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  • 2017/03/23 掲載

アンダーアーマー「UA Architech」はなぜ即完売した? 3Dプリンタシューズ設計の秘密

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グローバルなスポーツ用品メーカーは、3Dプリンティングを活用した製品開発を進めている。アンダーアーマーは、各社に先んじて3Dプリンティングを利用し、ラティス構造のミッドソールをトレーニングシューズとして初めて採用。2016年3月にリリースされた3Dプリンティングを採用したシューズ「UA Architech」を1足299ドルで販売したところ、即完売となる。設計に携わったボルチモアに本部を置くアンダーアーマーの設計・製造イノベーション部門の担当ディレクター、Alan Guyan氏のインタビューを紹介しよう。
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アンダーアーマーの「3Dプリンタシューズ」設計の秘密
(提供:アンダーアーマー)


アンダーアーマーが発売した「3Dプリンタシューズ」のコンセプト

 ナイキ、アディダス、ニューバランスといったスポーツ用品メーカーは、3Dプリンティングの技術を使って、ランニングシューズや滑り止めを開発している。これらすべての企業は、新しいテクノロジーを使って、アスリートのトレーニング方法を変えようとしている。

 アンダーアーマーは、これらの企業に先んじて3Dプリンティングを使用してトレーニング用シューズを製造した最初の企業だ。

 2016年3月18日、アンダーアーマーは、UA Architechの限定シューズを96足製造し、1足299ドルで販売したところ、すぐに完売するなど好評を博した。

 アンダーアーマーの設計・製造イノベーション部門の担当ディレクター、Alan Guyan氏は、ある日曜日の午後にハイキングをしていた時に、ふと3Dプリンティングによるシューズの設計にひらめいたという。


「この『UA Architech』は、人工物、建築物、自然の有機的な形状によってひらめいたものです」とGuyan氏は語る。

「このひらめきの中で一番大きかったのは、木の根なのです。木の根は地中に張り出しており、それから次第に成長していきます。木の重さを支えるために、木の根はきちんとした構造を持っており、そこにフォーカスしたのです。そして、フットウェアにとってユニークで確立されたクッションの構造とは何か?と考えたのです」(Guyan氏)

 リフティング動作に対してはやや重たいシューズ、ランニングやそのほかの動きに対してはやや軽いシューズなど、アスリートのトレーニングに合ったデザインとは何かを導くために、Guyan氏と彼のチームは動き出した。

 パフォ-マンスフットウェア、アパレル、エクイップメント分野のイノベーターであるアンダーアーマーのゴールは、すべてのタイプのトレーニングに適用できるクッションを持つ、フレキシブルでありながら安定性の高いシューズを生み出すことである。

「UA Architechのユニークな部分は、2種類のインターレース構造を同時に持つことができることです。我々は、アスリートにも一般消費者にも好まれるトレーニングシューズを製作しました」(Guyan氏)

「ジェネレーティブ・デザイン」のアプローチで製造プロセスを革新

 UA Architechの設計にあたってアンダーアーマーの製作チームが採用したのが「ジェネレーティブ・デザイン」だ。ジェネレーティブ・デザインを提唱するオートデスク社は、これを「自然の進化するアプローチを模倣してデザインを行うアプローチである」と説明している。

 ジェネレーティブ・デザインの一定のアルゴリズムにより、コンピューターが無数のデザインを生成することから、設計・開発者が思いもよらない幾何学模様に出くわすなど、最終製品をすばやく決定することに役立っている。

 アンダーアーマーは、ジェネレーティブ・デザインによって洗練されたアスリート向けフットウェアのテクノロジーを開発でき、またデザインチームは、軽量構造でパーツの重量を減らすことができると確信しているという。

 オートデスク社のソフトウェアであるWithinは、ラティス構造に特化しており、単一のセルからパターンを持つセルにすることができる。

 数え切れない数のパターンや構造を試すことができ、そこからテストや実証を行う。アンダーアーマーでは、複数の構成の中から複数のデザインをテストしていった。

「我々は解決しなければならないことがいくつかありました。最初に、クッション製作を機械的に行うのは実行可能なのか? 次に、全体的にどのようなデザインにするのか? 最後に、クッションをフットウェアに組み込んだ時に、どのように機能するのか?物を上から落とした時や圧迫した際に、その構造は早く元の形状に戻るのか?このような観点から多くの異なる設計を行い、最終結論へ肉付けするための予備試験を実施しました」(Guyan氏)

【次ページ】3Dプリンティングを採用してアンダーアーマーが得た知見

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