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2017年03月30日

大学の「2018年問題」、都心回帰進展も「立地依存」では生き残れない

三大都市圏にある大学キャンパスの都心回帰が加速している。18歳人口が再び減少に転じる「大学の2018年問題」が間近に迫っているからで、大学事情に詳しい進路アドバイザーの倉部史記さんは「都心に移転した大学が志願者数を増やすなど、高校生に都心志向が見られる」と分析している。政府は東京一極集中を緩和するため、東京23区内の大学を地方へ移転させたい考えだが、大学側は生き残りをかけて都心回帰しているわけで、この流れがしばらく続きそうだ。

執筆:政治ジャーナリスト 高田 泰(たかだ たい)

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国際文化学部を国際学部に改組して滋賀県大津市から移転した
京都市伏見区の龍谷大

(写真:筆者撮影)



大阪梅田のビジネス街に新キャンパスが続々と登場

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大阪梅田の真ん中にオープンした大阪工業大梅田キャンパス。ロボティクス&デザイン工学部が入る(筆者撮影)

 大阪市を代表する繁華街の梅田地区。阪急梅田駅やJR大阪駅から歩いて3〜5分の場所に高さ125メートルのタワービルがそびえ立つ。一見、どこにでもあるテナントビルに見えるが、実は2016年10月に完成した大阪工業大の梅田キャンパス「OIT梅田タワー」だ。

 梅田キャンパスは地下2階、地上21階建て延べ約3万1000平方メートル。1階から4階はコンベンションホールやレストランが入る地域開放型にぎわいエリアで、地下で梅田地下街と接続されている。

 6階以上がキャンパスになり、2017年度から新設されるロボティクス&デザイン工学部が入る。新学部はロボット工学科、システムデザイン工学科、空間デザイン学科の3科から成り、約300人の学生が学ぶ。

 大阪工業大のキャンパスは本部と知的財産学部、工学部が大阪市旭区、情報科学部が大阪府枚方市に置かれている。あえて都心のど真ん中に新しいキャンパスを設けたのは、交通の便の良い場所で産学連携を推進するとともに、2018年問題を控えて大学の生き残りを図るためだ。

 大阪工業大広報室は「学生の都心志向は顕著で、オープンキャンパスでも魅力的という声が多かった。梅田なら神戸方面からも志願者を集めやすい」と狙いを語る。2017年度の志願者数は前年度の1.5倍に増えた。新学部創設で定員が増えたため、単純比較はできないが、梅田キャンパスの効果が大きいとみられている。

 梅田を狙うのは、大阪工業大だけでない。関西大は2016年9月、阪急梅田駅から徒歩5分の場所に梅田キャンパスをオープンした。地上8階建てのビルで、学部は置かず、社会人向け教育や異業種交流に使っている。

 統合を模索中の大阪府立大と大阪市立大は、グローバル人材の育成拠点となる新キャンパスを梅田に設ける構想を掲げている。JR大阪駅北側の梅田貨物駅跡を中心とするうめきた地区の第2期開発エリアが有力候補地だ。

 関西学院大、立命館大など関西の大学の多くが、2000年代に入って梅田に進出した。梅田の利便性を考慮したからで、就職支援など拠点設置も含めると20校以上を数える。関西のビジネス、商業の中心地が今、学生の街にもなろうとしている。

18歳人口は2018年から再び減少へ

 大学の2018年問題とは現在、一時的に横ばいで推移している18歳人口が2018年から再び減少に向かうことを指す。18歳人口は戦後、団塊の世代が18歳を迎えた1966年に249万人のピークを迎えた。団塊ジュニアが高校を卒業した1992年に205万人を記録したあと、少子化の影響で減少している。

 2016年の18歳人口は119万人。2031年には100万人を割り、2040年には80万人ほどまで減ると推計されている。逆に1990年に507校だった大学数は、2014年で781校に増えた。

私立大は既に過当競争となり、2015年度で43.2%が定員割れの状態。愛知県新城市の愛知新城大谷大、広島県坂町の立志舘大など地方を中心に廃校や吸収合併、キャンパス廃止を強いられるところが相次いだ。

 これ以上、18歳人口が減少すれば、大都市圏でも大学の淘汰が始まりかねない。このため、各大学は少しでも便利な場所にキャンパスを移し、学生を確保しようとしている。

 大学の都心回帰は、首都圏と関西で都心部への人口集中を防ぐために施設拡大を規制した工場等制限法が、2002年に廃止されたのがきっかけになった。都心から郊外へ移転が相次いだ流れが変わり、大学が再び、都心へ目を向け始めたわけだ。

【次ページ】立地依存の大学経営は行き止まりに直面する

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