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  • 2016/08/08 掲載

「単なるアイデア」で終わらないための「ビジネスモデルキャンバス」活用術

連載:イノベーションのすゝめ(2)

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イノベーションとは何だろうか? 普段何気なく使っているが、それがどういう定義なのか、なぜ必要なのか、どうすれば上手くいくのかは曖昧だ。本連載では、IT業界一年生の柏木亜依と共にイノベーションを一から学んでいこう。第2回は、ビジネスモデルを描くために必要なビジネスモデルキャンバスの活用法やVRIO分析について紹介する。

浅井 治

浅井 治

ソフトバンク勤務。愛知県生まれ。日立製作所系ソフトハウスにてオープン系ソフトウエア開発全般に携わり、その後、ジェイフォンに転職。以降、通信事業社でシステム企画に従事する傍ら、社内教育、大学講師を経て、現在、観光ビジネス、地方創生に関わるサービス企画に携わる。また、ITコーディネータ協会の各種のWGを通じて、イノベーション系の研修や人材育成に取り組んでいる。
Blog: http://asai.atso-net.jp
Facebook: https://www.facebook.com/innovation.susume/

photo
イノベーションのすゝめ(イラスト:のはらあこ)


前回はこちら
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ストーリーを考える

先輩!、イノベーションって、①専門性、②クリエイティブな思考、③モチベーションが大切だったんだよね。



あと、付け加えるとすれば、観察力と洞察力かな。
街を歩いていたり、電車に乗っているとき、何を見ている?



そうですね~。看板、信号、イケメン♥、スマホ……。



そこで、何か考えている?



……。



せっかくだから、考える練習をして「考える癖」をつけるといいよ。
たとえば、何故、信号は、緑、黄、赤なの?



だって、交通規則ですよね



その規則って、誰が決めたの? その規則が一番優れている? というように、何故だろう、どうしてだろうと考えていくと、「あ!そうなんだ!」って、その製品の本質が見えてきたり、サービスを設計した人の考え方に気が付くことがある。こういう練習をすると、物の本質を掴む練習にもあるし、想像力を膨らませ、柔軟な考え方ができるようになる。いざアイデアを出そうとする時、脳が働かないことがないように、脳を柔らかくしておくんだ。



継続が大切なんですね。



これは、一朝一夕にできることじゃない。イチロー選手が、毎日バットの素振りを欠かさないように、常に考える練習をして、「考える準備」をしておくんだ。



スポーツジムに通う感じですね?



そうそう、つらい訓練じゃなくて楽しくね。そうやって「モチベーション」をキープするんだ。今日からだって始められるでしょ。



他に練習することあるのですか?



そうだね。多くのビジネスモデルに触れること、かな。
これは、ビジネスモデルになれるという意味と、ビジネスモデルを考える際の「シナリオ」とか「ストーリー」を考えられるように慣れておくんだ。



ストーリーですか?



いわゆる「風が吹けば桶屋が儲かる」ということわざがあるけど、このストーリーを描くことが、実は、ビジネスモデルを考えることなんだ。最近は、ビジネスモデルとか、イノベーションとか、いろいろな書籍が並んでいるね。つまり、材料はいっぱいあるってことだね。



本を読むのは、苦手です……(><);



本じゃなくても練習できるよ。シナリオを描く練習は、「ニュース記事」などが使えるね。たとえば、新聞の一面に、『日本企業の海外進出が減速している』という記事があったとする。では、この事実を受けて、次に何が起こり、どうなるか? 想像力を働かせて考えてみる。正解なんてどこにもないから、勝手に考えればいいんだ。そして最終的には、どんな製品・サービスが売れるようになるのか? を考える。こういう練習をしていると、経済にも興味がわいてくるし、ユーザーの価値観で物を見ることができるようになる。



初老の男性にルージュを買ってもらうには?

じゃあ、どこから始めればいいんですか?



まず、目の前の物を見渡してみよう。身近なところにイノベーションがあるはずだから、身の回りを整理してみよう。「お客様の視点」というのも重要だね。一人よがりにならないように、みんなで、わいわいやろう!



どうやってやるんですか?



じゃあ、ちょっと、やって見ようか。



はい、お願いします。



たとえば、その製品は、20代の女性向けの製品だったとしよう。化粧品(ルージュ)とかを想像するとわかりやすいかな? それを、初老の男性客に買ってもらうためには? って考える。単純に、ルージュが売れるとは思えないね。



気持わる~いですね!



まぁ、そんなこと言わずに。
ルージュの基本機能って何だろう、何故、赤い色なんだろう。何故、あのような形をしているのだろう。などと考える。ルージュは、唇を若々しく見せるための物。この「若々しく」というニーズは、初老の男性にも使えるんじゃないかな?



あ! そうですよ。誰だって、若々しく見せたいですし、白髪染めってそういった製品ですよね。



そうなんだ、では、ルージュなどで培った、わが社の強みは何だろう? たとえば、色素の発色技術、携行しやすいケース、肌にやさしい、長持ちする──これらの技術を使った、男性用化粧品。「沁み隠し」でもいい。



シックなケースに入れて、出先でも抵抗なく使えるようにするとか。



だんだん、製品イメージができてきた?



名前を入れて、おじいちゃんへのプレゼントにも使えたり……。



というように、ルージュなどの化粧品で培った要素技術を使って、新製品、新市場ができそうな気がするね。



ドラッグストアだけでなく、皮膚科とか、老人ホーム、ケアハウスでも扱ってもらえますかね?



いいね! 既存のチャネルでなく、リーチしやすい「新しい」チャネルによく気が付いたね。



わーい、初めて褒めてもらいましたぁ。イノベーションって面白いですね!



ちょっと、整理してみようね。



はい。



まず、目の前の身近な物を見直した。その際、新しい顧客として「初老の男性」を想定したね。
そして、自社の得意分野を見つける。そしてそのアイデアを亜依ちゃんに話して意見を聞いたね。



はい。



そしたら、「若々しく」とう価値の他に、「おじいちゃんへのプレゼント」という新しい顧客価値が出てきたよね。チャネルの拡充もできたね。これって、クリエイティブな思考をしていたんじゃないかな。



そうですね、私の意見も役に立ったんですね!



そうだよ、みんなで考えると、こんな風に広がっていくんだ。



なんだか、わくわくしてきました。



その、「わくわく感」が大切なんだよ。楽しくなくっちゃ、やる気も出ないし。



もっとやりたいです! 次にどうするんですか?



おいおい、そんなに急がない、急がない。



もう、待ってられないです。



【次ページ】 「ビジネスモデルキャンバス」「VRIO分析」を活用する

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