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  • 2017/06/02 掲載

AIはインドの糖尿病患者6920万人を救えるのか?

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人口の多いインドでは医者と患者の割合は1:1681。医者不足が深刻だ。また、人口の半数以上が住む地方においては医療施設が不足している。そこで、問題を解決するカギとして、AI(人工知能)が注目を浴びている。インドの6920万人の糖尿病患者をAIで救うことはできるのだろうか。
執筆:エクシール・エフ・エー・コンサルティング ガガン・パラシャー
(訳:エクシール・エフ・エー・コンサルティング 大塚賢二)

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医者不足が深刻なインド、AIは課題解決につながるのだろうか
(© taa22 – Fotolia)


医者1人に患者1681人のインド、地方の状況はさらに悪い

 技術の進展がわたしたちの日常生活を変えていく速度には目を見張るものがあるが、中でも医療は著しい進化を遂げている。

 今やインドは10億人を超える人口を抱え、1人の医者が診る患者数は1681人に上っており、これは世界でも最悪のレベルだ。地方ではさらに悪い事態となっている。ちなみに米国や日本で1人の医者が診る患者数は400人前後である。

 これを改善するには、もちろん医者を増やすというのが1つの方法ではある。しかし、それには時間がかかり、現状及び将来のニーズを充足させるのは並大抵のことではない。それどころか、インドの教育制度の水準が国民の全てに最高水準の医療を提供しうる大量の医者を育成できるかは、保証の限りではない。

 もう1つの問題として、インド国民は総じて、症状が悪化して初めて医者にかかる傾向がある。予防医学のコンセプトはインドではまだ新しいものであり、プライマリ・ヘルスケア(注1)にコストをかけ質を保つことも、面倒で厄介だと捉えられている。

注1:すべての人にとって健康を基本的な人権として認め、その達成の過程において住民の主体的な参加や自己決定権を保障する、世界保健機関(WHO)などが提唱する理念。

 こうした問題を背景に、すべてのインド国民が妥当な費用を払えば高品質の医療を受けられるようにするためには、AIの活用が信頼性の高い方策としてもてはやされるようになった。

AIがインドの診察プロセスを変える

 AI(人工知能)とは、コンピュータやコンピュータを利用したロボットシステムが、問題に対して学習・決定・解決を行う際に、人間と同様の思考プロセスで情報を処理したり成果を生み出したりできる能力をいう。

 これを発展させ、医療をはじめとするさまざまな分野において、人間の用いるロジックや理由づけと同様の手法で複雑な問題に取り組むことのできるシステムを開発することが、AIの成果と目されている。

 最近のインドでは、基本的だが効果のあるAIのユースケースとして、診察プロセスの最適化が認識されている。従来は、体に異変の生じた患者が医者に行き、医者は症状を確かめ問診し薬を与えるというプロセスであったが、現在は、AIが診察や外来患者対応の多くをカバーでき、医者はより重篤なケースの対応に時間をかけられるようになっている。インドにおいては、医療がIT進化の有望分野であり、AIは変化をもたらす主要因の1つとなるのは確かなようだ。

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AIは医療で幅広い活用が見込まれる
(出典:エクシール・エフ・エー・コンサルティング)


【次ページ】6920万人の糖尿病患者はAIで救えるのか

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