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2017年03月31日

安川シーメンスオートメーション・ドライブによる港湾荷役での蓄電池活用

近年、資源や需要をめぐるエネルギーの課題に直面する企業が増えるにつれ、蓄電池に注目が集まっている。港湾と船の間の貨物の積卸作業(港湾荷役)においても蓄電池が活用されている。蓄電池が解決する港湾荷役周辺の課題と、活用する際に検討すべき事項を安川シーメンスオートメーション・ドライブ 技術本部 クレーン技術部 クレーンモーション技術グループ 吉原秀政氏が解説する。

執筆:フリーライター/エディター 大内孝子

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港湾と船の間の貨物の積卸でも蓄電池は活用されている

※画像はイメージ

(© Mike Mareen - Fotolia)



港湾荷役設備の基礎知識

 港湾では大量の荷物を船から下ろし、トラックなどに積み替えて陸路の物流に流す作業を行う。船からコンテナを下ろし、一時保管するコンテナ置き場まで荷役を実施する荷役設備において、蓄電池応用技術の活用が検討されている。

 コンテナを荷役し、一時的に置き場とする場所を「コンテナヤード」と呼ぶが、コンテナヤードはその機構の違いでRTGCヤード、コンテナキャリアヤードに分けられる。

RTGCヤード
ラバータイヤガントリークレーンと呼ばれる大型のクレーンでコンテナ船からコンテナを下ろし、シャーシの上に乗せて移動するヤード。シャーシのままコンテナ置き場で一時保管する。
コンテナキャリアヤード
コンテナ船からコンテナを地面におろすのはコンテナクレーンだが、コンテナキャリア(ストラドルキャリア)がコンテナを抱えるようにして、コンテナ置き場であるエリアに移動し、そこでコンテナを管理する。

 コンテナキャリアヤードは、RTGCヤードとは異なり、外部のトラックとやり取りする場所が別途設けられ、そこでコンテナのやり取りをする。

 一般的なコンテナクレーンの動作には、次の4つの動作がある。

・コンテナを吊り上げ/吊り下げる:巻き
・コンテナを吊った状態で船側と陸側を水平移動する:横行
・コンテナ船に対し並行に動く:走行
・コンテナ船が通る際にガーダーを上げる:起伏

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 RTGCヤードの場合、主な動作部分はラバータイヤガントリークレーンで、コンテナを上げ下げする巻き、水平移動する横行、クレーン自体が動く走行の3種類の動作を行う。一般的に電源としてディーゼルエンジン発電機を用いる。

 一方、コンテナキャリアヤードではコンテナクレーンに加え、コンテナキャリアがコンテナを上げ下げする(巻き)、動く(走行)という動作を行う。一般的にディーゼルエンジン発電機で駆動する。

 一般的な港湾クレーンは、400Vの三相交流電源で駆動し、コンバータが直流に変換。その直流電力をインバータが交流に変換しモーターを駆動し、巻きや走行、横行を駆動するというシステム。なお、現在のコンテナキャリアには油圧式で駆動するものもあるが、今回はインバータによるモーター駆動を行うキャリアについて紹介する。

 特に、港湾クレーンに特徴的な動作モードとして、鉛直方向に動かす動作(巻き)があげられる。このとき、位置エネルギーに起因する回生エネルギーはモーターが発電機になることによって電力になる。

 通常のコンテナクレーンのように商用電源で駆動するタイプの場合は、電源回生コンバータを用いることで、回生されるエネルギーを電源に返すことができる。しかし、電源がディーゼルエンジン発電機の場合は回生エネルギーを電源に返すことができない。一般的には、制動抵抗ユニットをDCリンクに接続し、抵抗により熱消費させる形をとる。

港湾荷役設備の課題と蓄電池の利活用

 ディーゼルエンジン発電機駆動の場合、まず課題となるのはCO2の排出量とランニングコストの削減だ。

 単純に考えると、それにはディーゼルエンジンの燃料消費量を低減すればいいということになる。しかしディーゼルエンジンの容量を低減すると当然システムを駆動するための電源容量が不足してしまう。もしくは、ディーゼルエンジンの容量を据え置きし、回転数を可変にすることで燃料消費量を低減することが可能だ。だが、エンジンの回転数を可変にすると、急な負荷変動にエンジンが対応できずに停止状態になってしまうという問題が発生する。

 一方、商用電源駆動の場合の課題は、商用電源がないエリアでの運転、そして停電時などの緊急時にクレーンオペレータの安全を確保することだ。そのためには、電源のない状態でのシステム構築が必要となる。さらには、商用電源設備の有無に関わらず、安定した電力を利用する方法を考えなければならない。

 そして、ディーゼルエンジン発電駆動、商用電源駆動両方の課題としては、下記の4つが挙げられる。

【次ページ】蓄電池を適用する上での検討ポイント

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