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  • 2017/06/05 掲載

見込客をセミナーで獲得する極意は「わかるの素」と「できるの型」だ

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展示会、セミナー、ブログ・SNSでの情報発信、広告など、見込客の獲得手段にはさまざまな方法があります。デジタル化が進む現代において、企業の担当者は自身がほしい情報をネットで簡単に手に入れられるようになりました。今後、デジタルネイティブ世代が決裁権を持つようになればなるほど、営業による売り込み、商談のアポイントといった従来型セールスの難易度は上がっていくでしょう。こうした中で競合他社との競争に勝つためには、顕在化している顧客にアプローチし続けるだけでなく、潜在的な顧客を見込客に育成していくことが重要です。そこで今回は、見込客の獲得手段としての「セミナー」を企画する際に重要な「わかるの素」と「できるの型」を解説します。

フレイ・スリー プロデューサー/プロジェクトマネージャー 前田 考歩

フレイ・スリー プロデューサー/プロジェクトマネージャー 前田 考歩

プロジェクトマネージャー/プロジェクトエディター。自動車メーカーの販促・CSR事業、映画情報&オンラインチケッティング事業、育児情報アプリ事業、離乳食の定期通販事業など、数々の新規事業・プロジェクトの起業およびプロマネを経験。現在は(株)フレイ・スリーにて、動画制作アプリ「1Roll(ワンロール)」のプロマネを担当。この他、動画活用、展示会、ワークショップ、育児、幼児教育をテーマに、宣伝会議、全国の自治体、中小機構等でワークショップの企画、設計、ファシリテートを行う。

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「これから客」を発掘、育成していく「セミナー企画」の極意
(© ohayou! – Fotolia)


こんなセミナーはやってはいけない

 自社製品が使用されるテーマの米国トレンドおよび事例、当該テーマの研究者を招へいしての講演、自社製品の使い方紹介、自社製品の導入事例など、企業が提供するB2B向けセミナーにはさまざまな性質のものがあります。

 こうしたB2B向けセミナーは、見込客の獲得にも、育成にも有効なものですが、これまで私が参加してきたセミナーの中で、よく起きている問題があります。それは「来場者のステータスと企業が提供するセミナーの内容がズレている」という問題です。

 なぜ、こうした問題が起こるのでしょうか。結論から言うと「見込客のステータスを理解できていない」からです。

 これを解決するにあたって、まずはセミナー来場者のステータスを大きく2つに分類してみましょう。

来場者のステータス
(A)すでに自社製品の導入を検討(他社製品との比較も含む)している
(B)自社製品が使用される当該テーマに関心を持っている

 本稿ではこのステータスを、見込度の高い・低いに合わせて、「今すぐ客」と「これから客」と定義します。

(A)の見込客:自社製品導入の見込度が高い「今すぐ客」
(B)の見込客:当該テーマに関心を持ち始めた「これから客」

 これを氷山の図を例にとって説明します。

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見込客のステータスと特徴

 海面から出ている部分が「今すぐ客」で、ニーズが顕在化している層です。海面に隠れている部分が「これから客」で、ニーズが潜在している層です。

 今すぐ客は「導入検討中あるいは他社製品と比較中なので、もっと知識を得たい」と考えています。

 一方、これから客は「当該テーマや業務の情報収集、必要性は感じるが、どうやって始めればいいかがわからなかったり、取り組み方がわからない」、「自分たちの環境や条件に合わせて各種ツールを使いこなせるか、または成果を出せるか不安を抱えている」という特徴があります。

 母数の面で言えば、今すぐ客は少なく、これから客は多い。確度の面で言えば、今すぐ客は高く、これから客は低い。案件化までの時間は、今すぐ客は短く、これから客は長い、と言えるでしょう。

 ステータスに合わせたセミナー内容としては、たとえば「今すぐ客」には、自社製品の使い方紹介、自社製品の導入事例。「これから客」には、自社製品が使用されるテーマの米国トレンドおよび事例、当該テーマの研究者を招聘しての講演などが効果的でしょう。

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セミナーで提供する内容を見込客に合わせる

そのセミナー名は見込み客の「ステータス」に合っているか

 それぞれの見込客に適切なセミナー内容が届けられていれば良いのですが、ここで次なる問題が出てきます。それは「見込客のステータスとセミナー名、紹介テキストがズレている」という問題です。

 よくあるのは次のようなケースです。セミナーを提供する企業の都合でいくと、往々にして「今すぐ客」を狙いたいので、セミナー内容を自社の製品紹介や導入事例をメインとします。

 しかし、それだけでは集客の母数を稼げないため(ここの理屈がすでにおかしいのですが)、自社製品が使用されるテーマの米国トレンドなどもプログラムに盛り込みます。

 ここで問題なのが、トレンドや事例はネットで検索したり他社の調査結果を検索、コピペした内容、つまりネット検索すればわかる程度のものでしかないのに、セミナー名にこのセミナーに来ればさも当該テーマの課題が全て解決できるような美辞麗句やバズワードを並べながら、実際のセミナー内容は自社製品の紹介が内容の大半を占める、というものです。

 自分が解決したい課題や、取り入れようと考えている手法についての考え方やノウハウが手に入ると期待してセミナーに参加してみたら、すでに自分が検索したり、ビジネスメディアなどで閲覧したことのある内容で、それ以外の時間の大半はセミナー主催企業の製品紹介に終始するようではガッカリしてしまいます。

 「これから客」は「今すぐ客」と違って育成の必要性が高いのに、これではまったく逆効果です。

 これはセミナーに限らず、ビジネスメディアに掲載されたり送信されたりしてくるホワイトペーパーも同様です。話題だからといってバズワードを使って集客をしたり、ホワイトペーパーのダウンロード数を稼いだりしても、中身が伴わなければ受注にはつながりません。

 これから客を発掘し、良質な見込客として育成するには、「必要性は感じるが、どうやって始めればいいかわからない」、「成果を出せるか不安」といった悩みに対しては、自社製品紹介や導入事例はもちろん、米国事例や市場背景・トレンドだけでは不十分です。

セミナー企画に重要な「わかるの素」と「できるの型」

 セミナーを企画する際に重要なのは、そのセミナーが、「自社の環境や条件に応じてそのテーマに取り組むべきかが『わかる』ようになるための『考え方』を提供できているかどうか」です。

 再び氷山の例で説明します。それぞれのステータスに対するセミナー内容を疑問視で表現するなら、「今すぐ客」に提供するセミナー内容は、How、Whichタイプのものです。そして、これから客に提供するセミナー内容は、Why、Whatタイプのもの。

 自社の使い方系セミナーでも、これから客にもアプローチできるよう、周辺知識、トレンド、歴史(How、Which、What)などは提供されてきましたが、決定的に欠けているのは「Whyタイプ」のコンテンツなのです。

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Whyタイプのコンテンツとは何か?

 ネット検索すれば知ることができる情報ではなく、「なぜ自社の課題にこの手法(自社製品に限りません)が必要なのか?」「その手法はそもそも自社の環境に適しているか?」「その手法の一つであるこの製品を、自社の条件に合わせて、いかに使いこなせるか?」といったことを考え、判断できるようになるための「考え方」。これがWhyタイプのコンテンツです。

【次ページ】製品が売れる!「わかるの素」の具体例

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