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  • 2016/07/27 掲載

長野県の地場企業に「クラウド文化」は根付くか

CLOUD 長野 DAYS 2016レポート

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IT人材を対象に、「来て」「泊まって」「仕事をする」と上限1万円を補助する「ときどきナガノ」など、ITエンジニア向けにユニークな取り組みを手がける長野県。その長野県長野市で今年初めて行われた本格的なクラウドイベントが「CLOUD 長野 DAYS 2016」だ。長野にクラウド活用の文化を根付かせたいと、地元企業などが中心となって開催された。実行委員のジェイソン・フリッシュ氏は東京ではなく、地元長野でも最新の情報が得られる場所を作りたいと狙いを語る。

フリーライター 重森 大

フリーライター 重森 大

メインの活動フィールドはエンタープライズ向けITだが、ケータイからADCまでネットワークにつながるものならなんでも好きなITライター。現場を見ることにこだわり、毎年100件近い導入事例取材を行ってきた。地方創生の機運とともにITを使って地方を元気にするための活動を実践、これまでの人脈をたどって各地への取材を敢行中。モットーは、自分のアシで現場に行き、相手のフィールドで話を聞くこと。相棒はアメリカンなキャンピングカー。


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長野で開催されたクラウドイベントは大盛況だった

いずれは大規模イベントに育てていく第一歩

 実行委員長である、使えるねっと 代表取締役社長 CEOのジェイソン・フリッシュ氏はイベント冒頭の挨拶で、本イベントが持つ意義について次のように語った。

「今日1日のイベントですが、イベント名はCLOUD 長野 DAYSとしました。これはいずれ複数日にまたがるような大きなイベントに育てていきたいという強い思いからです。いずれは北信越だけではなく、日本全国からクラウド事業者が集まってくるようなイベントにしていきたいと考えています」(フリッシュ氏)

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使えるねっと 代表取締役社長 CEO ジェイソン・フリッシュ氏

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 海外の大型イベントでは数日にわたってイノベーションについて講演が行われ、夜には飲食を楽しみながら情報交換が行われる。そうした大型イベントを長野で育てて行きたいというのが、フリッシュ氏の願いだ。

 東京など大都市のイベントに参加しなければITの最新情報を得られないという状況を変え、長野にいながらにして日本国中の、果ては世界からも最新事情に詳しいスピーカーが集まるイベントにしたいという。

 その大切な一歩目となる今回のイベントだが、約200席の会場はほぼ満席。最新の情報を地元で得られる貴重な機会と捉えて多くの参加者が足を運んだようだ。

企業が生き残るためにクラウドを活用する

 次に登壇したのは、日本マイクロソフトの酒井 邦彦氏だ。酒井氏は社会の変化が早くなったことで、企業の生き残りも難しくなってきている訴えた。

「米国では企業の寿命は75年から15年に縮まったと言われています。これはフォーチュン500に挙げられる企業の平均寿命です。日本でもトップ100に数えられる企業はここ10年で45%も入れ替わりました。社会の変化に対応できない企業がどんどん淘汰されていく時代が訪れています」(酒井氏)

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日本マイクロソフト ホスティングサービスプロバイダービジネス本部
パートナーテクノロジーストラテジスト 酒井 邦彦氏

 社会の変化は加速度的に大きくなっている。人口構造が変化し、高齢者の介護に人手がかかるようになる一方で晩婚化も進んでおり、育児と介護のタイミングが重なる例も増えてきた。ITの側面からはコミュニケーションやコラボレーションのツールや使われ方が変わり、巷にあふれる各種のデバイスから大量のデータが日々生成され、セキュリティリスクの増大ももたらしている。

「これらの変化に対応して企業が生き残るためには2つのイノベーションが必要です。ひとつは企業の風土、文化を改革すること。もうひとつは、働き方を変えること。このふたつを同時に進めなければなりません」(酒井氏)

 こうしたイノベーションにおいてICTはツールでしかない。Office365も有力なツールのひとつではあるが、ツールを入れるだけで働き方の変革を実現できる訳ではないと酒井氏は強調する。

 マイクロソフトもかつては古い規範にとらわれて、課題を抱えていたという。組織間連携やチームとしての意志決定が迅速ではなく、労働生産性は今よりも低かった。

 都内に分散したオフィスの移動回数はトータルで1ヵ月当たり5500回以上、従業員の外出が多いことからオフィスの空席率は60%にものぼった。こうした労働環境を背景に、従業員のワークライフバランスへの不満は募り、柔軟な働き方ができないために、女性の離職率が男性に比べて1.8倍も高い状態にあったという。

「2011年、オフィスをひとつにまとめ、フリーアドレス制を取り入れました。その後もさまざまな取り組みを続け、ワークライフバランス満足度は2010年度から2015年度までに40%も向上、なおかつ事業生産性も26%向上させることができました」(酒井氏)

 ICTツールの導入など、一面的な取り組みではなく、ワークスタイル変革という総合的な取り組みとして行ったこと。そしてそれを一部の人だけではなく、全社員で行ったこと。この2つが大きな成功を収めたキーポイントだという。テレワークなどの取り組みを、育児や介護を抱えている人だけの制度として取り入れると、使いづらい雰囲気になってしまう恐れがあるためだ。

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変革推進のポイント

 ワークスタイルが変わり、ビジョンが変われば、ツールに求められる機能も変わる。新しい働き方で生産性を効率化するためには、チームワークを効率化し、時間や場所を問わない働き方ができるようにしなければならない。

【次ページ】ツールだけではなく売れる仕組みをクラウドで提供する

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