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2016年12月22日

世界で活躍するヘルスケア系アクセラレーター3選

「ヘルステック支援」には、高い専門性とモラルが必要だ

健康・医療の分野に新しい情報技術を活用するヘルステックに注目が集まり、才能ある起業家や資金を持つ投資家が困難な課題の解決に取り組んでいます。高い品質を保ち、規制当局からの承認が必要になる医療分野では、医師や弁護士、起業経験者といった専門家からの助言が重要になるため、起業家支援プログラム「アクセラレーター」の存在が欠かせません。現在、米国や欧州ではベンチャーキャピタルや大学、製薬会社がアクセラレーターを設立し、人々の健康的な暮らしを大きく変える製品・サービス作りを支援しています。

執筆:佐藤 隆之

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才能と資金が集まる世界のヘルスケア系アクセラレーター

(© BillionPhotos.com – Fotolia)


ヘルステック支援には、高い専門性とモラルが必要だ

 健康・医療への関心が高まるにつれ、新しい情報技術を使って生活の質を向上させる「ヘルステック」企業が増えています。2015年にはヘルスケア系のベンチャー企業に対して58億ドルが投資されたことが示すように、才能のある起業家と資金を持った投資家がヘルステック企業の活動を支援してきました。

 特に、創業間もないスタートアップを短期間で軌道に乗せるためには、積極的に助言を行う起業家育成プログラムを実施する「アクセラレーター」の存在が見逃せません。

 アクセラレーターが用意するのは、経験のある投資家や起業経験者が市場開拓や製品開発のアドバイスを行い、投資家に製品を紹介する機会を与えるプログラムです。

 健康や医療に関する製品やサービスは人体に与えるリスクが存在するため、厚生労働省などの規制当局からの認可が欠かせません。ベンチャー企業にとっては、資金が尽きる前に認可を得て売り上げを獲得しなければならず、いかにして認可を得るかといった戦略は事業の成否を左右します。医療系分野には、高い専門性、モラルを備えるアクセラレーターの存在が不可欠なのです。

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(クリックで拡大)

知っておきたいヘルスケア系インキュベーターの役割


世界的なヘルスケア系アクセラレーター3選

 健康や医療に関わるためユーザーが利用に慎重である点や、規制当局の認可が必要である点を考えると、ヘルスケア系事業は新規参入が難しい分野でもあります。その一方で、一度ユーザーを獲得し信用を得ると、ユーザーは製品を乗り換える可能性が低く「勝者が市場を総取りする」傾向があります。

 そのため投資家にとっては、成功した場合の収益が大きいヘルスケア系ベンチャーへの投資が魅力的です。このような背景があり、世界中で健康や医療に特化したアクセラレーターが設立されてきました。

 ベンチャー企業育成が盛んな米国・シリコンバレーやサンフランシスコでは、いくつかのヘルスケア系アクセラレーターが設立されています。ボストンや、ニューヨーク、シカゴにも同様の支援プログラムが開催されました。またヨーロッパでは、イギリスやドイツなどが起業支援に取り組んでいます。

 今回は数あるヘルスケア系アクセラレーターから、以下では3社を紹介します。

Rockhealth:世界初のヘルスケア特化型ベンチャー投資ファンド

 Rockhealth(ロックヘルス)はサンフランシスコに拠点を持つアクセラレーターです。2012年にベンチャーキャピタルや米国有数の総合病院メイヨークリニックによって設立されました。設立以来、起業家育成プログラムの内容を改善させながら、約80社のベンチャー企業への投資を行っています。

 最大で25万ドルという多額の投資を行うのがロックヘルスの特徴で、5か月間の支援機関の間に、戦略や事業運営上のアドバイスやオフィスの提供、専門医やパートナーの紹介といった支援を行います。

 ロックヘルスを卒業した企業のひとつが「Lift ware(Lift Labs)」です。同社は現在グーグルに買収されその傘下に入りました。Lift wareは、脳梗塞の後遺症やパーキンソン病の症状による手の震えを持つ患者に対し、手の動きに合わせてスプーンの角度を調整する機器を提供しています。介助者の支援を受けなくても食事ができるようになるため、患者にとっても介助者にとっても、生活の質を向上させる優れた製品です。

StartX Med:スタンフォード大学が設立した非営利団体

 StartXは米国で最も技術力の高い教育機関の一つであるスタンフォード大学の学生が中心となって設立されたアクセラレーターです。2012年には、ヘルスケア系ベンチャー企業の支援に特化した「StartX Med(スタート・エックス・メッド)」が開始されました。IT系の起業家支援プログラムが3か月であるのに対し、ヘルスケア系では6か月間と比較的長い期間が設定されています。プログラムにおいては、起業家の多いスタンフォード大学の人脈を活かしたアドバイスや、FDA(米国食品医薬品局)からの認可を受けるためのコンサルティングが提供されます。また、非営利団体であるため、支援プログラムに対して株式を渡す必要も、手数料も払う必要もないのが大きな特徴です。

 100社以上のベンチャー企業がStartX Medを卒業し、過去4年間で7つ以上の製品がFDAからの認可を受けています。例えば、デジタル聴診器を開発するEkoはStartX Medを修了した後、ノイズ除去やモバイルアプリとのワイヤレス連携といった多くの機能を開発し、医療機関で利用するため、FDAからの承認を得ています。

【次ページ】ドイツの製薬会社・バイエルもアクセラレーターを設立

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