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  • 2016/09/30 掲載

mobeon CEOが語る日本がライブVRストリーミング参入に有利なワケ

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さまざまな分野で注目され、ビジネスへの展開も期待されているVR技術。ロサンゼルスに拠点を置くVR技術コンサルティング企業Mobeon LLCのCEO マーク・アラマレズ氏は、米国におけるVRの最新トレンドと、ライブ・イベント分野でのライブVRストリーミングの可能性について解説し、VRにおいて日本は有利だと論じた。はたして、その理由とは。

フリーライター 井上 猛雄

フリーライター 井上 猛雄

1962年東京生まれ。東京電機大学工学部卒業。産業用ロボットメーカーの研究所にて、サーボモーターやセンサーなどの研究開発に4年ほど携わる。その後、アスキー入社。週刊アスキー編集部、副編集長などを経て、2002年にフリーランスライターとして独立。おもにロボット、ネットワーク、エンタープライズ分野を中心として、Webや雑誌で記事を執筆。主な著書に『キカイはどこまで人の代わりができるか?』など。

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日本のVRはこれからどうなる


VRの活用が広まる5つの領域

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mobeon LLC CEO
マーク・アラマレズ氏
 1990年代からVRに関わってきたMobeonのCEO マーク・アラマレズ氏は「VRは新しいリアリティを体感する技術であり、いま米国でも利用シーンが広がっている」と語る。

 まずVRの活用シーンの筆頭に挙げられるのがカンファレンス分野だろう。「遠隔地にいる人とミーティングをする際に、アバターで他人と仮想的に会って、コミュニケーションが図れる。これは今後の利用法として期待されているものだ」(アラマレズ氏)

 VRは製造業でも活用されている。たとえば、製品の試作段階で、設計に不備がないかを調べ、設計に改善を加えられる。また、営業・マーケティン グ分野での商品デモにも利用できる。VRショールームで高級車に乗り、自分が座席で運転し、乗り心地や操作性の調査をすることも可能だ。

「あたかも自分がその場所にいるような臨場感によって、通常では経験できないことまで実現できる点が、VRの最大の特徴の1つだろう」(アラマレズ氏)

 臨場感という点では、VRはスポーツ分野でも威力を発揮する。フィールドに立っているような環境を提供し、ゴルフやバッティングのスキル向上にも寄与する。観光分野でもVRツアーを実施し、自分がVRを通して現地にトランスポートして、パノラマで風景を見ることができる。

「360度パノラマビューは、臨場感に加えて、もう1つのVRの特徴になる。複数のカメラで視点も選べる。自分が建築物に入って、間取りを見たり、家具を動かしたり、ディテールを調べられる。最近では本物と見紛うCG映像も実現している」(アラマレズ氏)

 医療分野では、VRをより良い診断に役立て、リアルタイムで手術を支援できる。またVRは、リハビリやセラピーにも応用できる。たとえば人前で話すことが苦手な人も、VRで訓練をすれば緊張せずに話せるようになるだろう。

「さらにECでもVRは有効だ。将来的に『VC(Virtual Commerce)』と呼ばれる分野が登場する。たとえばVRショップに靴を買いに行き、カスタマイズされた商品をオーダーできる時代が来るだろう」(アラマレズ氏)。

 このようなシーンを実現するVR機器のコストも下がってきた。現在では米国でも200ドル以下の製品が登場し、いよいよ一般消費者に手が届く範囲に入ってきた。

Netflix、Oculus、ソニー、Googleの野心

 VRの導入が進んできたものの、まだビジネスとしては発展途上の段階で、マネタイズに興味が湧く。

 2016年における米国のレンタルDVDのストリーミング市場は66億ドルほど。そのうち53%がNetflixが独占しているという。同社はコンテンツを月額で楽しめる「SVOD(Subscription Video On Demand)」で利益を得ている。アラマレズ氏は「Netflixはプラットフォーム上でオリジナルコンテンツも配信しているが、将来的にVRコンテンツも販売するようになるだろう」と予測する。

 そのほかの主なレベニューモデルには、トランザクションごとに課金される「TVOD(Transactional Video On Demand)」や、番組に広告を流して収益を上げる「AVOD(AD Supported Video On Demand)」、ブランドに関する独自コンテンツの資金を企業が出す「Branded Content」などがある。Branded Contentはコンテンツに自社製品を登場させたり、エンドロールにロゴを登場させて、ブランド化を図るものだ。

 VRコンテンツは、VR Store Platformsから入手が可能だ。たとえば現在「Oculus Store」や「Valve's Stream Platform」などがある。今後登場するPlatformとしては「PSVR Store」「Google Play Daydream」がある。また、ブラウザにビデオプレイヤーを組み込んで提供する方法も可能だ。この場合は視聴する際に、クレジットカードの支払い画面が現れて決済が行える。

「将来的に、VRはソーシャルと統合されるだろう。重要な点はグループでのVR体験だ。2Dライブストリームや、ビデオンデマンド、360度ビデオを通じてシェアできる。ソーシャルVRを確実に利用するために、われわれもfacebookも投資しているところだ」(アラマレズ氏)

 高性能なエンジンにより、リアルタイムグラフィックスとデータ分析も可能になる。

「スポーツ選手の統計を見たり、企業統計もネットから引っ張ってリアルタイムで閲覧できる。また『Volumetic VR』も広がりそうだ。これは、カメラで人を360度映像で撮影し、オブジェクト化するものだ。VRスペースでオブジェクトが統合される」(アラマレズ氏)

 これからは、従来のメディアと異なる考え方やアプローチをしなければならないだろう。VR制作・配信ツールが増えているため、ユーザー側にも力が与えられる。個人でも多くのフォロワーや閲覧者が得られ、新しいビジネスモデルを創出できるようになるはずだ。

【次ページ】日本がライブVRストリーミングに有利な理由

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