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2016年06月03日

企画部門は、営業の「一度始めたことがやめられない病」に「それ、無駄」といえるか

「営業」にせよ、「広報」にせよ、はたまた「人事」にせよ、その部署名とはすなわち、その企業組織において発揮することが期待される「機能」を指した名称である。企画系部署もその例外ではなく、ある一定の機能が期待されているわけであるが、彼らがその機能として期待されるのは、現場での営業活動そのものではなく、「営業活動がより生産性の高いものとなるような施策の立案、実施」という、若干、抽象化されたものである。企画チームへの評価とは、本来であれば組織全体の生産性向上への寄与に応じてなされるべきところであるが、この抽象性には、大いなる罠が存在する。現場を持たない「企画」という部署は、ともすると現場への負担を増してしまうだけの存在に堕してしまうリスクを常にはらんでいる。

執筆:人材・組織コラムニスト 後藤洋平

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現場を持たない「企画」という部署がすべきこと


経営会議のお決まりパターンとは

 多くの企業においては、定期的に経営会議なる会議が開かれ、その名の通り、経営上の課題についての討議が行われる。

 そこでの主なトピックとは、営業・製造部門における損益状況、新規投資案件の進捗状況、財務・経理、人事といったところがお決まりのメニューである。

 企業によって、議論の切り口に多少の違いはあれど、そこで問題にされていることはたったひとつ、「一体いかにして成果を出すか=利益を創出するか」ということである。そして、そこで槍玉に挙げられる筆頭者はおおよそ、営業部門の責任者になりがちである。

社長「随分長いこと営業目標の未達成が続いているが、これはいったいどうなっているのか。市況から言っても、そんなに高すぎる目標でもないと思うのだが。このままいくと我が社だけ成長率が低迷したまま、同業他社に取り残されるのと違うか」

営業部長「ははっ 言い訳のしようもございません」

社長「ちゃんと日々の行動管理はできておるのかね、既存顧客ばかり回って新規にあたってないのと違うか?先TEL案件はその場でクロージングできとるのか?」

営業部長「ははっ 普段から、きちんと指導をするようにとマネージャーにも指示しているのですが・・・」

社長「きちんとって、どれくらい徹底できてるの。ちょっとそれ、ちゃんと数字とって報告してくれる」

 冷や汗が止まらない営業部長。もし仮に、心のなかで「いやいや、あんな目標、達成できるわけないやろ・・・」と思っていたとしても、それを「できない」と表明することは日本的組織におけるマナーから反することである。

 ともあれ、責任者たるもの、それが未達成である現実と向き合わなくて良いという話にはならない。組織のいかなるところに課題があるのかを発見し、それを解決するのが彼または彼女の責務である。

営業部長はなぜ「一度始めたことがやめられない」のか

 ということで、そのブレーンたる営業企画チームの仕事がここに発生する。経営会議が終わるやいなや、営業部長は片腕としている営業企画担当者を捕まえて、このような会話が繰り広げられることになる。

営業部長「営業マンの行動管理ってどうなってたっけ」

営業企画「行動管理って、一日あたりの顧客訪問件数ですか」

部長「そう、それ、そういうやつ。なんか数字とってたよね。いま営業電話の件数って目標ラインに乗っかってるんだっけ」

企画「営業電話の件数までは数字とってないですね・・・いまのフォーマットでとってるのは、あくまで訪問の件数なので」

部長「新規と既存の区別ってしてるんだっけ」

企画「新規案件か定期訪問かの区別はしてますけど」

部長「いや、顧客単位での新規と既存が見たいんだよね」

企画「・・・データを加工すれば、なんとかそれらしい数字は出せますけど・・・ちなみに、顧客は企業単位で出しますか、部署単位で出せばいいですか」

部長「・・・ああ、そうだよね、どうしようか。主要顧客は部署単位、取引が大きくないところは企業単位でいいんだけど、いい感じに出してくれない。あ、あと営業電話の件数、どうにかしてとれない」

企画「日報に項目を増やせば」

部長「じゃあそれやっといて。次の営業会議で記入方法を現場におろしといて」

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 結果、営業マン達は業務日報フォーマットの項目追加に四苦八苦することになるのであった。事務作業の増加は、現場においては、即、不満につながる。これに耳をかたむけ、ときになだめ、すかして、必死の思いでフォーマットを展開するのは良い企画担当者である。

 東に入力方法がわからない新人がいれば言って聞かせ、西にファイルをなくしたベテランがいればバックアップ方法を説き、やっとの思いで数字を集計する。しかし、それが実現したときには、トップの関心は別のことにうつってしまい、結局その数字は、一顧だにされなかった、という馬鹿らしい話はそこら中にある。

 こうした数字の集計活動は、マネジメントサイドの思いつきだけでなく、コンサル会社の提案やらシステムベンダーの提案やら、ありとあらゆるきっかけで発生する。似たような数字でも、見たい角度によってカテゴリ分けや集計ルールが違ってくるため、現場の人々は、ありとあらゆる二重入力を強いられることになる。

 こうして、あらゆる企業において、種種雑多なツール、システム、Excelシート、メールが入り乱れ、なにがなんだかわからない状況が発生する。

 それぞれ、各論だけを見るとその数字をとる意味は理解できるが、似たような集計を別の場所でも行なっており、明らかに体感としては、不要な二重入力を行なっている。全体として俯瞰すると、どうも非効率的な管理方法となっているわけだが、ではどれが不要なもので、終わらせるべきなのかを考えようとすると、うまく整理することができない。

 こうして、ながい業務運用の歴史上、営業企画チームが、「企画」とは名ばかりの「数字集計チーム」に堕してしまうことも珍しくない。

 これこそ、我が国の企業社会において日常的に繰り広げられている姿、名づけて「一度始めたことがやめられない病」である。

【次ページ】営業の無駄な数字集計を「それ、無駄」と指摘できるか

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