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2016年10月04日

保険版FinTechが始動!

インステック(InsTech)が迫る「保険の大変革」、第一生命や損保ジャパンの戦略とは

フィンテックの分野の一つに、保険(Insurance)と情報技術(IT/Tech)が融合した「InsTech(インステック)」がある。言わば保険業界版のフィンテックだ。保険業界では「世界の中心」の英国ロンドンが発祥の地だが、日本でも第一生命が昨年末に「インステックイノベーションチーム」を発足させ、損保ジャパンは腕時計型のウェアラブル端末を活用して健康状態を保険料に反映させる新しい医療保険の開発に乗り出している。インステックによって失われる仕事も登場する見込みで、今後保険業界は営業手法も社内体制も、大きく変わる可能性がある。

執筆:経済ジャーナリスト 寺尾 淳

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インステック(InsTech)は保険業界版のフィンテックだ

保険業界のフィンテック「インステック」はロンドンで生まれた

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 金融(Finance)と情報技術(Technology)の合成語「フィンテック(FinTech)」。昨年から金融庁が強力に推進し、銀行法を改正するなど規制緩和を進めている。

 日本銀行は今年4月、本店内に「フィンテック・センター」を設立。6月に「フィンテック・フォーラム」、9月には「フィンテック・サミット」が開催されている。ビジネス用語の部門賞があるのならフィンテックは、今年の金融界の「新語・流行語大賞」で受賞確実だろう。

 矢野経済研究所が今年3月に発表した「FinTech系ベンチャー企業の国内市場規模推移予測」によると、国内のフィンテック市場のスケールは2015年では33.94億円(見込み)だったが、2020年の予測は567.87億円で、5年で16.73倍になると見込まれる、まさに成長市場である。

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(クリックで拡大)

FinTech系ベンチャー企業の国内市場規模推移予測


 そのフィンテックの分野の一つに、保険(Insurance)と情報技術(Technology)が融合した「InsTech(インステック)」がある。

 この言葉が生まれたのは、「再保険」制度の大本で全世界のあらゆるリスクを最終的に引き受ける「ロイズ(Lloyd's)保険市場」があり、保険業界の「世界の中心」だと言ってもいい英国ロンドン。そこには「インステック・ベンチャー」も多数集まっている。

 ロンドンでは、そのベンチャー企業と保険会社、投資家、支援者の間を取り持ち「出会い」の場を提供するイベント「InsTech London Meetup "Show & Tell"」が定期的に開かれている。運営にはコンサルティング大手のプライスウォーターハウス・クーパース(PWC)も関わっており、会場では「ブロックチェーン」「ビッグデータ」といった“フィンテック用語”が活発に飛び交っている。

 特にビッグデータは、保険会社は加入者の膨大な情報を保有している上に、生活習慣病の疫学調査データなど医療関連情報の処理も関わってくる可能性があるので、インステックのキーテクノロジーと言える。また、販売の現場では人工知能(AI)の活用も有望視されている。

インステックに積極的に取り組む第一生命と損保ジャパン

 インステックの活用はフランスのアクサ、ドイツのアリアンツなどヨーロッパの大手が進んでいると言われるが、日本勢も決して負けていない。

 2015年3月期決算で、売上高にあたる保険料等収入で業界首位の日本生命保険を抜いてトップに立った第一生命保険は、「インステック」に積極的に取り組んでいる。昨年末、社内の各部門から約30名の精鋭を集めて専門チーム「インステックイノベーションチーム」を発足させた。

 米アクセンチュアと提携して国内外のフィンテック・ベンチャー企業との協力関係構築を模索し、ITを利用した保険引受時の手続きの簡素化や、ビッグデータを解析して健康を維持していれば保険料を割り引く新商品の開発にも着手している。

 同社の保険契約者は約1000万人に及んでいるが、その一人ひとりの健康状態、過去の支払い状況などの情報の蓄積は、まさに「ビッグデータ」。ITでそれを活用し、引受時の査定、保険商品の開発、販売などに生かすインステックを重要な企業戦略として打ち出している。

 ビッグデータを解析、活用すれば、たとえば今まで健康状態の査定で引受基準に達せず加入を断っていた人でも、加入できる可能性が出てくるという。それ以外でも、特定疾病の保障など顧客の細かい要望に応じられる商品の開発や、販売現場での的確な商品提案にもつながっていく。

 すでに第一生命傘下のネオファースト生命保険は昨年8月から、喫煙者と非喫煙者の病気発生率の差のようなビッグデータを解析して、非喫煙者の保険料を最大3割割り引くという医療保険を発売している。

 損保ジャパン日本興亜ホールディンクスは今年4月、有望なベンチャーの発掘を目的とする「SOMPOデジタルラボ」を東京とシリコンバレーに開設。サンフランシスコ最大級のインキュベーションセンターにテナントとして入っている保険分野のベンチャー企業との協力関係を模索している。

 ドイツのミュンヘン再保険、アメリカのステート・ファームなどとともに、保険分野に特化したベンチャーの発掘・育成プログラムにも参加している。

 また、損保ジャパン日本興亜は、歩数や睡眠時間などを測定できる腕時計型のウェアラブル端末を活用し、健康状態を保険料に反映させる新しい医療保険の開発にも乗り出している。

【次ページ】保険のどの業務から置き換えられていくのか

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