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2017年05月01日

駅ナカコンビニ「ニューデイズ」の隠れた実力、店舗売上で大手をしのぐワケ

ゴールデンウィーク真っ最中。レジャーや旅行でも、通勤・通学でも、鉄道に乗ったらけっこう利用するのが「駅ナカコンビニ」だろう。ほとんどはJRや私鉄の関連会社が運営しているが、最近ではセブン-イレブン、ローソン、ファミリーマートのコンビニ「ビッグスリー」が、駅ナカコンビニの「看板」を激しく奪いあっている。その中で、どの陣営にも属さず“独立独歩”を貫いているところもあり、駅という絶好の立地を活かし、その販売成績がビッグスリーにまさるとも劣らない、隠れた優良企業もある。

執筆:経済ジャーナリスト 寺尾 淳

photo

駅ナカコンビニ代表格がJR東のニューデイズ(NewDays)だ。
写真はJR飯田橋駅のニューデイズ


駅の屋根の下の「駅ナカ」はコンビニにとっては絶好の立地

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 駅の改札外、改札内の「売店」というと、畳2〜3畳分(3.3〜5.1平方メートル)ぐらいの狭いスペースに従業員1人が入って、新聞や雑誌や飲み物を売っているタイプは、以前からよく見かける。

 中には有人改札口に隣接し、駅員が販売員を兼ねているところもある。これを専門用語で「カウンター型」といい、たとえばJR東日本では「キオスク」、それ以外のJRでは「キヨスク」という名称。1987年の国鉄民営化以前は「鉄道弘済会」が運営していた。

 それとは別に、近年はJRでも私鉄でも、構内に食品や日用品の陳列棚があり、カウンターに複数の店員がいて、セルフサービス方式で接客するコンビニや、そのミニタイプの店が入る駅が増えている。どちらも一般に「駅ナカコンビニ」と呼ばれている。

 経済産業省の分類では売場面積30平方メートル以上が「コンビニエンスストア」だが、そのように売場が比較的広く、誰もがイメージするようなタイプを専門用語で「ウォークイン型」という。

 一方、売場面積が30平方メートル以下で、商品も食品や飲料、雑誌や傘やパンストなど緊急性のある商品に絞り込まれたミニ・コンビニを、専門用語で「ステップイン型」という。駅ナカコンビニにはその両方のタイプがあり、カウンター型も含めて統一ブランドになっている場合もある。

駅ナカコンビニはなぜ「有利」なのか

 駅にコンビニがある位置は、その大部分が自由に出入りできる改札外。もともとは通路上か、待合所、手荷物預かり所、事務室、駅長室、物置、自転車置場などだったところ。鉄道会社が駅のスペースを有効活用して収益化しようと場所を提供し、ほとんどはグループ内の物販子会社が店舗を運営している。

 地代やテナント料は無料か格安。光熱費も鉄道会社経由で安くできる。開店時間は早くても5時前後の始発列車から。閉店時間は遅くとも0時すぎの最終列車まで。24時間営業ではない分、いま高騰している人件費コストも節約できる。とはいえ、店の前にトラックがつけられず、駅前広場から人力で商品を運ばねばならないが、市街地にあるコンビニに比べれば、ランニングコストは確実に低くなる。

 しかも、駅構内は人の通行が多い絶好の商業立地。通勤・通学客が多い大都市圏はもちろん、駅前商店街が「シャッター通り」と化した地方都市でも、駅の中には病院の行き帰りの高齢者や登・下校中の高校生など、いつも人がいる。温泉のような観光地があれば、なおよし。新幹線の駅、特急が停まる駅、新幹線開通前は特急が停まっていた駅なら、駅ナカコンビニの損益分岐点はまずクリアできるだろう。

 この好立地を、新規出店戦略を進めてきたセブン-イレブン、ローソン、2018年8月にサークルKサンクスを統合するファミリーマートという「コンビニ業界ビッグスリー」が見逃すはずがない。

 駅ナカコンビニは鉄道会社の物販子会社がビッグスリーのフランチャイズに加盟し、その看板を掲げる動きが急速に進んでいる。たとえば2010年以降、JR西日本は「ハート・イン」からセブン−イレブン・ハートインに、東急は「トークス」から「ローソンプラストークス」に、名鉄は「サンコス」から「ファミリーマート・エスタシオ」に、近鉄は「K−PLAT」からファミリーマートに、店の看板が順次掛け替わっている。

「駅ナカコンビニ」 一覧表
JR
JR東日本「ニューデイズ」
JR東日本リテールネット
独立系。小型店は「ニューデイズ・ミニ」、駅売店は「ニューデイズ・キオスク」
JR東海「ベルマート」
東海キヨスク
独立系。オフィスビルや病院にも出店
JR西日本「セブン-イレブン・ハートイン」
ジェイアール西日本デイリーサービスネット
2014年にセブン-イレブンと提携し転換中
駅売店は「セブン-イレブン・キヨスク」
JR九州ファミリーマート
JR九州リテール
2010年から旧am/pm、「生活列車」をファミリーマートに転換
JR四国セブン-イレブン
JR四国
2014年にセブン-イレブンと提携
JR北海道「セブン-イレブン北海道ST」
北海道キヨスク
2010年に提携先をサンクスからセブン-イレブンに変更。札幌市営地下鉄駅も出店
首都圏私鉄
東急「ローソンプラストークス」
東急ステーションリテールサービス
ローソンと提携。駅売店は「toks」、コンビニは「LAWSON+toks」だが、一部駅ホーム売店もローソンプラストークス
西武「トモニー」
西武鉄道
小型の駅売店も含めて2007年にファミリーマートと全面提携
京急セブン-イレブン
京急ステーションコマース
小型の駅売店の一部もセブン-イレブン京急ST。店名に「京急ST」とつく
東京メトロ「ローソンメトロス」
メトロコマース
ローソンと提携。従来型の駅売店「メトロス」も多数ある
東武ファミリーマート
東武商事
食品が中心の小型店舗の店名は「アクセス」
小田急「オダキューマート」
小田急商事
独立系。スーパーと融合した業態の「オダキューOXマート」もある
京成ファミリーマート
コミュニティー京成
北総線、地下鉄東西線の駅にも出店。
相鉄ファミリーマート
相鉄ステーションリテール
旧am/pm。店名が「ステーションイスト」の小型店舗もある
京王「K−Shop」「コミュニティストア京王ストアエクスプレス」
京王ストア
独立系。酒類卸の国分系の中小コンビニ「コミュニティストア」との共同出店もある
関西圏私鉄
阪急「アズナス」
エキ・リテール・サービス阪急阪神
独立系。ミニ・コンビニの店名は「アズナスエクスプレス」
阪神「アズナス」
エキ・リテール・サービス阪急阪神
独立系。阪急、阪神の経営統合に伴い2008年にアンスリーから転換
京阪「アンスリー」
京阪ザ・ストア
独立系。ミニ・コンビニの店名は「アンスリーSAM」
近鉄ファミリーマート
近鉄リテーリング
愛称「近鉄エキファミ」。旧am/pmの店舗もあった
南海「アンスリー」
南海フードシステム
独立系。一部店舗は「ナスコプリュス」。駅売店は「ポプラ」
中京圏、福岡圏私鉄
名鉄「ファミリーマート・エスタシオ」
名鉄産業
ファミリーマートと提携。金山駅には成城石井もある。
西鉄ローソン
西鉄ステーションサービス
ペットボトル入り「八女茶」などオリジナル商品あり

 ポプラの「生活彩家」(都営地下鉄)、「ポプラ」(大阪市営地下鉄)や、酒類卸の国分系の「コミュニティ・ストア」(京王)のような中小コンビニも駅ナカに参入しているが、少数派。大阪市営地下鉄にはポプラがファミリーマートとともに出店していたが、契約がローソンに乗り換えられ、今年3月から順次転換中である。

【次ページ】独立系の一番星、JR東日本「ニューデイズ」の実力

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