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2017年02月14日

FitbitのPebble買収に学ぶ「日本が米国に勝つ方法」

Fitbitは2007年創業のスタートアップ企業で、2015年に上場も果たしたヘルスケア・ウェアラブル企業の先駆けだ。最近はフィットネス、ウェアラブル、モバイル関連企業との協業、昨年末のPebbleの買収、先月のVector Watchの買収、従業員の6%にあたる110名の解雇など、ニュースが続いている。Fitbitは何を考え、どこへ進もうとしているのか? シリコンバレーと日本とのカルチャーの違い、ウェアラブルの可能性など、Fitbit シニアアドバイザーである熊谷芳太郎氏が語った。また、トーマツ ベンチャーサポートの木村将之氏との対談から、スタートアップ成功の秘訣を探る。

執筆:フリーライター/エディター 大内孝子

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トーマツ ベンチャーサポート 海外事業部長 シリコンバレー事務所代表 木村将之氏(左)、 Fitbit シニア アドバイザー 熊谷芳太郎氏(右)



「誰もが欲しがるもの」はこうやって作る

 熊谷氏がスタートアップ成功の秘訣として挙げるのは「シンプルで、多くの人が買ってみたいと思う製品」だ。確かに、資金的に長いスパンで開発をする余裕のないスタートアップにとって、準備できる資金に応じて商品の的を絞ることは必須だ。

 Fitbitの製品は、常時身につけて心拍数や活動量、睡眠時間を日々蓄積するという、いわゆる「万歩計」だ。シンプルなアイデアだし、機能も複雑ではない。

 シンプルな製品には競合がつきものだが、実際、こうしたヘルスケアを対象としたウェアラブルデバイスには競合が多い。日本のメーカーの多くも参入している分野だ。

 競合の多い中、成功するには運とタイミングも必要だ。Fitbitには運とタイミングがあったと木村氏は言うが、もちろんそれだけではない。たとえば、日本製の競合商品とFitbitの大きな違いは、インストレーションの難易度、と熊谷氏は分析する。Fitbitは簡単に使えること、使いやすさにこだわっているという。

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 使いやすさが重要なのはほぼすべてのものに共通のことだが、ウェアラブルデバイスの性質上、特に重要といえる。ウェアラブル製品は、多くの人にとってはじめて接する製品で、なおかつ継続して使用することではじめて価値が出る。簡単に使い始められること、使用が継続しやすいことは何より重要だ。

 Fitbitの社員1500人のうち1000人がソフトウェアのエンジニアだという。ソフトウェアの開発では、直接的な機能だけでなく、GoogleやFacebook、Twitter、Appleなどから優秀なエンジニアを採用し、ソーシャル機能にも力を入れている。

 そして、製品を使う人たちのコミュニケーションの場を設け、ユーザーを集め、ユーザーに継続的に使ってもらう。その結果、ユーザーに長く愛される製品になっているということなのだ。

 こうしたソーシャルな開発は販売にもプラスになっているし、ユーザーとの接点を多く持つことは、直接の意見やアイデアがどんどん入ってくることでもある。こういうことがやれないかという要望を吸い上げていくと、自然とユーザーが欲しがる商品ができあがる。ユーザーとの接点を多く持って、なるべく意見が入ってくるようにして、ユーザー、特に不満のあるユーザーの意見を非常に大切にする。それに対して開発を行っていくという環境が社内にあるから、使いやすい製品が作れるという。

買収で狙うべき2つのもの

 Fitbitは企業としての成長のために、必要な技術を持つ企業を積極的に買収している。このとき、注目するのはその企業が持つ知的所有権と技術だ。

 昨年5月のCoinの買収の場合、Coinが持つモバイル決済機能が狙いだった。また、昨年末のPebbleの買収もやはり知的所有権、特許とエンジニアだったという。買収後に付き合いができるよう、なるべく近所(車で30分くらい)であることも重要だという。

 Pebbleの買収では、当日の朝10時まで交渉が長引き、いつもどおり朝からオフィスで働いていたPebbleの社員は、その日の13時には車で30分のFitbitのオフィスに移ってすぐに仕事を始めたのだという。日本ではちょっと考えられないことだが、こういうことが起こるのがシリコンバレーだという。

【次ページ】日本が米国に負ける2つの理由

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