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- 2016/09/23 掲載
CURIOの高級ベビーカーはなぜ「イクメン」に売れるのか?
中森勇人(なかもりゆうと)
経済ジャーナリスト・作家/ 三重県知事関東地区サポーター。1964年神戸生まれ。大手金属メーカーに勤務の傍らジャーナリストとして出版執筆を行う。独立後は関西商法の研究を重ね、新聞雑誌、TVなどで独自の意見を発信する。
著書に『SEとして生き抜くワザ』(日本能率協会)、『関西商魂』(SBクリエイティブ)、『選客商売』(TWJ)、心が折れそうなビジネスマンが読む本 (ソフトバンク新書)などがある。
TKC「戦略経営者」、日刊ゲンダイ(ビジネス面)、東京スポーツ(サラリーマン特集)などレギュラー連載多数。儲かるビジネスをテーマに全国で講演活動を展開中。近著は「アイデアは∞関西商法に学ぶ商売繁盛のヒント(TKC出版)。
公式サイト http://www002.upp.so-net.ne.jp/u_nakamori/
イクメンやイクボスを目指す男性が「グッ」とくるベビーカー
何かと注目を浴びている小池百合子東京都知事の発言だが、中でも3200名の管理職を前に行った「イクボス宣言」は都の喫緊の課題の一つだ。小池知事は「都庁の残業の多さにびっくりした。皆さんが夜中まで仕事をすると部下は帰れない」と指摘。超過勤務の縮小、育児・介護休暇が取得しやすい職場づくりを訴えている。航空産業や自動車関連などの金属加工業が盛んな岐阜県のCURIO(キュリオ)は、高橋製瓦の三代目にあたる高橋陽介さんが2006年にベンチャーとして立ち上げた企業だ。自転車好きの高橋さんは「自転車でけん引できるベビーカーを作りたい」という一念から、長男の誕生を機に地元の車いすメーカーに製造を依頼。40台におよぶ試作品を経てついに自転車でけん引できる超高速ベビーカーの製造に成功した。
日本の道路交通法では、欧米とは違って許可なく自転車でのベビーカーのけん引は行えない。加えて、交通量の多い日本の道路事情では危険が伴う。そこで高橋さんが考えたのは、マウンテンバイクにベビーカーのイメージを重ね合わせた「ストローラーR」だ。高橋さんは「子供を運ぶためだけの道具ではなく、(イクメンを目指す男性が)子供と遊ぶための乗り物を作りたかった」と当時のねらいを語る。
ストローラーRはアウトドアでも使えるベビーカーだ。軽くて丈夫なアルミフレームや通常は5インチ程度が一般的な車輪を12.5インチと大径にし、ネガティブキャンバー構造(競技用の車いすに用いられているハの字型のタイヤ)を兼ね備え、安定性と小回りの良さを両立している。街走り仕様の前輪をオプションのトレイルジョイントに付け替えれば、四輪駆動車のようなグリップが得られ、砂や泥でもスタックしない。
また、ベビーの乗り心地をよくするためにサスペンションを標準装備し、車輪とシートの間に買い物かごが収納できるカーゴスペースを設け利便性を追求している。
二つに折りたためば自立するので、自宅での保管や車での移動に最適だ。「太めのフレームがかわいい、買い物に行ってもカゴが収納できるのでハンドルにぶら下げずに済む」と、イクメンだけでなく女性ユーザーからの支持も得ているのだという。
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