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  • 2016/12/09 掲載

フィットネス業界の世界ランキング:コナミスポーツやライザップはトップ10に入るのか

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健康志向の高まりを背景に、今やフィットネス産業はサービス業としての確固たる地位を築いた。日本でも民間のスポーツクラブやフィットネスジムは毎年200か所以上も増加。テレビCMで一世を風靡した「RIZAP(ライザップ)」の躍進は多くの人が知るところだろう。世界規模でみても、フィットネスクラブ市場のトップ10には日本でもおなじみの企業が複数ランクインしている。今後フィットネスクラブは、成長期から成熟期に入り、合従連衡によるチェーン拡大の動きも活発化していくだろう。

執筆:野澤 正毅 企画・構成:編集部 松尾慎司

執筆:野澤 正毅 企画・構成:編集部 松尾慎司

野澤 正毅:1967年12月生まれ。東京都出身。専門紙記者、雑誌編集者を経て、現在、ビジネスや医療・健康分野を中心に執筆活動を行っている。

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フィットネスは成長産業だ
(© hagamera - Fotolia)

先進国の健康志向がフィットネス産業の追い風に

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 都市部の駅前や繁華街、ショッピングモールなどでは、必ずと言ってもいいほど「フィットネスクラブ」を目にするようになった。皆さんの中にも、フィットネスクラブの会員である、もしくは入会経験があるという人が少なくないだろう。

 主要なサービス業態として、いまやすっかり定着した感のあるフィットネスクラブだが、産業としての歴史は浅い。個人経営のスポーツクラブやトレーニングジムは昔から世界各地にあったのだが、米国などで大規模なフィットネスクラブが現れたのは戦後で、とりわけ、1980年代以降に急成長したと言われている。フィットネスクラブチェーンの草分けとして世界的に有名なのは、1965年に米国・カリフォルニア州で誕生したゴールドジムだ。「ボディビルのメッカ」とも呼ばれている。

 フィットネスクラブが普及した背景には、日米欧の先進国を中心とした健康志向の高まりがある。先進国の国民は、食生活が豊かになりすぎて摂取カロリーが過剰になる一方、モータリゼーションやオートメーション化が進んで日常生活が便利になったため、慢性的な運動不足に陥るようになった。

 その結果、肥満や腰痛などに悩む人が続出、さらには心臓病や脳卒中、がんといった生活習慣病が多発するようになった。そこで、先進各国の政府は、自分の健康は自分で守るという「セルフメディケーション」の啓発活動に力を入れ、国民にスポーツを奨励するようになった。並行して、国民が身近で利用できる運動施設を整備していった。その一翼を担ったのがフィットネスクラブだったのだ。

 こうしたことを背景に、フィットネスクラブ市場も成長。調査会社のstatistaによれば、本場米国の同市場規模は、2000年の116億ドルから、2015年には258億ドルにまで倍増した。

 日本でも、1964年の東京オリンピック開催を契機にスポーツ人口が拡大、全国に民間スイミングクラブなどが続々と開設された。そして、米国のフィットネス産業に影響を受け、多くのスイミングスクールがフィットネスクラブチェーンに発展していった。

 ちなみに、日本初の「フィットネスクラブ」は1983年、セントラルスポーツが開業したと言われている。さらに、医療費の膨張を食い止めたい厚生労働省は、2000年度から健康づくりの国民運動「健康日本21」をスタート、2008年度から健保組合員の健康づくりを促す「特定健診制度(メタボ健診)」を導入し、フィットネス産業に追い風が吹き続けた。

 運動施設は、大きくは公的施設(公営の体育館・プール・グラウンドなど)と民間施設に分かれるが、民間の施設は2014年時点で、4000か所以上あり、毎年200か所以上増えているとされる(クラブビジネスジャパン / 日本のクラブ業界のトレンド2014年版)。

 民間施設には、スイミングスクール、テニススクール、ボクシングジムのようにアスリートが集まるスポーツ専用施設もあるが、現在の主流は老若男女が手軽にスポーツやトレーニングを楽しむ大型の総合フィットネスクラブである。

 ちなみに、経済産業省の特定サービス産業実態調査によれば、「室内プール、トレーニングジム、スタジオなどの室内運動施設を有し、インストラクター・トレーナーなどの指導者を配置し、会員にスポーツ、体力向上のためのトレーニング方法などを教授する」のが、フィットネスクラブと定義されている。同調査によれば、現在、日本の人口の約3%が、フィットネスクラブの会員と推定されている。

フィットネス業界の世界ランキング

 フィットネス業界のグローバルランキングは、次のとおりである。

画像
フィットネスクラブ業界の世界ランキング
(出典:Fitness Business「世界のクラブ売上高ランキング」)


 すべて先進国企業に占められており、中でも、日本勢と米国勢が目立つ。言うなれば、日米両国は、世界に冠たる“フィットネス大国”なのだ。

 とりわけ、“肥満亡国論”に危機感を強めた米国は世界の先駆けとして、国を挙げて国民の健康づくりを推進。現在では人口の約15%(日本の約5倍)がフィットネス人口と見られているほど、フィットネス産業が盛んだ。また、欧米のフィットネスクラブは海外進出にも積極的で、事業をグローバル展開しているのも、巨大産業となった理由の一つである。

 世界第1位のフィットネスクラブは、米国の24アワー・フィットネスである。1979年に設立され、最新マシンを完備しているだけでなく、ダンス、ヨガといったスタジオプログラムも多彩。さらに、社名のとおり24時間オープンで、託児所まで備えているので、子供連れの若い夫婦からも大人気だ。トレーナーもクラブ専属で信用度が高い。個別にダイエット指導や栄養指導をしてくれる。そうしたサービスの充実ぶりが全米で絶大な支持を受け、世界一のフィットネスクラブにのし上がった。

 第2位は米国のライフタイム・フィットネス。米国やカナダで100か所以上の施設を運営している。同社も24時間営業が売りで、大型のフィットネスクラブは、スパなどさまざまなレクリエーション設備も備えている。

 第3位のヴァージン・アクティブは、南アフリカ出身の新興勢力で現在、英国のヴァージングループのフィットネス部門を担っている。第4位のフィットネス・ファーストも英国勢。1993年に第1号店を開設したという新しい企業だが、現在では16カ国に370以上の施設を擁するまでに成長した。

 第6位には最近、日本でもお馴染みになった米国のエニタイム・フィットネスがランクイン。トレーニングジムに特化した小型、24時間営業という“コンビニタイプ”のフィットネスクラブ業態を開発。創業は2002年だが、アッという間にグローバル展開し、現在では世界約20カ国で施設を運営している。日本には、フランチャイズ方式で2010年に上陸した。

 第7位のグッドライフ・フィットネスは、カナダ最大のフィットネスクラブチェーンである。第9位のタウン・スポーツ・インターナショナルは、米国東海岸をメーンに「ニューヨーク・スポーツクラブ」「ワシントン・スポーツクラブ」などを展開。さまざまな立地条件でも対応できる、低コスト運営のノウハウを武器に事業を拡大した。

【次ページ】トップ10外から猛追するのは、日本のあの企業

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