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  • 2016/08/19 掲載

広告代理店の世界ランキング:電通と四強を脅かす「デジタル」の新興勢力

アクセンチュアやIBMがランクイン!

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広告業界では、大手広告会社の経営統合、グローバル化が進んでおり、WPP、オムニコム・グループなど欧米の「四大メガ・エージェンシー」と、日本の電通の五大グループに集約されつつある。一方で、デジタル広告の急成長を背景に、ITを武器とする新興勢力が広告業界でも幅を利かせるようになってきた。その代表格がコンサルティングファームの米国アクセンチュアやIBMといった企業だ。デジタル広告は大手広告会社にとって第二の事業の柱と見られるだけに、新興勢力も入り乱れてのデジタル広告市場の攻防は、激しさを増している。

執筆:野澤 正毅 企画・構成:編集部 松尾慎司

執筆:野澤 正毅 企画・構成:編集部 松尾慎司

野澤 正毅:1967年12月生まれ。東京都出身。専門紙記者、雑誌編集者を経て、現在、ビジネスや医療・健康分野を中心に執筆活動を行っている。

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五大メガ・エージェンシーに続くのはなんとアクセンチュアだ

広告代理店とは何なのか

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 広告会社は、企業や行政機関といった広告主(クライアント)から、商品の販促や組織のイメージアップのための宣伝を請け負うのがメインの業務だ。

 世界的な大手広告会社の多くは、新聞や雑誌、テレビを使った広告だけでなく、商品のマーケティングや企画・デザイン、イベントや展示会といったセールスプロモーション、マスコミへのニュース提供(PR)といった具合に、広告に関するあらゆる機能を備えている。

 広告会社はよく広告代理店(アド・エージェンシー)とも呼ばれるが、(特に大手の)実態は代理店の枠を越えた広告・マーケティングの総合サービスプロバイダーであり、さらには、広告主と社会をつなぐ「コミュニケーションの総合コンサルタント」とでも言ったほうがふさわしい。

 一方で、広告会社は、新聞社や出版社、テレビ局といったマスコミの代わりに、媒体の広告スペースを広告主に販売するのも重要な仕事だ。広告主とマスコミの仲立ちをして、広告の需給をうまくマッチングすることが広告会社の腕の見せ所であり、それによって、マスコミの世界にも、隠然とした影響力を振るってきたのである。

広告費はテレビ、ネットが主軸に

 広告の器である媒体には、さまざまな種類がある。たとえば、ビルの屋上の看板、電車内の吊り広告、ダイレクトメールや新聞の折込みチラシなども広告媒体である(それらを「プロモーションメディア」とも呼ぶ)。

 とりわけ、これまで広告媒体の主力となってきたのがマスコミ四媒体(新聞、雑誌、ラジオ、テレビ)だ。日本の総広告費は年間6兆円前後と言われているが、その半分近くをマスコミ四媒体が占めている。

 さらに、四媒体の中でも、テレビが約3割と突出している。戦後のテレビの急速な普及、それを活用したマスマーケティングが高度経済成長に大いに寄与し、広告業界の飛躍的な発展にもつながったことは言うまでもないだろう。

 ところが最近、広告媒体に大きな変化のうねりが押し寄せている。インターネット利用者の急増に伴う「デジタル広告」の台頭だ。バナー広告やテキスト広告、検索エンジンを使ったリスティング広告など、さまざまなデジタル広告が続々と登場しているのはご存知のとおり。

 日本の総広告費に占めるデジタル広告の比率はすでに20%近くに達し、ネットはテレビに次ぐ第2位の広告媒体に成長している(「ネットで検索」といったネット連動型のテレビCMなども増えているので、実質的な比率はもっと高い)。

 既存の広告媒体が軒並み低成長やマイナス成長を強いられる中、ネットは2桁成長を続けており、数少ない広告のフロンティアと言っていいだろう。

 しかも、ITを駆使すれば、デジタル広告は、マンツーマンのダイレクトマーケティングや関連プロモーション、迅速・的確な広告の効果検証なども可能であることから、広告に新時代をもたらすとの期待も大きい。

 ただし、デジタル広告市場には、既存の大手広告会社のみならず、ITベンチャー、コンサルティング会社などが続々と参入、パイの争奪戦は激しさを増している。

広告代理店の世界ランキング、五大グループに集約へ

 ここで、世界の広告業界の勢力図を確認してみよう。これまで広告市場を牽引してきたのは日米欧など先進国の「メガ・エージェンシー」。先進国は豊富な消費マーケットを抱え、マーケティングのレベルも高く、広告媒体となるマスコミも発達していたからだ。

 しかし、先進国の消費マーケットの飽和と新興国の経済成長、経済のグローバル化に伴う広告のグローバル化といった環境変化によって、先進国の大手広告会社の海外進出が加速。さらに、デジタル広告事業のIT投資負担なども契機となって、経営規模の拡大を追求するようになった大手広告会社が合従連衡を繰り返し、現在ではメガ・エージェンシーは五大グループに集約されている。

 広告会社の経営規模を比較する場合、一般に収入から媒体費や広告制作費などの経費を差し引いた「売上総利益」が基準として使われる。売上総利益による広告会社のグローバルランキングは次のとおりだ。

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広告業界のグローバルランキング(総合)
(出典:AdvertisingAge,AGENCY REPORT 2016)


 世界第1位の広告会社は、1971年に設立された英国のWPPである。大型のM&A(企業合併・買収)を次々と成し遂げ、J・ウォルター・トンプソン、ヤング&ルビカム、グレイなどの有力広告会社を傘下に収めた。1998年には、アサツーディ・ケイ(ADK)とも資本・業務提携している。

【次ページ】デジタル広告エージェンシーのトップ15

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