報

このコメントについて、
問題の詳細をお知らせください。

ビジネス+ITルール違反についてはこちらをご覧ください。

通報

報告が完了しました

コメントを投稿することにより自身の基本情報
本メディアサイトに公開されます

必要な会員情報が不足しています。

必要な会員情報をすべてご登録いただくまでは、以下のサービスがご利用いただけません。

  • 記事閲覧数の制限なし

  • [お気に入り]ボタンでの記事取り置き

  • タグフォロー

  • おすすめコンテンツの表示

詳細情報を入力して
会員限定機能を使いこなしましょう!

詳細はこちら 詳細情報の入力へ進む
報告が完了しました

」さんのブロックを解除しますか?

ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。

ブロック

さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。

さんをブロックしますか?

ブロック

ブロックが完了しました

ブロック解除

ブロック解除が完了しました

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

ユーザーをフォローすることにより自身の基本情報
お相手に公開されます