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2017年02月24日

ホテルグランヴィア京都などの事例を紹介

LGBTツーリズムとは何か?「23兆円市場」の可能性はどこにあるのか

2020年の東京オリンピックに向け、訪日外国人旅行者数が増加の一途をたどっている。そんな中で注目を浴びているのがLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーなどの性的少数者)を対象にした観光「LGBTツーリズム」だ。LGBTツーリズムのグローバル市場は約2020億ドル(約23兆円)という巨大なもので、日本も無視できない。そこで、LGBT対応コンサルティングやセミナーなどを行うアウト・ジャパンの代表取締役でLGBT当事者でもある社長 小泉伸太郎氏に、LGBTツーリズムを成功に導くためのポイントについて話を聞いた。

(聞き手/構成:編集部 佐藤友理、執筆:井上猛雄)

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LGBTツーリズムとは何か? 国内外の市場規模は?

(出典:© jpgon – Fotolia)



LGBTツーリズムとは何か?

――国内・インバウンドの各観点から、現在の観光産業の動向について教えてください。

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アウト・ジャパン
代表取締役 社長
小泉伸太郎氏

小泉氏:日本政府観光局の発表によると、2016年に海外から約2400万人の旅行者が来日しました。そして、日本政府は2020年までに訪日外国人旅行者を4000万人に増やそうとしています。そのために段階的にビザの緩和を実施し、テコ入れしてきました。

 国内的には地方創生の流れもあり、海外の方々に地方の魅力や特徴をアピールし、東京や京都などのメジャーなところだけでなく、地方にも足を延ばしてもらって、日本の経済を活性化しようというわけです。

――そもそもLGBTツーリズムとは、どのようなものなのでしょうか?

小泉氏:簡単にいうと、LGBTの方々が快適に旅行できるような環境や商品づくりを行うということです。実はLGBTの方々は、可処分所得が高い方が多く、カップルであればダブルインカムで収入もあります。自由になるお金もあり、旅行も好きで、消費意欲の高い方々も多い。海外では富裕層マーケットの中にLGBT層が含まれています。

 そのような事情もあり、いまビジネス的にもLGBTの方々を取り込んでいく施策が求められているわけです。とはいえ、まだ国内にはLGBTツーリズムに対する知識やノウハウがないため、LGBTマーケットへの認識があっても、進出方法が分からない企業も多いようです。

 LGBTツーリズムには、3つのステップがあると考えています。1つ目が「LGBTに対する理解」です。LGBTの方々を受け入れるにあたり、十分な理解が必要です。2つ目が商品やサービスの開発。3つ目がLGBTマーケットに対するプロモーションです。

 こうやって聞くと特別な3ステップに聞こえるかもしれませんが、実際のところ、これは通常のマーケティングと同様のアプローチになります。

 ただし、LGBTマーケットは、LGBT当事者(LGBTである当人のこと)の言葉を聞かなければ正確なニーズを把握できません。そのため、LGBT当事者へのヒヤリングが重要になってくるのですが、LGBTの人々は自分がLGBTであることを隠していることも多く、ヒヤリングするのも簡単ではありません。そのため、当社のようなLGBTマーケット調査のノウハウのある企業が必要になってきます。

市場規模は23兆円

――日本の観光産業に対し、LGBT旅行者はどれくらい影響力を持っているのでしょう?

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小泉氏:2000年にTravel Universityが発表した調査によると、国際旅行におけるゲイ・レズビアンの比率は全体の約10%で7000万人ほど。また、Out Nowが2015年に行った調査では、世界のLGBTツーリズム市場規模は2020億ドル(約23兆円)と言われています。

 なお、2016年に行われたLGBT総合研究所の調査によると、LGBTが全体に占める割合は約8%。これをそのまま当てはめると、2016年の訪日外国人旅行者2400万人のうち、少なくとも約8%の192万人がLGBT当事者であると推測できます。

 しかし、実際には、LGBTの訪日旅行者はそれよりも少ないかもしれません。まだ日本はLGBT層の旅行先として、あまり認知されていないように思います。もちろん日本は安全な国で、素晴らしい観光コンテンツもありますが、いまLGBTの方々はアジア地域では中国やタイなどを訪問されているようです。

 Community Marketing & Insightsが2012年に行なったゲイとレズビアンの方々を対象とした調査で、LGBT旅行者は旅行先やホテル選びにおける「LGBTフレンドリーさ」を重視することがわかっています。逆に言えば、日本はこれから「LGBTフレンドリーさ」をアピールして伸びていけるということです。

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旅行地や会社の『LGBTフレンドリーさ』がどの程度選択に影響するか
横軸は%。ゲイ n=4059、レズビアン n=1247。

(出典:アウト・ジャパン発行『LGBTツーリズムハンドブック』/データはCMI 17th Annual LGBT Travel Survey October 2012 より)



――最近では、LGBTの方々が生きやすい社会を目指す「プライド・パレード」「プライド・イベント」と呼ばれるイベントも各国で開催されています。こうしたイベントは、観光産業にどんな影響を与えるのでしょうか?

小泉氏: シドニーのプライド・イベント「マルディグラ・パレード」は、数週間のイベントですが、約50万人を動員し、経済効果は全豪オープンに次いでF1をしのぐ3,000万豪ドル(約26~28億円)とも言われています。また、カナダのトロントのイベントでは、世界中から120万人を動員し、約156億円の経済効果を上げました。

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過去のマルディグラ・パレードの写真

(画像:Hasitha Tudugalle,CC BY 2.0)


 日本でも、プライド・イベントが増えてきています。代表的なTokyo Rainbow Prideというイベントは、昨年、過去最高の動員数の7万人を記録しました。しかし、世界のプライド・イベントと比較するとまだまだ小さいです。ただし、ブースに出展する企業も増えてきており、LGBTマーケットへの関心も高まっています。日本でも、こういったイベントが広がれば、観光収入も増えていくでしょう。

【次ページ】世界の主要なプライド・イベントの動員数と経済効果

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