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2017年01月16日

インドIT最新事情

インド高額紙幣廃止で進むキャッシュレス化、注目の5つの決済システムを解説

2016年11月8日、インドのモディ首相は高額紙幣廃止の声明を発表した。新紙幣への交換にかかる負担をはじめとし、現在もインドの日常社会に深刻な影響を与えている。しかし、裏を返せばこれは現金決済中心の社会からキャッシュレス社会へ脱皮する千載一遇の機会でもあり、官民挙げたIT開発や啓蒙活動が行われている。今回は前回に引き続き、インドの高額紙幣廃止を取り上げ、急速な広がりを見せている支払・決済のIT対応の最新動向をエクシール・エフ・エー・コンサルティングの現地コンサルタント、ガガン・パラシャーが解説する。

執筆:エクシール・エフ・エー・コンサルティング ガガン・パラシャー
(訳:エクシール・エフ・エー・コンサルティング 大塚賢二)



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高額紙幣廃止がキャッシュレス化へ拍車をかける



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「攻め」のキャッシュレス化を目指すインド政府

 インド政府は、旧高額紙幣を廃止し、デジタル決済のための環境づくりを進めている。モディ首相の肝いりで州政府の発言力が強まった「国策のシンクタンク」である政策委員会は、現金を介さない金融取引に対応するツールの実用化を示達した。こうしたツールは以前から多く世に出ているが、銀行、その他の金融業者は、これらの拡大に一段と重きを置くようになった。

 こうした金融技術は、プライベートな送金を受け取る人のみならず、商業目的の事業者にとっても取引の利便性を向上させることが目的だ。事業者は大小問わず、このアプローチに興味津々である。小規模ビジネスや個人事業主といったインフォーマルな世界の人々は、高額紙幣の廃止の最大の被害者と考えられたが、IT関係省庁もメンバーであるインド政府の諮問委員会は、銀行口座を持っている人なら誰でも現金なしで決済できるツールを特定した。

eコマース事業者に広まるPOS端末

 インド準備銀行によれば、インドでは約7億5000万枚のデビット/クレジットカードが使われているが、そのうちの7億2000万枚程度はデビットカードである。こうしたカードの多くは口座引落や代金決済に使用されている。通常、決済の多くはPOS端末を持つ事業者に対し、デビット/クレジットカードで行うことができる。このため、POS端末は政府にとって、特に地方の村落においては重要視されている。

 事業者は、口座を持つ銀行、またはその銀行の代理として位置づけられるサービスプロバイダーから提供されたPOS端末を、それらの機関の助けを借りて設置することができる。銀行はPOS端末を事業者に無償で提供するが、インド準備銀行が定める割引率(Merchant Discount Rate)で事業者の売上に課金する。銀行などのこうした貸付業者が事業者に端末を提供するかどうかの条件は、貸付業者により異なる。

 POS端末は、当初とても大ぶりで重いものだったが、今や全国的にポケットサイズ端末が普及しつつある。輸入市場の新たな拡大とともに、端末もインドの銀行事情を反映した仕様で製造されてきている。端末の種類には、デスクトップ型とポータブル型がある。どちらもデータ伝送技術にGPRSを用いておりSIMカード経由でネットワークと接続するが、デスクトップ型は電源を必要とするのに対し、ポータブル型はバッテリーを内蔵している。また、1,500ルピー(約2,500円)から6,000ルピー(約1万円)の価格で手に入るモバイルPOS端末は、注文を配送する際にデビット/クレジットカードで決済するeコマース事業者の間で広まっている。

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さまざまな場面に広がるキャッシュレス社会


決済サービスの主導権を握ろうとするUPI

 インド決済公社NPCI(The National Payments Corporation of India)は昨年4月に UPI (Unified Payments Interface:統合決済インターフェース)のサービスを開始、決済サービスの主導権を握ろうとした。しかし、モディ首相が主導した11月8日の高額紙幣廃止以降に政府や関係閣僚が新たな枠組みを推し進めたため、一部の大手銀行の取引を取り込むには至らなかった。UPIはインドの即時振込サービス(IMPS) を用いて頻繁に2行間資金移動を行うのが基本だ。異なる仕様の電子財布の相互利用が実現していないインドでは、UPIは普遍性で優れている。たとえば、電子財布のPaytmからFreeChargeへの送金は不可能だが、UPIでは、このようなことはない。

 UPIのユーザーは、決済用のアドレスを作成するため指定の銀行のアプリをダウンロードする必要がある。なお現在、アプリはAndroid端末にのみ対応している。この決済用アドレスは電子メールアドレスのような単純なもので、ユーザー名@銀行名といったようなものだ。ユーザー登録には、決済用アドレスに加えて、銀行から無作為の7桁の数字のモバイル通貨ID(MMID)を発行してもらう必要がある。そして、送金を受けるにはMMIDと決済用アドレスを特定する必要があるのだ。

 MMIDの設定手続きについては、少し面倒な銀行もあれば、銀行指定の番号にショートメール(SMS)を送るだけで可能な銀行もある。他のUPIの利用例としては、インド第2位の市中銀行ICICIで、カメラ付携帯電話をQRコードにかざすことで送金受取人が認証できるため、本人認証に必要な詳細情報の入力が不要となるサービスもある。

【次ページ】高額紙幣廃止で急速に伸びる電子財布

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