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  • 2017/03/10 掲載

マザーハウス山口絵理子氏がバングラディシュでアパレル事業を起こした理由

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仙台市行われた起業家同士をつなげるイベント「SENDAI for Startups!」。そこでは、起業家たちがそれぞれの経験や知見を披露した。マザーハウス 代表取締役兼チーフデザイナーである山口絵理子氏も、その1人だ。2008年に世界経済会議のYoung Global Leaderに選出され、ハーバード・ビジネススクールクラブ・オブ・ジャパン2012を受賞した同氏が、これからのアントレプレナーたちに役立ててもらいたいと、自身の起業経験とその後の考えを存分に語ってくれた。

フリーライター 重森 大

フリーライター 重森 大

メインの活動フィールドはエンタープライズ向けITだが、ケータイからADCまでネットワークにつながるものならなんでも好きなITライター。現場を見ることにこだわり、毎年100件近い導入事例取材を行ってきた。地方創生の機運とともにITを使って地方を元気にするための活動を実践、これまでの人脈をたどって各地への取材を敢行中。モットーは、自分のアシで現場に行き、相手のフィールドで話を聞くこと。相棒はアメリカンなキャンピングカー。

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マザーハウス
代表取締役 兼 チーフデザイナー
山口絵理子氏


教育を受けたくても受けられない途上国の子どもに支援を

 山口氏は小学校時代にいじめにあい、小中学校時代はほとんど登校しない生徒だった。その山口氏が教育に携わりたいと思うようになったのは、大学で経済を学び始めてからのことだった。竹中平蔵氏が教鞭をとる経済の講義で、学校に行きたくても行けない子どもたちが世界には多くいることを知ったためだ。

「私は教育を受けられる環境にいたのに、学校に行きませんでした。でも、世界には学校に行きたくても行けない子どもたちが、自分が想像するよりずっとたくさんいることを知ったのです。それを知ってから、教育に携わりたい、途上国の子どもたちが学校に行けるようにしていきたいと思うようになりました」(山口氏)

「現場」にこだわって内定を蹴ってバングラディシュへ

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 机上で理論を学ぶだけではわからない、国際協力や支援の現場を見たいと考えた山口氏は、大学4年生のときに渡米。米州開発銀行にアルバイトとして乗り込んだ。しかし、現場で活動できたわけではなかった。

「扱っているお金が実際にどれくらい現地に届いているのかは、わかりませんでした。同僚や上司に聞いても、自分たちの役割は統計集団として最適な支援を決定することであり、現場の支援は現場の役割だと言われました」(山口氏)

 この答えを聞いて、国際官僚でしかない彼らは途上国の現状を知って仕事をしている訳ではないと思い知る。自分の目で現地を見なければと考えた山口氏は「アジア最貧国」と検索して一番に出てきたという理由で、バングラディシュへ渡った。短期の滞在では何もわからないと、現地の大学院に入学して2年間をバングラディシュで過ごすことになる。

「正直しんどかった。1年ほどで辛くなり、日本で就職活動をして内定ももらいました。でもけじめとして卒業だけはしたかったので、もう一度バングラディシュに戻ったのです。そうしたら、以前と同じはずのバングラディシュの景色が違って見えたんです」(山口氏)

工場生産品よりも安いものを作るために、機械より安く働く人々

 非衛生的な環境。通学路には、川の水をペットボトルに詰めて売りに来る、手足のない子ども。そんな光景に、そこに生きる人たちの力強さを感じ、初めてバングラディシュの景色をポジティブに見ることができたと山口氏は言う。そして、そのタイミングで改めて出会ったのが、ジュートという植物だった。カーペットや麻袋、バッグなどの生地として使われる繊維で、バングラディシュはその一大生産地だ。

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山口氏が目を付けたジュート

「これまでにも見たことがあるはずなのに、改めてその存在に気付き、工場の見学にも行きました。そうしたら十代前半の子どもたちが工場でせっせと働いてるんです。機械化された工場で生産される外国製品よりも安いものを作るために、機械より安く人間が働いている、そんな現場を初めて目の当たりにしました」(山口氏)

 この光景を変えたい。その思いが山口氏を突き動かした。途上国の製品を安く買い叩くビジネスではなく、かといってかわいそうだから買うフェアトレードでもない、「かわいい、かっこいい」製品を途上国から発信したいと思ったという。そのときに自分に誓ったのが、「途上国から世界に通用するブランドをつくる」というフィロソフィーだ。

【次ページ】企業は目的ではなく、手段

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