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2017年04月03日

広がるAPIエコノミー

Pokemon Go大ヒットやアンダーアーマー躍進の裏には「つながりの経済」があった

IoTなどにより、2020年には200億個のモノがネットに「つながる」時代になるといわれている。ガートナー リサーチ部門 バイスプレジデント デニス・ゴーハン氏は「やがてデジタルと物理が融合されたデジタルビジネスの世界が登場し、これまで以上に“つながりの経済”がクローズアップされる」と予見する。では「つながりの経済」の時代到来に備えて、企業はどんな戦略を練り、投資判断を行うべきなのか。ゴーハン氏が組織における価値創造の方法と行動計画について語った。

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“つながりの経済”では企業競争のルールも大きく変わる

(© sdecoret – Fotolia)


「つながりの密度」からビジネスが生まれる

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 来たるべきIoT時代は、さまざまなモノがインターネットにつながっていく。そうなると、新しい経済原則に基づいたデジタルビジネスへの投資判断が、必然的にCIOにも求められるようになる。

 ガートナー エンタプライズ・アプリケーション戦略 & アプリケーション・アーキテクチャ サミット 2017に登壇したガートナー リサーチ部門 バイスプレジデント デニス・ゴーハン氏は「これは単に情報テクノロジーの投資の話だけではない。新製品の開発や、物理的なリソース、人材へ投資も含まれてくる。デジタルビジネスによって、企業における“つながりの数”や取引が増加するが、重要なのは数ではなく、密度のほうだ。つながりの密度から生まれるビジネスをいかに活用するか、それがポイントだ」と指摘する。

 それを端的に示す例として、同氏は「Pokemon GO」を挙げて説明した。「任天堂のPokemon GOは、愛されるキャラクターと携帯電話をつなげ、リアルとARを融合し、周辺マーケットでエコシステムを形成した。多くのユーザーがゲームスキルを交換し、同じ趣味を持つ同士が結びつき、小売店も顧客を誘導でき、ビジネスチャンスが広がった。他のエコシステムのプレイヤーも価値を創出できる仕組みをつくり上げた」(ゴーハン氏)。

 このように、つながりの経済はビジネス、ヒト、モノのインタラクションの密度から需要が増加し、価値が創出されるもの、と定義できる。では、つながりの経済はどのように機能するのか? ゴーハン氏は、その機能を説明する重要な3つの要素を示した。

 まずは「つながり自体の価値」だ。たとえばFacebookなどのSNSは、はるか遠くにいる人々を簡単に結んでくれる。2つ目は、そのネットワークで共有できる情報・資産・価値を、自分に有用なデータとして提供してくれること。3つ目はエコシステムでつくられるアルゴリズムだ。たとえば、Facebookのアルゴリズムは、自分にあったパーソナル化された情報を提供してくれる。

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(クリックで拡大)

デジタルな「つながり」には価値がある

(出典:ガートナー)


 ゴーハン氏は「3つの要素のいずれかを拡張することで、デジタルビジネスのチャンスが現れ、経済価値や市場が拡張されるだろう」と予想し、スポーツアパレルメーカーのアンダーアーマーとマイクロソフトの例などを紹介した。

 アンダーアーマーはここ数年の間、何億ドルもの資金を投じて、さまざまなフィットネス関係のアプリケーションを買収した。そのアプリケーションを通じて、フィットネスアプリを使うユーザーの生活パターンや運動パターンをデータとして取得。そのデータをもとに新しい製品開発や新サービスに結び付けた。

 また同社はオンラインショップを開設しているが、ユーザーから得たヘルスケア情報をもとにパーソナルなレコメンデーションを実現。データやアルゴリズムのすべてを統合することによって、新しい価値を創出している。これはアンダーアーマー側だけでなく、ユーザーとしても有益なサービスを受けることにつながる。

 またマイクロソフトは、Linkedinを260億円で買収し、1.05億の“つながり”を手にした。これにより30億ドルの売上を実現したが、これもネットワークに価値があることを知っていたからだ。同社のクラウドサービスやアプリケーションと、Linkedinのネットワークを組み合わせ、新たな価値を創出したわけだ。

アマゾンを題材に4つの構成要素から考える

 では、つながりの経済によって出現したデジタルビジネスを推進する際に、具体的に何を考えるべきだろうか? ゴーハン氏は4つの検討すべき要素を明らかにした。

「つながりの経済では、エコシステムの主体として役割を果たす“経済主体”や、より正確な将来を意見するための“先行指標”、共有経済を推進する“エコシステム”、デジタルビジネスを投入するタイミングを見計う“ビジネス・モーメント”という4つの構成要素を考えるべきだ」(ゴーハン氏)

 ここでいう経済主体とは、エコシステムの参加者という意味である。参加者には、企業・ヒト・モノなどさまざまな存在が考えられるが、重要な点はデジタルビジネスの世界では、状況に応じて役割・仕事・報酬が変化していくということだ。たとえばアマゾンでは、ユーザーはサプライヤーやパートナーになれるし、競合にもなれる。

「顧客がサプライヤーとして書籍を自費出版すれば、その売上は自身の報酬だ。パートナーとしてレビューを書けば、自身の評判を高められる。一般的なケースは、顧客として書籍を購入し、知識を得ることだろう。さらに競合のスタンスでは、AWSで他のWebサイトをつくり、自身の書籍を販売することも可能だ。この場合の報酬は売上であり、市場に対する自身の影響力だ」(ゴーハン氏)

 経済主体は、ビジネスにおいても同様に変化する。競合がサービスを提供して情報を得ることもあるだろうし、IoTなどのセンサーでサービスを提供することも考えられる。エコシステムで、いろいろなモノが影響しあい、何らかの報酬を受け取っている。

 ゴーハン氏は「重要な点は、経済主体がネットワークに組み込まれ、その役割が変化することだ。従来モデルに縛られると、サプライヤー、顧客、企業が固定化されたままで、デジタルビジネスの変革のチャンスを逃すことになりかねない」と注意を促す。

 2つ目に考えるべき点は、ビジネス成果を先行指標で見ることだ。現在のほとんどの企業は、すでに起きている遅行指標(売上や利益など)を見ているケースが多い。同氏は「デジタル化の変化が激しい現在、遅行指標だけでは不十分だ。これから何が起きるかを予測するには、先行指標も使うことで、より明確に特定の投資成果を予測できる」とし、2つの先行指標について紹介した。

 1つはリード(見込み客)によって、まず数か月先の売上を占う。もう1つは海上輸送のコストを見る「バルチック指数」で、コストにヒモづいた需要を把握し、エコシステムや業界の1年以上先の景気を予測する。

 ゴーハン氏は、先行指数の活用例としてアップルの事例を挙げた。「同社は、過去90日間のアクティブなインストールベースのデバイス数(iPhpne、iPad、Macなど)が10億台あることを割り出し、この上下動を先行指数として将来を予測し、投資戦略のプライオリティを決定している」(ゴーハン氏)。

【次ページ】シェアードエコノミーに共通する5つの原則

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