ビジネス+IT

ビジネス課題別で探す

ITジャンル別で探す

関連ジャンル

イノベーション

会員限定

2017年03月29日

連載:イノベーションのすゝめ(8)

「死の谷」を越えて──テストマーケティングの結果を分析し、製品改良、差別化を図る

イノベーションとは何だろうか? 普段何気なく使っているが、それがどういう定義なのか、なぜ必要なのか、どうすれば上手くいくのかは曖昧だ。本連載では、IT業界一年生の柏木亜依と共にイノベーションを一から学んでいこう。前回、テストマーケティングの延長で事業化を進め、何とか発売にこぎつけた亜依。しかし、売れ行きはあまりは芳しくないようだ。ここで足を踏み外せば、「死の谷」にまっさかさまに落ちてしまう。量産化の前に、「死の谷」を越えなければならないが…。

執筆:浅井 治

photo

イノベーションのすゝめ(イラスト:のはらあこ)



前回までのお話

発売から1か月、思ったよりも売上が伸びない…

発売後、1か月、15箇所のケアハウスを回った。その結果、ケイハウスの入居者自身や紹介者を中心に購入いただいている。口コミ戦略が機能しているね。



はい。



ただね〜。



ただ?



思ったより売上が伸びてない。このままでは、いけない。手を打たなければ。もう一度、テストマーケティングでのアンケート結果を詳細に分析してみよう。



肌タイプや色の人気、不人気だけでなく、ご意見欄の内容を見るとは、プラスのご意見が約20%。マイナスのご意見が、60%。マイナスのご意見の中には、「改良」の要望が多いようです。



いいじゃないか。要望が多いということは、その要望をクリアしたら買っていただけるわけだ。



先輩、実は、プラス思考ですか?



プラスに考えなきゃ、ビジネスなんてやってられないよ。



そりゃーそーですね。



じゃあ、カイゼン要望を整理して分類しよう。



はい。



まずは、製品に関する物か、サービスに関する物か? 製品に関する物は、製品その物に対してか、パッケージなどの付帯的な物に対してか?



そうですね〜、そうやって分類すると…、約半数は、製品そのものに関する要望ですね。
たとえば、

・弱酸性の肌用の物が欲しい
・化粧品となじまないことがある
・汗で流れた
・塗った後、他の物に(色が)付いた
・もう少し、中間色が欲しい
・ペン先が細い物が欲しい
・柄の細い物が欲しい

パッケージに関しては、

・詰め替え用に大瓶が欲しい

サービスに関しては、

・(男性用)化粧教室を開いて欲しい
・ギフト品にしたい



どれもごもっともだな〜。 真面目に答えていただいているね。これは、製品への期待の表れなんだ。



嬉しいことですね。



特に、製品の改良は、慎重に進めなければいけない。お客様の意見はすべて取り入れたいけど、コストもかかる。また、改良して、使われなくなってしまうこともある。



製品レパートリが増えると生産コストが上がるんだよね。ご要望には応えてあげたいけど…。



そうなんだ。量産体制に入るまでは、余裕もないので打つべき施策に優先順位をつけて絞り込まなきゃいけない。もちろん、お客様のご要望にお応えできるように…。



どうしよう?



やはり、人によってペン先の好みとか、色の好みが違うようだ。これらのご要望に対応するためには、ペン先や色のレパートリーが必要だろう。



どうにか、安く便利にできないかしらね…。
あ! ひらめいた! 先輩、こんなのどうでしょう?



どんなの?



ペン先を、太い細いは、サインペンのように、両方にペンを付けて使い分けるのはどうでしょう。
これと同じように、ペン先を工夫することで、乾燥肌用と、しっとり肌用と成分を変えることで1本で2つのタイプに肌に対応した容器ができないかしら?



なるほど、面白そうだ。「ペン先の工夫」というのが味噌だね。これで、いろいろなお客様のニーズや、お使いになるシーンに対応できるかも知れない。また、「私専用」というカスタムなイメージがお客様の心を捉えるかも知れないね。



だったら、これから、R&Dセンターに行きましょう。



そうそう。考える前に動き、動きながら考える。
R&Dセンターには、これまでの御礼もあるし。ケーキでも買ってお邪魔してみるか。



柏木君、ケーキを調達してくれたまえ。
はい、かしこまりました。



勝手にしたら…。一応、領収書切っといてね。



R&D部門と相談して製品改良

(R&Dセンターで)

面白いね。理論的には、いけそうだ。実現性をもう少し考えればできるかも知れない。 特許も取れるかもしれないね。



特許ですか?



そう、
(1)高度な技術的発明であり
(2)産業上利用ができて
(3)新規性がある
という条件をクリアすれば、特許にすることができる技術的発明というのは、「自然法則を利用した技術的思想の創作」ということだ。ペン先を工夫した器具。いけるかも?



そうだ、べ、べ、



弁理士さん?



そうそう、弁理士さん、知財の専門家でしたよね。



そう、こういう時こそ、弁理士さんに相談だ。



それはさておき、技術的に可能か、最終的には、試作して確かめたい。
う〜ん。1か月くれないか?



お願いします! ただし、なる早やで。



わかった、何とかやってみる。
あと、特許に関してはR&Dとしても全面的に協力させていただくよ。技術的なところは、任せな! また、この件、場合によっては、学会に論文を出すかも知れないけど、その時は、亜依ちゃんも連名にするから、名前、貸してね。



がっ、学会論文ですか?



あ、苗字なんだっけ?



柏木と申します。



そんな、改たまらなくていいよ。



えへ。とりあえず、でも、学会の論文って、恰好いい!



R&D部門ではそれが仕事だからね。



じゃあ、細かいところは、また、伺います。
まず、べ、べ、弁理士さんに連絡しておきます。よろしくお願いします。



【次ページ】「死の谷」を越えるための次の矢は?

イノベーション ジャンルのトピックス

一覧へ

イノベーション ジャンルのIT導入支援情報

一覧へ

関連キーワード

イノベーションのすゝめ

PR

注目のIT導入支援情報

一覧へ

注目のイベント・セミナー情報

一覧へ

イベント・セミナー情報の登録(無料)

記事アクセスランキング

イベント・セミナー情報アクセスランキング