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  • 2016/07/01 掲載

中小企業が「オンラインストレージサービス」を選ぶ際に注意すべき点

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前回は中小企業がファイルサーバを活用する上での留意点について取り上げた。「何となく手元にあるサーバやPCをファイルサーバとして利用する」という選択は一見すると手軽で無難なように思えるが、実はライセンス違反や情報漏えいといった様々なリスクがあった。では、サーバやPCを自ら所有することなく文書ファイルを管理/保存する方法があったらどうだろうか?それがクラウドに文書ファイルを格納する「ファイルサーバ型オンラインストレージサービス」である。同サービスは本連載でも以前に取り上げたが、昨今は中小企業においても導入が増えつつある。そこで、今回は最新の調査データを元に中小企業が同サービスを選ぶ際のポイントを見ていくことにしよう。

ノークリサーチ 岩上由高

ノークリサーチ 岩上由高

ノークリサーチ シニアアナリスト 博士(工学)
早稲田大学大学院理工学研究科数理科学専攻卒業後、ジャストシステム、ソニーグローバルソリューションズ、ベンチャー企業などでIT製品及びビジネスの企画/開発/マネジメントに携わる。ノークリサーチでは多方面で培った経験を生かし、リサーチ/コンサル/執筆・講演など幅広い分野を担当。著書は「AdobeAIRの基本と実践」「クラウド大全(共著)」(日経BP刊)など。

前回の記事


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オンラインストレージ/クラウドストレージ/データ共有サービスなど、いろいろな名称で呼ばれている

「ファイルサーバ型オンラインストレージサービス」とは何か?

 まず、「ファイルサーバ型オンラインストレージサービス」とは何か?を確認しておこう。

 オンラインストレージサービスとはクラウドサービスの一種であり、
「ストレージ機器を導入することなく、クラウド事業者が構築/運用するストレージ環境をユーザ企業がインターネットを介して月額/年額のサービスとして利用する形態」
のことを指す。さらに、昨今では用途に応じて以下の2つに細分化される。

1.ファイルサーバ型オンラインストレージサービス:
社内に設置されたファイルサーバと同じように各PCからアクセスしてファイルの参照/編集を行えるサービス

2.ストレージ基盤型オンラインストレージサービス:
主に業務アプリケーションが稼働するサーバ(サーバ自身もクラウドに配置されている場合が多い)に接続し、データの格納場所やバックアップ先として活用されるサービス

 ストレージ基盤型はクラウド上で新たに業務システムを構築/運用する際のデータ基盤として利用されることが多く、中小企業にはまだ馴染みが薄い。一方、ファイルサーバ型は「従来のファイルサーバ機器がクラウドへと移行し、自ら所有する必要がなくなったもの」と捉えることができる。中小企業にとってもイメージしやすいクラウドサービスといえるだろう。

 代表的なファイルサーバ型オンラインストレージサービスとしては、以下のようなものが挙げられる。


「個人向けサービス」の安易な利用には注意が必要

 以下のグラフは従業員数49人以下の企業におけるファイルサーバ型オンラインストレージの活用状況を尋ねた結果を2015年と2016年で比較したものだ。

画像
ファイルサーバ型オンラインストレージサービスの活用状況

 2015年~2016年にかけて「利用していない」や「状況を把握できていない」の割合は減少している。それだけファイルサーバ型オンラインストレージサービスの利用が進んでいるということになる。

 だが、「利用している」といった場合にもいくつかのパターンがある点に注意が必要だ。ファイルサーバ型オンラインストレージサービスには無償もしくは安価に利用できる「個人向けサービス」と企業での利用を前提とした有償の「法人向けサービス」がある。先に具体例として挙げたものはいずれも法人向けサービスだ。

 企業が業務で利用するためには「特定の相手の実に対して文書ファイルの共有を許可する」などの仕組みが必要となる。法人向けサービスにはこうした業務利用に必要なさまざまな機能が備わっている。

 一方、個人向けサービスは法人向けサービスと比べて機能が簡易だが、無償もしくは安価に利用できる。そのため、個々の社員が業務で利用するというケースも少なくない。

 「社員が個人向けサービスを利用していることを知らない」という企業もある。そうなると、「ある社員が自分の利用する個人向けサービスの設定を誤ってしまい、不特定多数に社外秘の文書ファイルが公開されてしまった」といったことも起こり得る。

 上記のような背景を踏まえて、先に挙げた調査データでは「法人向けと個人向けのどちらを利用しているか?および個人向けの利用を統制できているか?」といった観点から※1~※4の4つの選択肢を設けている。(複数の状況が混在する可能性もあるので、設問は複数の選択肢を選べるようになっている)

 先のグラフを見ると、「個人向けサービスを利用(※1、※2)」が「法人向けサービスを利用(※3、※4)」よりも多く、※1と※2は2015年~2016年にかけて増加している。

 この結果を見ると、「個人向けサービスで十分ではないか?」と考える中小企業が少なくないと考えられる。だが、先に述べたように個人向けサービスの安易な利用は情報漏えいなどのリスクを引き起こす可能性がある点に注意する必要がある。

【次ページ】なぜ法人向けサービスが必要なのか

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