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  • 2016/09/20 掲載

iPhoneさえも「ガラパゴス化させた」日本、Apple Payはモバイル決済の救世主か

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iPhone 7/iPhone 7 Plusが16日、発売になった。今回、特にインパクトがあったのが「FeliCa」と「Apple Pay」への対応だ。NFCについては、2010年~2012年に一度盛り上がったものの、2013年以降の国内の盛り上がりは沈静化。その大きな理由は、iPhoneのNFC非対応だった。2014年の秋以降は、海外でApple Payのサービスが順次ローンチ。それが今回、国内でも対応が実現したわけだが、その仕様は日本国内独自のものとなった。果たして今回のiPhoneのモバイル対応により国内でのモバイル決済の普及は加速するのだろうか。

TIプランニング代表取締役 池谷 貴

TIプランニング代表取締役 池谷 貴

編集などの仕事を経て、カード業界誌の版元において、雑誌編集、プランニング、セミナー、展示会などの運営に携わる。電子決済、PCI DSS/カードセキュリティ、ICカード、ICタグなどのガイドブック制作を統括。2009年11月にマーケティング、カード・電子決済、IT・通信サービスなどのコンサルティング、調査レポート・書籍の発行、セミナー運営、ポータルサイト「payment navi(ペイメントナビ)」「PAYMENT WORLD(ペイメントワールド)」などのサービスを手掛けるTIプランニングを設立した。

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iPhone 7/iPhone 7 Plusの最大の目玉は
「FeliCa」と「Apple Pay」への対応だろう

海外のApple Payと異なる仕様を選択

 Apple Payは10月からNTTドコモの「iD」、ジェーシービー(JCB)の「QUICPay」のポストペイ、交通系のSuicaに対応する形でスタートする。

 Apple Payは、海外をみても「支払い」からサービスがスタートしている。NFCでは、海外でパテントを取得した「Peer to Peer」の個人間送金、リーダライタモードを活用したタグの読み取りなどが可能だが、まずは店頭やオンラインでの決済をメインに据えている。

 また、米国をはじめ、英国、豪州、中国、シンガポールなど、非接触決済インフラが整備されている地域、もしくはポテンシャルが高い地域から続々とサービスが開始された。

 まずグローバルにおけるApple Payを見たときに注目したいのが、VisaやMastercardといった国際ペイメントブランドとの連携、そしてトークナイゼーションのサービスの2つだ。世界中で加盟店網が張り巡らされた国際ブランドと連携することでインフラの整備の手間を軽減。そして、カード番号を別の乱数に置き換えるトークナイゼーションの採用により、カード情報の漏えい時の危険性を軽減させている。

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Apple Payの利用画面

 海外のApple Payの開始前の2013年10月には、American Express、Visa、Mastercardがトークン化に対応することを発表。2014年3月には、合意したフレームワークに関する仕様書を公表していた。

 また、EMVカードやPIN入力決済による仕様を取りまとめたEMVcoでコンセプト化されたトークナイゼーションの技術が採用されている。クレジットカードやデビットカードなどの情報をトークン化し、別の番号に置き換えて利用する方法となるが、各国際ブランドでは、このトークンを生成し、スマートフォンやサーバへ書き込む機能を提供している。

 今回の国内対応で注意したいのは、各クレジットカード会社および国際ブランドのプレスリリースでトークナイゼーションという文字がまったく使われていないことだ。つまり、従来の国内のQUICPayやiD発行の形態を踏襲し、端末固有の識別子に紐づけて利用されていることが想像できる。

※本件については、国内の「Apple Pay」において、FeliCaを基盤とする決済サービスも同様に、クレジットカード番号をダミー番号に置き換えるトークナイゼーション機能を活用していることがわかった。たとえばJCBの「QUICPay」では「The JCB Token Pl atform (JTP)」 に沿った運用が行われている。すでに、大日本印刷がオランダのジェムアルト(Gemalto)と共同で、トークナイゼーション機能を有したApple Pay向けのクラウド型決済サービスの提供を開始している。

 実際、今回のApple Payでは、VisaやAmerican Expressがブランドとしての非接触決済対応を見送っている。たとえば、Visaでは「Visa payWave」、American Expressでは「American Express Contactless」といったISO/IEC 14443 TypeA/Bをベースとした非接触決済の仕組みを採用している。

 さらに、SE(Secure Element:セキュア・エレメント)に情報を書き込むApple Payの他にも、クラウド上で機密情報を管理する「HCE(Host Card Emulation:ホスト・カード・エミュレーション)」などの新技術が「Android Pay」や「Samsung Pay」で採用されている。今回のFeliCaでは、EMVcoで規定された仕様には準拠していない。

iPhoneも「ガラパゴス化」、国内での推進を見送る国際ブランドも

 また、American Express、Mastercard、JCB ブランドではアプリケーションやオンラインショッピングでの支払いにもApple Payを利用可能だが、Visaブランドでは対応していない。

 現在、国内でApple Payに対応するクレジットカード会社(イシュア)は、イオン銀行、オリエントコーポレーション、クレディセゾン、ジェーシービー、トヨタファイナンス、ビューカード、三井住友カード、NTTドコモが発行するクレジットカード、KDDIフィナンシャルサービスが発行するクレジットカード、もしくはソフトバンク・ペイメント・サービスのプリペイドカードとなっている。

 利用者は、上記のカードをApple Payに登録することで、実店舗での非接触決済、オンラインやアプリ内での支払いが可能だ。

 なお、今回は国際ブランドのグローバルな非接触決済のスキームとは異なるため、イシュアによってはVisaやAmerican Expressのカードが実店舗で利用できるものもある。

 また、Apple Payの対応として、AppleのサイトにはAmerican Expressのロゴが掲載されているが、これはクレディセゾンが発行するAmerican Expressブランドでカードが利用できるという意味合いであり、American Expressはイシュアとしての対応を発表していない。

 イシュアによって対応するカードは異なり、たとえば、三菱UFJニコスのMUFGカードのAmerican ExpressブランドのカードはApple Payに対応していないので注意が必要だ。

【次ページ】モバイル決済は本格普及するのか?

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