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2017年04月28日

日清食品HD 喜多羅CIOに聞く、なぜAmazon Goに注目するのか

ユニークなマーケティングコミュニケーションでも知られる日清食品グループ。「中期経営計画2020」達成のため、持続的成長の基盤として情報システムの整備を牽引するのが、CIOの喜多羅 滋夫氏だ。SAPへの移行やスマートファクトリーへの取り組みについて語ってもらった前編に続き、デジタルマーケティングやデジタルビジネスの時代に、CIOや情報システム部門に求められる役割について話を聞いた。

前編はこちら(この記事は後編です)
(聞き手:ビジネス+IT編集部 松尾慎司)

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日清食品ホールディングス
CIO
喜多羅 滋夫 氏


オペレーション思考から「プロジェクト型」の思考へ

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──御社は優れたマーケティング活動でも知られていますが、デジタルマーケティング分野でIT部門が果たす役割についてお聞かせください。

喜多羅氏:基盤の整備が終わった段階ですので、デジタルマーケティングへのサポートについては、ようやくスタートラインに立てたという認識です。当社の情報システム部門のメンバーは約40名で、グローバルでも70〜80名という規模ですから、現時点でできることは限られています。

 当社の情報システム部門は、いい意味でも悪い意味でも「オペレーション組織」だったのです。たとえばCOBOLでデータの抜き出しプログラムをうまく書けるとか、基幹システムを安定して運用する技術やノウハウは豊富に持っています。

 しかし、大規模なプロジェクトをマネジメントするスキルや、最新のテクノロジーに対する評価スキルなどは、ほとんど身につけられていませんでした。そこで私が日清食品グループに入って最初に取り組んだのは、プロジェクト管理やITIL(Information Technology Infrastructure Library)のトレーニングでした。

 マーケティングや営業、購買や生産については社内にベストプラクティスがあるのですが、情報システムについては社内にありませんでしたので、世の中のベストプラクティスを社内にどんどん取り込んでいくという考え方で進めていきました。

 ですから、デジタルマーケティングや営業支援にも取り組みたい気持ちは強いものの、組織のキャパシティ、底力を上げていくことが先決です。メンバーの一人ひとりがプロジェクト計画書を書くことができ、目的設定、スケジュール、予算、チーム組成、リスク管理といったプロジェクト管理がひと通りできるような組織にしていきたいと考えています。

──プロジェクト型の思考、組織整備が重要だと。

喜多羅氏:新商品開発もプロジェクトですし、販売もプロジェクトです。プロジェクト型の考え方、仕事の進め方がもっと広がっていけばいいですね。

SAP移行とレガシーシステム終了のプロジェクトを同時に走らせる

──システム投資に対する効果(ROI)をどう評価していらっしゃいますか?

喜多羅氏:システム基盤を刷新するといったプロジェクトの場合、1食あたりいくらのコスト削減を実現した、といったような文脈では、なかなか成果を示すことができません。業務を標準化することで属人性を排除し、安定したオペレーションへと移行する、担当者の業務負荷を軽減する、さらには高い透明性によってBCPに対応する、といった点で評価されるべきではないかと考えています。

 SAPへの移行については、2015年4月に第1期、2016年10月に第2期が完了し、国内の即席めん事業、低温事業、それに管理業務全般はSAPで運用しています。そして、2016年12月には既存のホストコンピューターを完全にストップしました。ホストコンピューターの停止は、トータルの管理維持コスト削減に大きく寄与します。ですから、SAP移行と並行してプロジェクトを走らせるのは非常に大変でしたが、情報システム部門としては計画よりもできるだけ前倒しで行いたかった。

 とはいえ、ホストコンピューターを停止して問題が出ないかどうかは、実際に落としてみないとわからない。多くの企業が直面する問題ですが、そうした不安があるからと並行稼働を続けてしまうことも多いと思います。

 ですから、その部分は早め早めに計画して、システムのハードウェアとソフトウェアの管理表を作り、それぞれにアクションプランを作成し、それを週次で追いかけて問題を一つひとつ潰し、ようやく実現することができたんです。

──運用を知り抜いているからできることですね。

喜多羅氏:どういうシステムでユーザーが何人ぐらいいるのか、そのシステムをストップするにあたっての代替案は何か、代替案に移行するための障害は何かなど、業務部門と折衝するにあたっては、とにかく透明性を高くして課題を共有するようにしました。

 代替システムも手組みで作るのではなく、たとえば、我々は全社的に「Office 365」の導入を進めていますので、ファイル共有やコラボレーションであれば「SharePoint Online」での一本化を提案するなど、業務システム全般の標準化も進めていったというのが実情です。

【次ページ】これからの情報システム部門の役割とは何か?

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