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2017年01月31日

マイクロEVとは何か? なぜ「シェアカー向き」と言えるのか

東京都内では頻繁に見かけるようになったシェアカー。今、新たに目的地での乗り捨ても可能なタイプのシェアカーに関する実証実験が始まっています。そこで用いられているのが「マイクロEV」と呼ばれる超小型電気自動車です。なぜ乗り捨て型シェアカーにEVが用いられているのでしょうか? ここではシェアカー時代に注目を集めるEVやマイクロEVの基本を、わかりやすく解説します。

執筆:自動車ジャーナリスト 根 英幸

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トヨタとパーク24がコラボした実証実験「Times Car PLUS×Ha:mo」は、マイクロEVのカーシェアリングサービスです

(写真:筆者撮影)


EVとは何か?ハイブリッド車と何が違うのか

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 電気自動車(EV)は、バッテリーを充電して、その電力でモーターを駆動して走ります。ハイブリッド車とは異なり、基本的にEVは、バッテリーに充電された電気だけで走行する仕組みです。家庭や職場の駐車場で充電するだけで毎日の移動に使えるのは、手軽で利便性が高いといえるでしょう。

 日本ではこれまで何度かEVへの期待が高まった時期がありましたが、なかなかうまくいきませんでした。しかし、現在は高性能なリチウムイオンバッテリーの普及により、EVが現実的な乗用車として利用されるようになりました。

 EVは長距離を走る機会がほとんどない人にとっては、選択する意義が出てきたエコカーといえます。燃費だけを考えれば、ハイブリッド車よりも圧倒的に費用を抑えることができます。深夜電力を利用すれば、走行のための電気代はガソリン代の10分の1になってしまうのですから。

 一方で、EVの中にもガソリンを必要とするモデルが存在します。発電用の小さなエンジンを搭載したレンジエクステンダーというEVです。レンジエクステンダーとは「行動半径を広げるもの」という意味ですが、発電しながら走行できるようにすることで、バッテリーの能力以上に航続距離を延ばせるEVです。

 したがって、レンジエクステンダーはEVでありながら小さなエンジンと燃料タンクを装備しているので、バッテリーの充電分だけで走行を繰り返していると、燃料タンク内のガソリンが古くなり、腐ってしまうこともあります。これを防ぐには、燃料タンク内のガソリンを定期的に入れ替えるために燃料を消費する必要があります。長い間運転させていないとエンジン自体も可動部分が固着したり、錆やオイル漏れの原因になったりする場合があります。

 レンジエクステンダーEVはハイブリッド車とEVの中間的な存在なので、バッテリーの性能が向上したり、充電システムの革新的な進化があったりすれば、いずれは姿を消すかもしれません。

マイクロEV(超小型電気自動車)とは何か

 EVの中でも、従来の軽自動車と原付4輪との間を埋める存在としてマイクロEV(超小型EV)というクルマがあります。原付4輪よりは力があり、市街地では十分な動力性能を確保しています。クリーンで効率のいい乗物であり、高速道路を使うほどではない都市内でのコミューターとして今後普及が期待されています。

 マイクロEVは、快適装備などをあまり搭載せず、走ることに徹しています。その分、車体は軽量で、バッテリー搭載量から見ればかなりの航続距離を稼げるだけでなく、軽快な走りが楽しめるのも魅力でしょう。

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(クリックで拡大)

トヨタの一人乗りマイクロEV「i-ROAD」

(写真:筆者撮影)


 カーシェアリングに適した乗物ではありますが、ドライビングを楽しむクルマとして、セカンドカーとしての需要も考えられそうです。

 欧州ではすでに、2人乗車で最高速度45km/h(高速道路は走行不可)のコミューターとしてマイクロEVが利用され始めています。

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 しかし日本では、乗車定員1名の原付4輪として、最高速度60km/hで利用できるにすぎません。マイクロEVといえども、既存の乗用車や大型トラック、バスなどと同じ道路を利用するため、衝突事故時の安全性確保などが課題となっているためです。

 日本のマイクロEVは、特定のエリアでのみ実証実験されていますが、法整備を進めて実用化できるよう検討されています。2020年の東京オリンピック開催時には、東京湾岸地区の会場周辺でマイクロEVの専用レーンを整備するという計画もあります。

 日本の場合、道路に使える面積が限られていることから、専用レーンを導入できる地域や道路はそれほど多くないかもしれません。しかし、乗物の効率を高め、クリーンで快適な交通社会をつくるには、公共機関の充実と併用して、パーソナルなモビリティを普及させることは重要です。

EVはどのぐらい「エコ」なのか

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インホイールモーターは、クルマのホイール内にモーターを組み込んでダイレクトにタイヤを駆動するため、EVの中でもさらにエネルギー効率が高いといわれています。現在、小型で薄いインホイールモーターが開発されており、それが普及すればコンパクトカータイプのEVはかなりの性能向上が見込まれ、近距離移動には非常に便利でエコな乗物になるでしょう

 ガソリンエンジンの熱効率は、最近のエコカーでも35%ほどです。ディーゼルエンジンでも45%ほどといわれています。摩擦による損失や、燃焼で発生した熱の大部分を捨てていることが大きな理由です。

 これに対して、モーターは電力の90%を駆動力に変換していますから、エネルギー効率の面から見れば圧倒的に高効率です。これはモーターの構造がシンプルで損失が少ないためです。現在、ガソリン車の最終的なエネルギー効率は1割弱、ハイブリッド車は2割弱、EVと燃料電池車は3割弱といわれています。

 EVの車体面での効率はすでに十分に高いことから、ここから大きく向上させるのは難しいかもしれません。とはいえ、バッテリーのエネルギー密度や充電システムの改善が進めば、利便性が大きく向上して、EVの普及を加速させそうです。

 今後、再生可能エネルギーなどを使ったたくさんの小規模な発電所がネットワーク化されるなどスマートグリッド(次世代送電網)が構築されれば、送電ロスなども減らせるかもしれません。

【次ページ】EVではどんな新しい研究がされているのか

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