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2016年06月22日

ビジネスモデル解説:スナップチャット

ツイッター、インスタ超え「スナップチャット」の衝撃 消える動画はなぜヤバいのか

スナチャの名前で知られるSnapchat(スナップチャット)が世界的に人気を高めています。10秒以内で消えてしまう写真や動画、画像を加工できる落書きやフィルター機能、スマートフォンに特化したタテ型動画などが10代、20代の若者から支持され、ツイッターやインスタグラムを上回る勢いでユーザーを増やしています。「消える動画」という特性は広告との相性もよく、コカ・コーラやマクドナルド、GEやゴールドマンサックスといった企業がスナップチャットを積極的に使ったキャンペーン展開を始めました。いったいスナップチャットは、これまでのソーシャルメディアと何が異なり、なぜ圧倒的な支持を集めているのでしょうか。

執筆:佐藤 隆之


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Snapchat(スナップチャット)はなぜ米国でウケている?


ツイッター、インスタグラムを超えたスナップチャット

 友人に送った写真が10秒で消える。そんなアイデアを聞いた人は誰でもバカげていると思うでしょう。しかし、スナップチャットはこのアイデアから世界的なサービスを作り上げました。

 いまや、スナップチャットで再生される動画は1日100億回を超えています。全世界におけるスナップチャットのアクティブユーザー数は日次で1億5000万人を超えており、Twitterをすでに上回りました。米国におけるiPhoneアプリの利用時間においても、スナップチャットはフェイスブックに次いで2位となり、3位のインスタグラムを上回っています。

 米国におけるスナップチャットの月間ユーザーの内訳は「18〜24歳(37%)」「13〜17歳(23%)」「25〜34歳(26%)」「35〜54歳(12%)」「55歳以上(2%)」。このデータを見れば、主に若者からの絶大な人気によって成り立っていることが分かります。

 10代20代の若者はスマホネイティブとも称され、ネットを介して、人やコンテンツに繋がっていることが当たり前になった世代です。彼らはフェイスブックやインスタグラムのような投稿が蓄積されるストック型のメディアよりも、スナップチャットのような「現在起きている出来事や友人の興味・関心が流れるフロー型の情報に価値を見出しているといえます。

スナップチャットが「ヤバい」理由

 スナップチャットが「ヤバい」理由は、投稿した動画が10秒で消えてしまうという点です。この特性は、投稿する側の人間にとって、画像を送信する心理的敷居が低くなります。フェイスブックでは他人にどう見られるか気になって投稿をためらったり、着飾ってみせたりすることがあっても、スナップチャットではそれらを気にする必要はありません。フィルター、レンズと呼ばれる豊富な画像加工機能を使ってどんなにくだらない、ふざけた画像を送っても、証拠が残らないのです。

 また、スナップチャットは、ユーザーの「今」における興味を非常にうまくとらえています。10秒以内に画像が消えるという期限を設けることで、スナップチャットは緊急性・希少性に対する人の心理を巧みに利用しています。「期間限定」や「タイムセール」という言葉に多くの人が弱いのと同様に、今しか閲覧できないと言われれば、余計に興味がそそられます。この緊急性こそが、アプリの利用頻度を極度に高めることに貢献しているのです。

スナップチャットのビジネスモデルは「3V」

 そんなスナップチャットのビジネスモデルは「3V Advertising」と呼ばれる広告が主要なものとなっています。3Vとは、「Vertical(タテ型)」「Video(動画)」「Views(全画面表示)」の略語です。

 スナップチャットはスマートフォンに特化したアプリであるため、いちいち画面の向きを変えなくても済むように、動画はタテ型で再生されます。このタテ型の広告もこれまでのSNSとは異なるイノベーションです。ヨコ型の動画に比べて、動画を最後まで視聴される割合が9倍になったと言われるほどの高い効果をもたらしました。

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(クリックで拡大)

スライド1枚で分かるSnapchatのビジネスモデル

(作成:高橋 博伸)


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 次に、「Video」というのは「没入型」の動画広告フォーマットを指します。スナップチャットでは、テレビCMと同様に、一連の動画の間に広告が挿入される形式で再生されます。YouTubeなどが動画再生前に広告を挿入する「プレロール型」を併用しているのに対し、スナップチャットはユーザーが興味を維持しやすい没入型に特化する戦略をとりました。最後に「Views」はスマートフォンの全画面表示によって視聴者が広告に集中しやすい環境を作っている仕様を意味します。

 広告モデルの他にも、スナップチャットは複数の収益化手法を展開し始めました。一つは、LINEの企業アカウントと同様に、公式アカウントを設置させ、時間制限付きクーポンなどのマーケティング基盤としての利用です。他にも、ユーザーに対するアプリ課金も導入されています。場所限定のジオフィルター(画像加工機能)、送付された写真の複数回閲覧など、お金を払えば利用が可能になります。

 2016年の売り上げ予測は3億ドル以上と言われ、2015年の6倍以上に上ります。10代20代の熱狂的なユーザーと、その層にアピールした企業によって商業的にも大きな流行を創り出しています。投資家からの期待も厚く、その評価額は160億ドルを数え、ドロップボックスなどと並び、世界でも有数なベンチャー企業となりました。

【次ページ】GE、ゴールドマンサックスもスナップチャットに注目

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