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2017年02月16日

ドイツのスマートファクトリーKLが目指す「レゴブロック的」モジュール化とは

「インダストリー4.0」や「IoT」の潮流に乗り、グローバルで情報技術によって工場における生産プロセスを高度化する取り組みが広がってきました。製造業の生産プロセスでは各種技術要素や通信技術などを組み合わせる必要があるため、複数の企業による協働が求められています。ドイツの技術イニシアティブ「SmartFactory KL(スマートファクトリーKL)」は、こうした共同作業を促進するため設立されました。レゴブロック的なモジュール化によってマス・カスタマイゼーション実現を目指す、スマートファクトリーKLの取り組みを紹介します。

執筆:佐藤 隆之

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ドイツの技術イニシアティブ「スマートファクトリーKL」とは

(出典:smartFactoryKL プレスリリース)


製造業の標準化を目指すドイツの「スマートファクトリーKL」

 昨今のグローバルで活躍する製造業は、設計から部品の組み立てといった生産プロセスの全工程を連動して動かすことで、高品質な製品を効率的に製造しようとしています。

 その象徴的な動きが、ドイツが推進する第4次産業革命「インダストリー4.0」です。

 これに賛同する多くの企業は、近い将来「マス・カスタマイゼーション」を実現しようとしています。これは、顧客ごとの細かなカスタマイズを行いながらも、大量生産と同じように低コストでの生産を行う手法です。

 マス・カスタマイゼーションを実現するためには、あらゆる機器を自動的に連動させる柔軟な生産プロセスが求められています。

 このような生産プロセスを実現するため、ドイツ人工知能研究センターのデトレフ・ツュールケ教授が中心となって2005年にドイツで設立されたのが「スマートファクトリーKL(KLはドイツの都市、カイザースラウテルンの略)」です。

 スマートファクトリーKLはその名称が示す通り、よりスマート(賢い)な工場を実現するべく、40以上の企業と連携し、標準仕様の策定や新しい生産プロセスの試作などを行ってきました。

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スマートファクトリーKL
デトレフ・ツュールケ教授

(出典:smartFactoryKL プレスリリース)


 IBM、SAP、シスコといったIT企業、シーメンスやボッシュなどの大手メーカーはもちろん、ケーブルメーカーのLapp Kabel、プリント基板をはじめとする産業用接続機器メーカーのフエニックス・コンタクト、オートメーション機器メーカーのFestoといった部品サプライヤーなどが、スマートファクトリーKLと連携して取り組みを進めています。

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(クリックで拡大)

スマートファクトリーKLの取り組み


 こうした協調関係の中でスマートファクトリーKLが試作した生産プロセスは、ワイヤレスで機器の操作が可能です。生産ラインに流れる製品に取り付けたRFIDによって、どの仕様になっている製品がどの工程を通っているのかを検知し、モバイルやデスクトップPCからポンプの制御を行えるといいます。

 生産プロセスに関わる機器は全てコンピューターを搭載しており、顧客の要件に応じて通信を行い、協調して製造を行います。これによって、生産プロセスに接続すれば、すぐに製造が開始できる「プラグ・アンド・プレイ(プロデュース)」が可能になります。



スマートファクトリーKLが取り組む「モジュール化」の推進

 マス・カスタマイゼーションの実現するために、スマートファクトリーKLはシステムを交換可能な部品で構成する「モジュール化」を推進しています。

 モジュール化の推進によって特定の企業に依存しない標準的なルールを定めることで、要素間の接合ルールが決まり、企業間の共同作業が容易になります。もしある構成要素に変更があったとしても、その影響は最小限に抑えられるというわけです。

 ツュールケ教授は、モジュール化を「レゴブロックのように組み立てたり分解したりできるようなもの」であると定義しています。

業界全体で変革を加速化するオープンアーキテクチャ

 スマートファクトリーKLが標準化を進める際に採用しているのは「オープンアーキテクチャ」と呼ばれる設計手法で、既存の技術開発においてもしばしば見られた手法です。

 オープンアーキテクチャの例としてわかりやすいのがデスクトップPCの生産です。デスクトップPCを構成するパーツは、インテルのCPUやマイクロソフトのOSなど、ハードウェアからソフトウェアまで異なるメーカーが生産しています。

 しかし、どの会社のディスプレイやキーボードを接続しても問題なく動作します。これは、USBなどの接続端子が標準化されているからです。

 広義のオープンアーキテクチャは、参加する企業が共通のフォーマットをベースにして開発を進めるため、共通化されたレイヤーでは重複した開発が不要になるというメリットがあると言えます。

【次ページ】スマートファクトリーKLのビジョン

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