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2017年04月21日

連載:中堅・中小企業市場の解体新書

クラウドにすべきか?社内設置にすべきか? 外部連携=クラウドとは限らない

昨今ではメールやグループウェアといった情報系の業務システムだけでなく、会計などの基幹系においてもクラウドへと移行するケースが増えてきた。クラウドと社内設置(オンプレミス)のどちらを選ぶべきかの検討段階では、導入/運用の費用や人的な作業負担といった「コスト」のみを判断基準にしてしまいがちだ。だが、実際の選定場面では「どんな機能が必要か?」という要素も大きく関係してくる。本稿では「クラウドならではの機能だったが実は社内設置でも実現できた」といった事態を回避するための留意点について、会計システムを例にとって考えてみることにする。

執筆:ノークリサーチ 岩上由高

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本当にクラウドが最適なのかどうかはよく検証する必要がある

(© BRAD – Fotolia)



クラウド/社内設置の選択には「どんな機能が必要か?」も関係

 以下のグラフは従業員数299人以下の企業に対し、会計システムの機能ニーズとクラウドとの関わりを尋ねた結果である。

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(クリックで拡大)

会計システムの機能ニーズとクラウドとの関わり(従業員数299人以下)


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 ここでは会計システムの機能のうち、クラウドと関連が深いものを4つピックアップし、それぞれについて以下の選択肢のいずれに当てはまるかを尋ねている。

『必要だが、クラウドとは無関係』
機能そのものは欲しいが、それによってクラウド活用が選択肢に上がることはなく、社内設置型パッケージの範囲内での対応を考える。

『クラウドと連携して実現したい』
欲しいと考える機能であり、既存の会計システム(主に社内設置型パッケージ)とクラウドを連携させる形で機能を付け加えるのが望ましい。

『クラウドに移行して実現したい』
欲しいと考える機能であり、該当する機能を持ったクラウドへと会計システム全体を移行させるのが望ましい。

 グラフを見ると、上記3つの選択肢の回答割合は、機能によって大きく異なっていることがわかる。つまり、「どんな機能が必要か」によって「クラウドと社内設置のどちらを選択すべきか」の判断も変わってくるわけだ。

「外部サービスとの連携が必要」=「クラウドへ移行」とは限らない

 それではグラフの中身を詳しく見ていくことにしよう。最初に留意すべき点は、以下の2つの機能における共通点と相違点だ。

「機能1. 銀行やクレジットカードの取引データ取込」
「機能2. ICカードや路線案内と連携した交通費精算」

 これら2つの機能は「外部サービスと会計システムとの連携」という点では共通している。だが、機能1では「必要だが、クラウドとは無関係」が20.3%に達しているのに対し、機能2における同選択肢の割合は11.9%に留まっている。この違いはどこから来るのだろうか?

 銀行やクレジットカードの決済情報を会計システムに取り込むためには、銀行やカード会社とのデータ連携が必要だ。だが、こうした金融系のデータ連携は規格/仕様が決まっている。そのためクラウドか社内設置型パッケージかを問わず、IT企業側が機能1を実装することは比較的容易といえる。

 実際に、クラウド/社内設置型パッケージのいずれにおいても、既に多くの会計システムが機能1を備えている。その結果、機能1はクラウドを選ぶ要因とはならず、「必要だが、クラウドとは無関係」という回答割合が高くなるわけだ。

 一方で、機能2はICカード(PASMOなど)や路線案内サービスとデータを連携し、交通費を自動算出するなどの効率化を行うものだ。

 この場合は「最短経路と最安経路のどちらを優先するのか」や「紙面の領収書に書かれた数字を読み取る機能も盛り込むか」など、機能面での差別化要因が数多く存在する。そのため、会計システム単体ではすべてをカバーすることはできない。

 そこで有効となる選択肢が既存の会計システムと交通費精算を専門とするクラウドサービスとの連携だ。そうしたサービスは既に多数提供されており、上記のグラフにおいても「クラウドと連携して実現したい」の回答割合は機能1よりも機能2の方が高くなっていることが確認できる。

 このように「外部サービスと会計システムとの連携」という同じ観点であっても、

連携の仕組みが厳密に定まっている場合:
⇒社内設置型パッケージでも同様の機能は実現できるため、クラウド移行にこだわる必要はない。

連携に際しての付加価値が数多く存在する場合:
⇒既存の会計システムと連携させる形で、ニーズにあったクラウドサービスを利用することが有効。

 といったように、機能内容によって「クラウドか?社内設置か?」の選択も変わってくる。「外部サービスとの連携が必要」という場合、「社内設置では外部と連携しづらいので会計システム本体もクラウドへ移行しなければならない」と考えがちだが、必ずしもそうではない点に注意しよう。

【次ページ】複数拠点のサポートではクラウドの併用が有効だが例外もある

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