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2017年01月26日

フロスト&サリバン連載 「TechVision:世界を変革するトップ50テクノロジー」

スマートグリッド市場が「急成長中」 2020年以降、電力や電気料金はこうなる

フロスト&サリバンが特定した今後数年間で大きなビジネス機会が見込まれる「TechVision:世界を変革するトップ50テクノロジー」。この「エネルギー&ユーティリティ」部門に「スマートグリッド」があり、2025年まで平均6.2%の成長が見込まれる。そこで、基本的な「スマートグリッド」のコンセプト、目的、利用技術、そして将来動向をフロスト&サリバン ジャパン 成長戦略コンサルティングマネージャの伊藤 祐氏に解説してもらった。

執筆:フロスト&サリバン ジャパン 伊藤 祐

執筆アシスタント:フロスト&サリバン ジャパン 伊藤 翔哉

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スマートグリッドの中身をいまあえて確認したい

© chombosan – Fotolia



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スマートグリッドのコンセプトと目的

 省エネや節電、クリーンエネルギーへの意識が高まっている昨今、注目されているのがスマートグリッドである。スマートグリッドのコンセプトは、「必要なときに、必要なだけ発電して、必要なところに送電する」というものである。情報通信技術を用いて供給側と需要側の情報を集め、どこでどれだけ電力が必要とされているのかを把握する。それをもとに無駄のないように発電および送電するのである。

 スマートグリッドの目的は主に3つある。1つは電力の需給のバランスをより効率的に調整すること。2つ目は消費者の電力消費の無駄をなくすこと。3つ目は、再生可能エネルギーを普及させることである。

 コンセプトと目的だけを聞くと当たり前のことを言っているようで、どこが革新的なのかピンと来ないかもしれない。これを理解するためには、まず現在の発電システムを理解する必要がある。

 現在の発電システムでは、需給バランスの調整は供給側によって行われている。普通の商品は需要側、供給側、双方から需給バランスがとられる。たとえば、レタスが不作だった場合、供給量が減り、価格が上昇する。その結果、「高いならレタスは買わないでいいや」と消費者は考え、需要が減る。このようなプロセスを踏むことで、うまく需給バランスをとっている。

 しかしながら、電気に関しては、需要が多いときに価格を上げる、というプランはあまり一般的には広がっておらず、需給バランスの調整がうまくいっているとは言いがたい。

 このような状況の要因は、電力が有する特殊性である。電力が不足したら停電してしまい、大問題となることに加え、電力が過剰に供給されても送電がストップしてしまう。これは供給が過剰になると、電力網を流れる交流電流の周波数が正常値を外れるからである。そのため、電力会社は停電を起こさないように、需給バランスに非常に気をつかっている。

 供給側にだけ需給のバランサーをやらせていては、なかなか広がらない技術がある。それが再生可能エネルギーによる発電である。再生可能エネルギーは天候の影響を受けやすく、需要が多いからといってすぐに発電量を増やすことはできないし、その逆もまた然り。やみくもに再生可能エネルギーによる発電を増やしても、需給バランスが保てなければ結局無駄になってしまうのである。

 ここまで読めば、多くの読者はこう思うのではないだろうか。電力を無駄にしたり、足りなくなったり、一体何をしているのか、もっと「賢い」電力供給システムはつくれないのか、と。これらの問題意識をベースとしたシステムこそがスマートグリッドなのである。

 フロスト&サリバンの分析によると、スマートグリッド関連市場は2015年から2025年まで平均6.2%成長し、2025年には121.64億ドルに達すると見込まれている。

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(クリックで拡大)

スマートグリッド 世界市場規模予測:2015年〜2025年

(出典:フロスト&サリバン)


スマートグリッドで利用されている技術

 スマートグリッドでは、具体的にどのような技術が利用されているのだろうか。

 スマートグリッドで最初に必要となるのは、どこでどれだけ電力が需要されているのかをリアルタイムに知るシステムである。ここで中核的な役割を果たす技術が「スマートメーター」である。従来の電力メーターで知ることができるのは、電力の月間消費量程度であった。リアルタイムで電力の消費状況を知るために設置されるものが、スマートメーターである。

 スマートメーターは、消費者と電力会社間をネットワーク回線でつなぎ、停電検出、電力品質監視などの機能を実現する。これによって電力会社は、各消費者の電力使用状況をリアルタイムで把握することができるのである 。

HEMS、BEMS、FEMS

 ここで革新的なのは、電気料金のリアルタイムな価格設定が可能になる、ということである。電力の需給バランスをリアルタイムで把握できるため、需要過多な時間帯は電気料金を高めに設定するといったことが行える。

 これによって、この時間帯は電気料金が高いから節電しよう、という需要側の行動変化によって需要量が調整され、いままでの供給側でしか需給バランスがとれなかった構造から大きく飛躍する。

 また、スマートグリッドでは、エネルギー使用量を最適化するシステムも利用される。各家庭、オフィス、工場のどの機器でどれだけ電力を用いているか、機器に備え付けられたセンサー等を用いて把握し、自動的に無駄のないように電力の調整を行うのだ。

 他にも配電盤ごとの電力消費量の監視を行うスマート配電盤、照明の消費電力の監視と電源のオン・オフ・調光制御を行うスマート照明、温湿度監視とボイラー・冷凍機管理システムなどがある。家庭で使用するこのような電力最適化システムをHome Energy Management System(HEMS)と呼び、オフィスビルではBEMS(Building Energy Management System)、工場ではFEMS(Factory Energy Management System)と呼ぶ。

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(クリックで拡大)

エネルギー供給モデルの変化(2014年/2020年以降)

(出典:フロスト&サリバン)


【次ページ】電気自動車がスマートグリッドを支える

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