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  • 2016/10/12 掲載

茂木健一郎氏が予言、人工知能はむしろ「人間らしさ」の時代を巻き起こす

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人工知能が発達し、将棋や囲碁における「人間対人工知能」の闘いで人間が負けることが珍しくなくなった。しかし、本当に人工知能は人間より優れているのだろうか。脳科学者の茂木健一郎氏は、「人間と人工知能の本当の闘いはこれからだ」という。闘いはどう展開されるのか。人工知能が進化したら、どんな時代がやってくるのだろうか。

フリーライター 中村 仁美

フリーライター 中村 仁美

大阪府出身。大手化学メーカー、日経BP社、ITに特化したコンテンツサービス&プロモーション会社を経て、2002年、フリーランス編集&ライターとして独立。現在は主にIT、キャリアというテーマを中心に活動中。IT記者会所属。趣味は読書、ドライブ、城探訪(日本の城)。ネコと歴史(古代~藤原時代、戦国時代)好き。

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脳科学者 茂木健一郎氏


将棋「電王戦」に見る人工知能対人間の勝敗

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 「今、『世紀の一戦』が行われようとしている。それが人間と人工知能の対決だ」と茂木氏は力強く語り、『不屈の棋士』(大川 慎太郎著 講談社現代新書)という書籍を紹介した。同書籍はPONANZA(ポナンザ)をはじめとする将棋ソフト(人工知能)の登場で窮地に立たされた将棋のプロ棋士たちが、その現状に危機感を抱き、未来を真剣に模索している姿を描いた証言集である。この書籍を読んだ茂木氏は「魂が震撼した」のだそうだ。

 人工知能の基本は統計的学習である。ビッグデータを解析して、それを基に瞬時に最適な値を出す。そしてこの統計的学習分野において、「人間が人工知能と勝負をしても敗北が決まっている」と茂木氏は言うのである。

 その敗北の一例が今年行われた第1期電王戦だ。電王戦は、ドワンゴが主催する将棋の一般棋戦「叡王戦」の優勝者「叡王」と将棋ソフトの代表による対局だ。第1期電王戦では、山崎叡王が将棋ソフト代表PONANZAに完敗した。

 茂木氏は「私たちすべての職業が人工知能に取って代わられるのではないかという説も登場している」と語り、米国のある法律事務所が破産法専門の人工知能の法律家を雇用している例を示した。また、医学の世界でも人工知能は人間の地位を脅かしている。米IBMが開発した人工知能「ワトソン」が、白血病のタイプを見抜き、適切な治療方を助言したのだ。

「人工知能は100万件ぐらい論文を読んでおり、一人ひとりの遺伝子検査の情報も把握している。だからこそ、適切な診断ができた」(茂木氏)

 さらに人工知能技術が進むと、もはや人間の医者より人工知能の医者を信頼するようになるかも知れない。

人間にできて人工知能にはできないこと

 では本当に人間は人工知能に勝てないのだろうか。「電王戦は第一ラウンド。第二ラウンドから人間の逆襲が始まる」と茂木氏は力強く語る。ならば人間が人工知能より優れているものとは何か。

 先述の白血病を診断した人工知能「ワトソン」は、料理レシピを作り、解析することもできる。だが、ワトソンがいくら良い料理レシピをつくったとしても、ワトソン自身はその料理を味わうことができない。しかし、私たち人間はレストランで2時間かけて、オードブルからデザートまでを食べるという体験をすることで、幸せを感じることができる。

「人工知能はレストランのテーブルに座って食事を楽しむことができない。ざまあみろと思いませんか」(茂木氏)

【次ページ】人工知能がもたらす「人間らしさ」の時代とは

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