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2017年04月25日

高齢化が進む泉北ニュータウン、将来のタワーマンションにも通じる問題とは

西日本最大規模を誇る大阪府の「泉北ニュータウン」が街開きして50年。街の老朽化とともに、人口減少と高齢化が進み、店舗の撤退など住民生活への影響が出てきた。大阪府や堺市は街と住宅のリニューアルを進めるとともに、郊外の自然の中で暮らすライフスタイルをPRして子育て世代を集めようとしているが、人口減少と高齢化は全国のニュータウンに共通する悩みだ。大阪市立大大学院生活科学研究科の森一彦教授(居住福祉環境デザイン)は「人口減少が進む日本社会の10〜20年先の未来がここにある」と現状を分析する。泉北ニュータウンは新時代の街として生まれ変わることができるのだろうか。

執筆:政治ジャーナリスト 高田 泰(たかだ たい)

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人口減少と高齢化が進む泉北ニュータウン。
日本社会の10〜20年先の未来がここにあると指摘されている

(写真:筆者撮影)


大都市圏の真ん中で青果物の移動販売

 サツマイモ、トマト、春キャベツ…。集会所前に毎週土曜日の午前中、色とりどりの野菜が並べられる。集まってきた主婦や高齢者は、今夜の食材を探しているようすで、真剣な表情で野菜を品定めしていた。

 泉北ニュータウンで最大の人口を誇る泉ヶ丘地区。玄関口の泉北高速鉄道泉ヶ丘駅から坂道が続く丘陵地帯を歩いて10分ほどの茶山台団地では、移動販売業者が週に1度、新鮮野菜の販売にやってくる。

 大都市圏にもかかわらず、まるで食料品店がない過疎地域のような光景だ。原因は最寄りの食品スーパー閉店。泉ヶ丘駅前まで行けば買い物できるが、急な坂道を上り下りするのは高齢者に辛い。

 その結果、茶山台団地では買い物に苦労する高齢者が増えた。移動販売でサツマイモを手に取っていた高齢の女性は「昔は便利やったのに、だんだん不便になってきた。都会にいるのに変な話や」。

 移動販売は住民の要望を受けた府住宅供給公社の呼びかけで2016年5月から始まった。府住宅供給公社経営企画課は「利用者のアンケートで移動販売は好評。住民の利便性を高めるため、当面は継続してほしい」と語った。

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(クリックで拡大)

泉北ニュータウンの茶山台団地で毎週開かれている青果物の移動販売。
大都市の真ん中で過疎地域のような光景が広がる

(写真:筆者撮影)


1992年をピークに人口減少し、空き家が増加

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 泉北ニュータウンは堺市南部と和泉市の一部にまたがる面積約1,557ヘクタール。高度経済成長期の住宅需要に応えるため、府が1965年、大阪南部のベッドタウンとして開発計画を発表した。

 計画戸数5万4,000戸(堺市5万3,500戸、和泉市500戸)、計画人口18万人で、ニュータウンとしては大阪府吹田市と豊中市にまたがる千里をしのいで西日本最大規模。泉北高速鉄道の沿線の丘陵地帯に泉ヶ丘、栂(とが)、光明池の3地区があり、公的賃貸住宅、マンションなど約5万8,000戸の住宅が並ぶ。

 1967年に入居が始まり、ピーク時の1992年には16万5,000人の人口を数えた。しかし、開発当初に一斉に入居した層が高齢化したうえ、子どもたちが巣立ったこともあり、人口減少が急ピッチで進行、空き家が増加している。

 堺市ニュータウン地域再生室によると、2016年末の人口は堺市分だけで12万6,000人。ピーク時より4万人近く減少した。65歳以上の高齢者が全人口に占める割合も、2010年末の23.6%が2016年末で33.0%まで上がった。堺市全体の高齢化率27.1%を大きく上回っている。

 これに伴い、15〜64歳の働き手世代が全人口に占める割合も、この10年で12.6ポイント減った。同時に高齢化でコミュニティーの活力も低下している。堺市ニュータウン地域再生室は「街の価値を高めて子育て世代の比率を上げ、オールドタウンを脱しなければならない」という。

【次ページ】ニュータウン再生へ官民がさまざまな取り組み

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