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2016年10月29日

「優秀な銀行マンの営業」をヒントにした不動産サービスとは?

野村総研の調査によれば、日本の富裕層の純金融資産の総額はおよそ241兆円と言われている。マイナス金利の影響で、この金融資産が不動産投資に流れにわかに活気づいている。これに追い打ちをかけるのが相続税の増税だ。いわゆる地主と呼ばれる富裕層が節税のためにと不動産を買う動きが出てきている。さらに海外の富裕層が投資目的で日本の不動産を買う傾向も見逃せない。こうした中で、銀行マン出身の経営者が手掛けた不動産サービスがにわかに注目を集めている。

執筆:中森 勇人

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2020年の東京五輪を控え、ますますヒートアップする不動産市場


不動産の帝国データバンク

 日本全国の不動産登記にかかわる情報をパソコンで検索できる「不動産レーダー」というサービスを開発したのがトーラスの木村幹夫社長だ。

 不動産レーダーは、日本全国から登記簿謄本を取り寄せそれをデータベース化している。地番や用途、期間、登記目的などに加え、登記簿の変化情報の検索も行えるほか、必要な登記簿謄本の取得、不動産情報のダウンロードも可能だ。Google マップとの連携もしており、現地に行かなくても物件の状況が見られる。いわば、企業情報を検索できる帝国データバンクの不動産版といったシステムだ。

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不動産検索サービスの一部


 この不動産レーダーがリリースされると、不動産業界からは「物件の動きがリアルタイムで掌握できるので営業のチャンスを逃さない」と好評を得る。というのも以前は、不動産情報を探すには、いちいち法務局に出向き登記簿を閲覧しなければならず、しかも膨大な情報の中から欲しいデータだけを取り出すことは至難の業だったためだ。

 最近ではインターネット上で不動産および法人登記情報を閲覧できる有料サービスもあるが、これらと比較した時の違いは、不動産レーダーは登記の閲覧やプリントアウトだけでなく、抵当権や所有権の移転など不動産売買のタイミングに重要な情報がリアルタイムで条件検索ができること。独自の検索エンジンによって不動産情報からエリアを絞り込み、不動産の相続・売買、処分の制限、滅失といった情報をもとに、不動産の動きを推測が可能だという。

 金融業界でも「借りたい人が一目でわかるシステム」と好評を得ている。ここ3年の間に大きなローンを組んだ物件を絞り込めば、マイナス金利で有利になったローンの借り換えが提案できるからだ。

「どんなに栄養価の高い料理であっても、それだけでお客さまから美味しいといって食べていただける訳ではありません。一番うまいのは『食べたいときに出てくるラーメン』です。いかにお客さまがお腹が減っているタイミングで、その隣に立てるようにするか。これがマーケティングの基本ではないでしょうか」(木村社長)

 こう語る木村社長がありそうでなかった、このシステムに行きついたのには自身の経歴が深くかかわっている。

なぜ優秀な銀行マンは法務局に通うのか?

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トーラス
代表取締役
木村幹夫 社長

 平成バブル期からバブル崩壊後の両方の時期にかけて、大手金融機関で営業をしていた木村社長は、どうすれば成績につながるのかを模索していた。優秀な成績を叩き出している先輩や同業者の動向を探っているうちにある共通点にたどり着く。それは「優秀な銀行マンは法務局に通う」ということだった。

 銀行にとって上客と言われる富裕層。普段なら玄関先にさえ入れてもらえず、けんもほろろに追い返されてしまうことも多いのだが、そんな富裕層が銀行マンを歓迎するタイミングが登記簿を見れば分かるのだという。

 例えば7年ほど前に実施された住宅ローン等の場合、ローン金利がそろそろ上がることから借り換え需要が予測される。あるいは数年前に発生した相続情報が分かると、そろそろ二次相続が発生することが予想される。こういう時期にお客さまのドアをノックできる銀行マンは、「お腹が痛いときに隣にいる医者」と同じくらい、頼りになる存在だ。そのような達人は追い返されるどころか、歓待を受けることになる。

 木村社長は「先輩たちのお供をするうちに登記簿のどこを見れば商機につながるかが分かるようになってきました。これはプロ野球の選手が成績の良い他の選手のビデオを見て研究するようなもの。繰り返すうちに『これか!』とコツのようなものが見えてくるといった感じでしょうか」と当時を振り返る。

【次ページ】富裕層がお金に困る時期は予想できる

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