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2016年09月27日

#攻殻機動隊 × プロジェクト管理(2)

攻殻機動隊「公安9課」のチームワークはなぜ上手く機能するのか

プロジェクトがうまくいかない根本原因は、「想定外事象」にあるが、これに対処をすることができないのは、実はそれを担う組織の構造にある。営業がいて、PMがいて、SEがいて、プログラマーがいて、テスターがいて… という役割に応じて頭数を揃え、縦割り的に組織を構築するのは、ごく当然の定石的なアプローチであるが、これがチームの硬直化を招くのである。この状況と対照的なのが、攻殻機動隊で描かれる「公安9課」のチームワークだ。

執筆:人材・組織コラムニスト 後藤洋平

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攻殻機動隊で描かれる「公安9課」のチームワークとは

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プロジェクトを推進するために必要な4つの機能

 プロジェクトを推進するチームには、4つの機能が必要である。

(1)そのプロジェクトの方向性を意思決定する機能
(2)そのプロジェクトの目的を達成するための実務を遂行する機能
(3)工程の進捗を把握する機能
(4)工程における成果物の品質をチェックする機能

(1)そのプロジェクトの方向性を意思決定する機能
 原則として、プロジェクトはそれを実行する前に、実行計画が策定されるものである。当初立てた予定に対して、多くの場合は遅延や問題が発生する。これらが発生したときに、前進や撤退、追加投資や人員補充など、政治的な判断をする機能が必要である。

 また、多くの場合は、そのプロジェクトチームには利害関係者が存在しており、彼らに対して交渉を行うことによってしか意思決定は実現できないため、これもその機能に含まれることになる。

(2)そのプロジェクトの目的を達成するための実務を遂行する機能
 プロジェクトに限らず、あらゆる業務において、我々が行なっていることとの本質とは、「前の工程においてアウトプットされた情報やリソースを受け取り、それを加工し、次の工程にアウトプットする」ということである。

 何がプロジェクトをプロジェクト足らしめるのか、というと、「受け取るはずだと思っていたインプットが、ちゃんと届く」のがルーチンワークであり、プロジェクトは、「受け取るはずだと思っていたインプットが、ほとんどの場合、想定と違う」ということである。

(3)工程の進捗を把握する機能
 現場で実務にあたる人は、その目の前で直面する現実と戦うのがその本分である。当然、局所的な状況に縛られるため、全体状況を俯瞰することは難しい。そのため、それぞれの局所戦の状況を個別に把握したうえで、プロジェクト全体の進捗として統合する機能が必要となる。

(4)工程における成果物の品質をチェックする機能
 プロジェクトにおいては、それぞれの工程で生み出されたアウトプットは、即、次の工程のインプットとなる。(2)で述べた通り、プロジェクトにおいては、次に待ち受けている工程が問題なく処理できるものをアウトプットが、計画順守の要諦となる。これを着実に実行するためには、すべての工程における品質チェックの機能が欠かせない。

 さて、机上の空論的に考えれば、この(1)〜(4)の機能を発揮するスキルを有したプロジェクトメンバーが揃っていて、それぞれの役割を果たせば、それでチームはできあがり、ということになる。

 システム開発プロジェクトでいえば、営業がいて、PMがいて、SEがいて、プログラマーがいて、テスターがいて… という話である。ほとんどの場合は、プロジェクトメンバーの組成とは、これらの要因の頭数を確保する、ということになっている。

 もちろんこれは、間違ったことではない。むしろ、至極当然の話であり、これなしには話は始まらない。しかしこれに縛られると、プロジェクトはなかなかうまくいかなくなる。

プロジェクトはどのようにして崩壊するのか

 プロジェクトとは、時間が経てば立つほど、外部環境が変化し、そのゴールとすべきものや、マスト条件が影響を受けてしまうものである。それどころか、当初マスト条件だとされていたことが、結果的にはそうでもなかった、ということは珍しくない。

 そうすると、あらかじめ立てていた計画の根拠そのものに変化が発生することになる。当然、状況の変化に応じて、第二次計画、第三次計画、という形で計画は修正、更新されていく。よくあるプロジェクトの失敗例としては、この計画の更新に、人員や資材の配分変更が間に合わないというパターンである。

 こうした局面に差し掛かると、前編で挙げたような会話が発生する。

「テスターのスケジュール、どんな感じで確保してたっけ?」
「来週からのテストにむけて、予定通り人員確保してますけど、何かありましたか」
「実は、開発が終わるのがそもそも再来週だって、さっき連絡があってな」
「えええ、今からこのタイミングで、ですか… 一体どうしてまた」
「仕様が変わって相当手戻りが生じたみたいだ」
「またですか… テストの件、今からだと絶対また費用で揉めますね」
「ていうかそもそも再来週以降で人が押さえられるかどうかだな」
「ちなみに、テストケースって前書いてたので問題ないですか」
「そうなんだよな… 影響あるんだっけ」
「… 一応もう一回見なおしておきますね。仕様変更内容を教えて下さい」
「いや、たぶんまだドキュメントに落ちてない。あとでメール転送する」

 実際のところ、プロジェクト終盤でこうなると、各所でいくらベストを尽くそうとしても何を拠り所にしたら良いかわからない、機能不全状態に陥る一歩手前、という感じである。

攻殻機動隊「公安9課」のチームワークが上手くいく理由

 プロジェクトの失敗とは、想定外の状況や、状況そのものの変化から発生するものであり、これに対処をするためには、極めて迅速かつ柔軟にそれへの対応が必要となる。営業、PM、開発、テスト、と縦割り型チームでこれにあたってしまうと、あっという間にコミュニケーション不全が発生し、状況は硬直化してしまう。そうなったら、プロジェクトはおしまいである。

 さて、ここで、TVシリーズ版攻殻機動隊「STAND ALONE COMPLEX」に登場するキャラクターを元に、それぞれの役割の実現のされ方を見てみたい。

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巨体を生かし大口径火器を担当することもあるが、その外見とは裏腹に電脳戦を得意とするボーマ

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 チームメンバーは、対人格闘であればバトー、遠距離射撃であればサイトー、電脳捜査であればイシカワ&ボーマ、といった具合に、その守備範囲においては、得意能力によってある程度の役割分担が存在している。

 しかし、これらはあくまで定番的な構図というだけであって、これに縛られているわけではない。対人格闘はバトーが最も得意とするところだが、必要とあれば電脳戦もこなす。

 公安9課には、前工程と後工程、フロントとバックエンド、といった切り分けは存在しないのであって、事件の進行とともに、そのとき獲得している認識や情報を元に、自らフロントに立ったり、バックアップに回ったりと自由自在の連携を見せる。スキルありきで業務にあたるのではなく「その状況ありきでなすべきことをなす」という話が描かれているのである。

【次ページ】公安9課の意思決定プロセスに注目せよ

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