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2016年06月08日

相次ぐ「地方百貨店」の閉店、地方は「もうダメ」なのか

岩手県花巻市のマルカン百貨店が、7日に閉店した。花巻市に限らず、全国で地方百貨店の閉店が後を絶たず、中心市街地の空洞化が深刻さを増している。地域の人口減少や郊外型ショッピングセンター、インターネット通信販売との競合などから、売り上げ減少に歯止めがかからないためだ。後継店が見当たらない地域では、苦肉の策として市役所などが入居し、にぎわいをとどめようとする動きもある。流通科学大商学部の向山雅夫教授(流通論)、中京大総合政策学部の坂田隆文教授(マーケティング論)とも「今後も百貨店冬の時代が続く」とみており、地方都市の苦境はさらに続きそうだ。

執筆:政治ジャーナリスト 高田 泰(たかだ たい)


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マルカン百貨店(岩手県花巻市)

(写真:Mutimaro/Wikimedia


花巻市のマルカン百貨店が7日で閉店

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 マルカン百貨店が閉店に追い込まれた直接の理由は、開店から43年目を迎える店舗が耐震診断で改修が必要と判定され、改修費用が億単位に上る見通しとなったこと。

 マルカン百貨店は1973年の開店。鉄筋コンクリート8階建て、売り場面積約4,700平方メートルの店内では、1〜5階で衣料品や家具、生活雑貨などを販売し、市中心部にある上町商店街の核店舗として、市内や周辺自治体から多くの買い物客を集めてきた。

 市内を一望できる6階の展望大食堂は、琥珀色の照明が昭和の雰囲気を演出し、人気を集めている。ナポリタンにカツを乗せた「ナポリカツ」や、高さ25センチのソフトクリームが名物メニューとなってきた。

 3月に閉店が発表されたあと、市民から存続を求める動きが上がった。市内の女子高校生が大食堂の存続を訴えるフェイスブックアカウント「マルカンプロジェクト-msc」を立ち上げ、街頭署名を集めるなどして存続を呼びかけている。

 地元で商店街の活性化事業を手掛ける花巻家守舎(やもりしゃ)は、耐震補強をしたうえで内部を改修するリノベーション案を打ち上げた。大食堂をそのままにし、1〜5階に物販やオフィスなどテナントを入居させる構想だ。

 花巻家守舎は耐震補強や施設整備に必要な初期コストを5〜6億円と試算、自社で4億円を調達し、市民らから2億円を募る考えを示した。実現可能かどうかの結論を8月末までに出す。花巻商工会議所は「マルカンは商店街の中核。市民の宝でもあり、再出発を期待している」と述べた。

そごう・西武は9月末で旭川市と柏市の2店舗を閉鎖

 セブン&アイ・ホールディングスは、傘下の百貨店そごう・西武が運営する北海道旭川市の西武旭川店と、千葉県柏市のそごう柏店を9月末で閉鎖する。周辺ショッピングセンターなどとの競争が激化し、業績が低迷しているためだ。

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9月末で閉店することが発表されたそごう柏店(千葉県柏市柏)


 西武旭川店は1975年に開業した。地下1階、地上8階建てのA館と地下1階、地上10階建てのB館があり、売り場面積は計約2万4,000平方メートル。日本百貨店協会に加盟した店舗としては北海道北部唯一で、JR旭川駅前と中心商店街の旭川平和通り商店街の核店舗となってきた。

 しかし、売り上げは1993年2月期の268億円をピークに減少を続け、2009年には一時、撤退も検討した。競合百貨店の閉店で旭川唯一となったため、存続してきたが、旭川駅前にイオンモール旭川駅前が開店し、2016年2月期の売り上げがピーク時の半分にも満たない105億円まで落ち込んだ。

 そごう柏店は市街地再開発事業で1973年、JR柏駅前に誕生した。売り場面積は約3万3,000平方メートルで、そごう初の回転展望レストランを本館14階に備え、複数棟を空中の連絡通路で結ぶ当時としては画期的なデザイン。柏市のシンボルとして隣県からも買い物客を集めた。

 しかし、つくばエクスプレスの開業後、沿線に大型ショッピングセンターの進出が相次ぎ、10期連続で減収に。売り上げはピーク時の1991年2月期に約590億円あったが、2016年2月期では115億円とピーク時の2割に落ち込んでいる。

【次ページ】2013年以降に閉店した主な百貨店と跡地利用一覧

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