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2017年03月01日

1泊120万円超!古都・京都に「外資系」超高級ホテルが続々参入のワケ

古都・京都市が外資系の高級ホテル開業ラッシュにわいている。訪日外国人観光客の急増を受け、年間観光客が5,000万人を突破する中、市が「宿泊施設拡充・誘致方針」を打ち出し、本格的なホテル誘致に動きだしたことが追い風になった。ホテル用地を物色する業者も後を絶たず、立命館大経営学部の石崎祥之教授(観光システム論)は「今後も進出が相次ぐ」と見込む。世界一厳しい景観規制で外資系ホテルが入り込めなかった京都の宿泊業界は、一気に開国を迎えた。

執筆:政治ジャーナリスト 高田 泰(たかだ たい)

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最高級客室1泊120万円超のフォーシーズンズホテル京都。
客室から清水寺が一望できる

(写真:筆者撮影)


1部屋1泊120万円超の高級ホテルが東山区に登場

 京都を代表する観光スポットが集まる東山区。最高級客室で1部屋1泊120万円以上という外資系高級ホテルが2016年10月、オープンした。マレーシアの財閥・ベルジャヤが開発し、カナダのフォーシーズンズ・ホテルズ・アンド・リゾーツが運営する「フォーシーズンズホテル京都」だ。

 清水寺や三十三間堂、祇園、京都国立博物館には歩いて行ける好立地。2万平方メートルの敷地に180の客室があり、うち57室を分譲販売した。世界中から観光客が殺到する桜や紅葉の季節でも、海外の富裕層が宿泊しやすくしたわけだ。

 外観は茶色を基調としたシックな造りで、古刹が建ち並ぶ周囲の景観に配慮した。最大360人収容の宴会場、3つの小宴会場を持ち、国際会議や展示会にも対応できる。

 客室の内装に京都特産の西陣織を使ったほか、平安時代の武将で平清盛の嫡男平重盛邸跡とされる「積翠園(しゃくすいえん)」をホテルの庭園に活用し、歴史豊かな京都らしさを演出している。

嵐山地区では純和風の外資系ホテルが開業

 市西部の景勝地・嵐山地区では2015年、ホテル大手スターウッドホテル&リゾートの「翠嵐(すいらん)ラグジュアリーコレクションホテル京都」が開業した。右京区の保津川沿いで森トラストグループが開発した高級ホテルだ。

 スターウッドホテル&リゾートは米国を拠点に世界100カ国以上でホテル経営し、「ウェスティン」「シェラトン」など10のブランドを展開している。このうち、「ラグジュアリーコレクション」は最高級の1つと位置づけられ、翠嵐が国内第1号になる。

 施設は嵐山の景観にマッチした純和風。約5,400平方メートルの敷地に隣接して天龍寺や宝厳院があり、保津川越しに嵐山を眺められる。39室の客室のうち、17室に天然温泉を引く本格的な露天風呂がつく。室内もホテルと旅館を融合したデザインにしている。

 和風の門をくぐると、かやぶき屋根の茶寮があり、茶菓子や軽食を味わえる。築100年以上の古民家を改造したレストラン、日本庭園も備え、自然と歴史に包まれながら滞在できるまさに嵐山の特等席だ。

京都市に進出、進出予定の主な外資系ホテル
ホテル名開業年所在地客室数
ハイアットリージェンシー京都2006東山区189
ザ・リッツ・カールトン京都2014中京区134
翠嵐ラグジュアリーコレクションホテル京都2015右京区39
フォーシーズンズホテル京都2016東山区180
アマン京都2017予定北区25
パークハイアット京都2019予定東山区70程度
(出典:各ホテルホームページ、ニュースリリースから筆者作成)

規制から誘致へ、京都市が方針を転換

 市内に進出した外資系ホテルは、2006年に東山区でオープンした米ホテル大手ハイアットグループの「ハイアットリージェンシー京都」が先駆けになった。もとは京都パークホテルとして営業していた建物で、これを全面改装して客室189室の高級ホテルに生まれ変わった。

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東山区の三十三間堂近くにあるハイアットリージェンシー京都。
外資系ホテル進出の先鞭をつけた

(写真:筆者撮影)


 ハイアットの成功を見て、2014年には米マリオットグループの「ザ・リッツ・カールトン京都」が中京区に開業した。客室134室の広さは平均50平方メートル以上あり、市内では最大級。市中心部を流れる鴨川沿いの好立地から、観光客の人気を集めている。

 市内は三方を山に囲まれてホテルに適した用地が少なく、地価が高い。そのうえ、景観など立地規制が厳しく、権利関係が複雑な場所も多くなっている。このため、外資系ホテルが進出に二の足を踏んでいたが、市が特例として高級ホテルの立地を認めるようになった。

 背景にあるのは深刻さを増す宿泊施設の不足だ。京都文化交流コンベンションビューローによると、市内の2015年平均客室稼働率は大型ホテル27施設で88.9%。行楽シーズンや休日にはほぼ満室状態になり、予約を取りづらい状況が続く。

 さらに、海外の富裕層向け高級ホテルが少ないという悩みもあった。そこで、高級ホテルを中心に宿泊施設を確保するため、市は2016年、宿泊施設拡充・誘致方針を打ち出した。

 東京五輪が開かれる2020年までに市内で新たに6,000室分が必要と見込み、住居専用地域など宿泊施設の立地が原則としてできない地域でも、条件を満たせば特例で開業を認める内容。JR京都駅周辺などアクセス性の高い場所は、容積率の規制緩和も含めて誘導策を練るとしている。

 フォーシーズンズホテル京都も住居専用地域にあるが、この方針を先取りする形で特例として認められた。市観光MICE推進室は「市は民泊に頼らず、宿泊施設の拡充で不足分をまかなう。引き続き国内外を問わず、宿泊施設の誘致に力を入れたい」としている。

【次ページ】豪華庭園ホテルなど新規計画が続々と

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